資生堂アートハウス&資料館

2006-08-03 00:00:11 | 美術館・博物館・工芸品
cf77e073.gif掛川は、静岡と浜松の間に位置する。県内に既に6ヶ所ある新幹線停車駅の一つ。左から二つ目だ。この駅で降りたら、今まで知らなかった美術館があった。資生堂アートハウス。隣接して資生堂企業資料館。掛川駅から新幹線の線路に沿って西へ2キロといったところだが、外気温は30度を越えている。バスもない。駅前の案内図にも簡単に、「タクシー5分、または徒歩25分」と書かれている。タクシーの一手。ちょうど基本料金で着いた、と思った瞬間に一段階メーターが進む。

しかし、おわびの気持ちか、入場料無料だ。つまり、何らかの都合でクルマで近くを通る人は、ほんとうにタダということだ。そういえば銀座のHOUSE OF SHISEIDOも無料だ。何のおわびの気持ちなのだろう。

7月7日から10月1日まで「香水瓶の100年」という展示を行っている。20世紀の前半の香水瓶というのは、多くは芸術品であり、ルネ・ラリック、バカラなど工芸品として一流のガラス細工だったわけだ。特に年代を見ると、1930年代が黄金期で、「アール・デコ」をまとめった形で収集しているようだ。そして、時代は第二次大戦後になり、香水を使う人たちの層も広がり、香水瓶も大量生産をしなければならなくなり、工業デザインとしての香水瓶の美が求められることになる。シャネル・ディオール・ゲラン・オピューム・ブルガリ・・・・それぞれの瓶には、最低でもデザイナーの手が入っている。

なにしろ展示品が多い。一つ一つの瓶をみていると、その香水の香りを連想してしまい、それぞれの香水を身につけていた女性達一人ずつの姿態と情景を思い出してしまうのである(というのは冗談)。

そして常設展示コーナーのレベルは高い。会社が組織的に収集していることがわかる。成金社長たちが、見る目もなく有名画家の晩年の二流品を買い集めたのとは逆に、小品だが買ってから一流画家になったような成長株を集めているように見える。李禹煥・佐藤忠良・向井良吉など。勢いのある作品が多い。掛川市民には失礼だが、ここにあっては本当にもったいない。元気のいい美術愛好家は行くべし、だ。私の好きな、マリノ・マリーニの「小さな騎手」があった。

cf77e073.gif隣接する、企業資料館というのは、資生堂が宣伝用に作った、ポスターやパッケージ、テレビCMなどを網羅したもの。製品の技術的秘密資料は一切ない。広告宣伝資料館といったところ。代々のキャンペーンガールのポスターを見ていて、二人の「山口さん」がいたことがわかる。1枚目は山口小夜子さん。1978年起用。そしてもう一人は、山口淑子(李香蘭)さん。1941年起用。

そして、これから一気に日本は高齢化社会に突入する。高齢化社会が、この社にマイナスなのかプラスなのか。よくわからない。とりあえず、「マキアージュ」という対象年齢幅が広いブランドを立ち上げたわけだが・・・

帰りのタクシー代は迎車料金150円も上乗せして払うこと。


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