雨あがる(2000年 映画)

2024-07-04 00:00:01 | 映画・演劇・Video
「気は優しくて力持ち」という表現がある。力持ちだと相撲の力士のような表現だが、時代は江戸時代といえば、心優しき剣豪というべきか。

三沢伊兵衛(演:寺尾聰)はある藩を脱藩し、江戸の道場で剣術を鍛える。その腕前でいくつかの藩で剣術指南の役を得るが、その無欲さゆえ、官僚化した武士(役人)の組織では、周囲となじめず、役を失い、妻(宮崎美子)と一緒に股旅生活だ。旅先で困った者がいれば浄財を与えるために、道場で賭け試合をして賞金稼ぎをしたりする。

そして、大雨で川止めになった宿場に逗留中に、けんかの仲裁をしているところを藩主に見られ、その縁で「剣術指南」の職を得ることになるのだが。

古手の家臣からは、賭け試合などするものから剣術を教わるわけにはいかないという声が上がる。


本作、原作は山本周五郎の小説。脚本は黒澤明となっていて、監督もやる予定だった。が、途中で入院し、その後、亡くなってしまう。そのため、助監督の予定で脚本作りに携わっていた小泉堯史が映画を仕上げることになった。

ところで、原作者の山本周五郎だが、藤沢周平のように作品の多くが映画化されている。小説よりも映画化の方が感動できるような気がする。

故人の文体を分析するのははばかられるが、小説の文体が「説明っぽい」ということではないだろうか。