日本航空ジャパンという名前の会社

2005-03-30 21:32:27 | MBAの意見
dc205fae.jpg日本航空ジャパンという会社がある。上から読んでも下から読んでもジャパン・エアライン・ジャパンかと思って調べると、さすがに「Japan Airlines Domestic Co.,Ltd.」が正式英文名だ。そしてもう一つ日本航空インターナショナルという会社がある。この2社とその他無数の子会社群をまとめた持株会社が(株)日本航空だ。もともと日本航空と日本エアシステムの両社とも国内便と海外便を運航していたものを経営統合し、さらに両社の国内便部門をまとめた会社が旧日本エアシステムを母体とした日本航空ジャパン。海外便をまとめたのが日本航空インターナショナルという会社で、この形態になったのが1年前の2004年4月1日だ。社員数はインターナショナルが16100人、ドメスティックが5100人。ホールディング会社は183人だ。

そして、新体制で1年経過したこの3社に訪れたのは、「経営統合への称賛」ではなかったのだ。3月17日付けで国土交通省から受け取ったものは、「事業改善命令」1通と「警告」2通だ。それに対し、同日付けでCEOの交代などの人事の刷新が発表されたのだが、誰でも感じると思うだろうが「役員を換えて、事業がすぐに変わるのだろうか?」ということだ。それに元々退任予定だったものを数ヶ月前倒しにしただけということだ! 事実、5日後の22日には驚愕の事態が重なった。まず、トラブル(重大インシデント・イレギュラー運航)を並べてみる。

12月13日 B747 主脚に規定外部品装着。誤使用を知りながら、継続。
1月22日 新千歳 B777 管制官指示を無視。離陸滑走後急停止。報告遅れ。
3月13日 仁川  B767 管制官指示を聞き間違え、滑走路に誤進入。
3月16日 羽田札幌便 B767 乗降ドア緊急脱出モード設定忘れ。
 事業改善命令
3月22日 広島羽田 A300 操縦席コンピューターから発煙。
3月22日 福島  B767 着陸進入角度大きく機体後部接地。
3月22日 徳島  A300 整備作業中、整備車が主翼接触し、破損。
3月22日 ブリスベーン成田便 B747 エンジンパネル飛行中脱落。
3月27日 ジャカルタ成田便 B777 ゴム製部品脱落。
3月27日 成田ローマ便 B747 計器異常。

JALに言うのは酷だが、3月22日にA300の方向舵の検査要求あり(10機)。

航空機の事故は大惨事につながることもあり、事故(アクシデント)の一歩手前のトラブル(重大インシデント・イレギュラー運航)は報告が義務付けられている。そのルールは日本も海外も同じだが、国交省への報告書は、事件を自由記載するような記述型スタイルになっている。米国の報告書は逆にいくつかのポイントにチェックを入れるような選択型になっていて、基本的に自由に文字を書いたりしないようになっている。したがって、事故を報告するかしないかという恣意性は日本の方が大きいことになる。また文字を書くのが苦手なパイロットはついつい報告しないことになりやすい。報告されなければ、内部告発でもなければ発覚しない。実際、羅列した事件のうち改善命令が出るまでの数件は、隠蔽の臭いがないわけでもない。うがった見方をすると、全部報告しようと決意したら、大量発生していたというようにも受け取れる。

実は、国内便にはよく乗るのだが、経営統合以降、そちらの会社にはお世話になっていない。会社は人間が動かすものだが飛行機は機体の問題も大きい。ボーイング一辺倒の旧JALとエアバス導入していたJASでは整備の方法や概念を統一できるか今ひとつの疑念がぬぐえないからだ。乗り味だって米国車と欧州車のような差を感じる。また社員の合併後の待遇面の不満も考えられる。慣れぬ機体を操縦する機長に苦労もあるだろうし、もちろん整備も同じだ。トラブルの原因が経営統合によるヒューマンファクターにないかどうか、調査が必要だ。経営統合効果が女子バスケット部の活躍だけだったら悲しい。

事故の度に登場する法則に、「ハインリッヒの法則」がある。第一法則は、事故1件に対して、重大インシデント29件、小さな事故要因300件が存在するという経験則だ。上記のトラブル羅列の中の半数程度はこの重大インシデントに相当している。ハインリッヒ第二法則は事故が発生する3大要素として、「危険状態」「危険思考」「危険行為」があるとする。機体の整備不良は「危険状態」、報告の隠蔽は「危険思考」、誤部品をそのまま使うような行為が「危険行為」になる。

先日、西日本で仕事の後、羽田に戻らなければならなかった。最終便はANAなのだが、これではイラン戦キックオフに間に合わない。その前はJALで空席があるがノ-サンキューだ。その前はANAだが満席。イラン戦をとるかJALをとるか究極の選択だ。結局、満席のANAにスキマをみつけて踏絵を踏まずにすんだ。

ところで、一方の社の悪口ばかりでは公平感に欠けるのでANAの悪口も書く。2001年9月11日の同時多発テロの6日後に羽田発広島行きのANA最終便に乗ることがあった。機内は静寂に包まれているのだが、誰かがトイレに立とうとするとその度に緊迫が走る(アメリカでは飛行中にトイレが禁止されたとも聞くが気持ちはわかる)。翌日早朝からの仕事のため、単価は高いが空港の横にあるエアポートホテルに泊まることにしていた。そしてホテルの送迎バスに一人で乗っていてもなかなかバスは動かない。相当時間経過後、ANAのクルーご一同さまがやってきた。結局、航空会社のクルーのためのホテルということなのだ。その時、アメリカでは早くも数社の航空会社が経営危機に陥り、政府の緊急融資を受けたり、乗務員の解雇を始めているのに、ANAのクルーたちは、平和ボケの会話を楽しみ、テニスクラブの入会金の会話なんかしていたわけだ。そしてついつい聞こえてしまった会話では、翌日のフライトは遅い時間なので、午後2時に起きるとか言っていたのだ。

ただし、ANAへの悪口は経営効率の問題で、安全の問題とは直接、関係はないだろう。逆に、上には上がいるもので、昨年、臨時チャーター便で夜間、東京タワーの100メートルちょっと上を通過して羽田空港に着陸したタイのパイロットは、そのまま眠らずに乗客を乗せてバンコクに向って飛んでいってしまった。路線トラック並だ。

第二東京タワーは地上600メートル(地上と海抜の差には留意が必要)の予定だが、
 建設費≒機体価額+乗員生命保険金額 らしい。
フルカバーの保険が必要だ。

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