六歌仙図(渡辺始興)

2024-06-16 00:00:26 | 美術館・博物館・工芸品
アーティゾン美術館でブランクーシ展を観たのち、収蔵品展を回っていると、掛け軸になっている『六歌仙図(渡辺始興)』を見つけた。江戸時代18世紀の作。



苦労して、図と六歌仙の固有名詞と突き合わしたところ。上から僧正遍照、小野小町、在原業平、大伴黒主、文屋康秀、喜撰法師となる。

六歌仙とは905年に上梓された古今和歌集の中にある序文の中に特に作者を指定して評価を受けている6名の歌人のこと。主席編者は紀貫之なので、彼の主観的選抜なのだろうが、不自然なことがある。

古今集の序文は六人を褒めていないわけだ。内容的には、和歌は、柿本人麻呂と山部赤人という二大歌人の時に発達とし、次に前述の六人を評し、その他大勢という構造だが、ほめているともいえるのは僧正遍照と小野小町(といってもシニカルな褒め方)であとの4人は、心が入っていないとか、心はあるが言葉が少ない(つまり下手?)とか、商人のような服を着ているとか、薪をかつぐ山人のようとか、どうみても六歌仙の仙の字にはふさわしくない。

さらに、その六人の他は名前を上げるほどではない、とつれない。

ところで、在原業平はプレーボーイで有名だし、僧正遍照は小野小町のボーイフレンドで文屋康秀は小町に近付こうとして失敗している。

つまり、古今集もわからないことだらけだ。

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