切腹申し渡されたような・・

2010-05-15 00:00:04 | しょうぎ
名人戦第3戦は5月6、7日に千葉県野田市で行われた。中盤から羽生名人が優位を築き、最終盤で僅かなミスを犯し、その唯一の勝利のチャンスを取り逃がした三浦八段が、投了。



名人の3勝0敗となった。

終局の瞬間を、衛星放送で解説していた渡辺竜王は、「最後に何かを指そうとしたが、秒読みに追われ、腕が伸びずに、投了した」というように表現していた。

録画していた画像を、何度も確認したが、羽生名人が△3三銀と縛りの銀を打った後、指す手が見当たらずに、最後の数秒で、ついにあきらめるしかなかった、というように見えた。



投了前数秒から落胆の気持ちが体全体から発せられ、そのまま、顔に手を当て、文字通り崩れ落ちてしまった。

何か、浅野内匠頭長矩が、江戸城内で乱暴狼藉を働き、その日のうちに、「切腹、お家取りつぶし」を幕府の使者に申しつけられた瞬間のような取り乱しようである。テレビカメラの前でちょっとした悲劇を演じる。



それでは、向かい合う名人は、吉良上野介あるいは、幕府からの使者ということになり、ただの悪役と化す。控える立会人や記録係は、これからおこなわれる切腹の後始末としての首斬介錯人ということになる。

ここまで打ちひしがれれば、第四局の行方も、見えたも同然で、5月18、19日の第四局でシリーズは終了ということになるだろう。これで名人も心ゆくまで熟考の末、5月26日の運命の棋士総会に臨めるというものだろうか。

忠臣蔵だと、敵討がやってくるのは2年近く先であるのだが、名人戦は1年後である。7番勝負が得意なのは言うまでもなく渡辺竜王。

「竜王、名人の二冠王になったら、タイトルを持ち出して新団体を設立する!」とか、究極のビッグマウスになれば、この一年間の順位戦も大いに盛り上がるのだが、小沢批判を突如封印した横粂議員のように「餌に釣られて犬になった狼」ではみっともないから、余計なことは言わない(書かない)方がいいだろう。


さて、5月1日出題作の解答。



▲2一銀 △同玉 ▲5一竜 △3一桂(途中図1) ▲同竜 △同玉 ▲2三桂 △2一玉 ▲1一桂成 △3一玉 ▲2一成桂 △同玉 ▲2三香 △1二玉 ▲2二香成 △1三玉 ▲2三歩成 △1四玉 ▲2四と △1五玉 ▲3六玉(途中図2) △1六玉 ▲1五飛 △同玉 ▲2五と △1六玉 ▲2六と △1七玉 ▲2七とまで29手詰

最初に注意が必要なのは、4手目。桂以外の合駒では、▲2三香から本譜と同じコースになる。桂合だと▲2三歩成が逆王手になる仕組みである。

次の関門は▲3六玉と王将が動いて開き王手をかけた瞬間。△4五香と根元の飛車を抜くと、短手数になる。

動く将棋盤は、こちら

今週の問題。



ごくごく普通の詰将棋である。大駒を不自由に使うといったところかな。

わかったと思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評を記していただければ、正誤判断。