座る場所を間違えそうになった挑戦者の謎

2007-04-28 00:00:54 | しょうぎ
将棋名人戦7番勝負第二局は4月24、25日、鳥取県の温泉地の旅館で行われ、挑戦者の郷田九段が第一局に続き連勝したのだが、第一局で郷田の持つ扇子のパチパチ音が「ウルセエジャネエノ」と名人からクレームがついたのだが、第二戦では再び妙なことが起きる。今度は対局前のこと。主催の毎日の記事から
・・・定刻の12分前、郷田が対局室へ。上座に腰を下ろしかけたが、すぐに気づいて下座に回る。森内は8分前、上座についた。・・・

将棋盤は通常、片方が床の間を背にした上座、逆に入口に近い方が下座とされる(和室宴会と同じだ)。上位者が上座に座ることになっている。対局場は旅館であるし、必ず床の間があるはずだ。対局室の写真でも確認できた。(旅館で「床の間」がないのは、布団部屋くらいだ。床の間のある布団部屋もあるが、その場合、多くは「わけありの部屋」のことが多い。お客さんを泊めにくい「わけ」があって、布団部屋にするか、添乗員、バスの運転員、バスガイドなどの部屋になったりする。バスの運転員とガイドが職場結婚することが多いのと関係があるかどうかはわからないが、話は大きくそれた)。

以前、谷川=羽生戦で本来、上座に座るべき谷川の席に、羽生が誤って先に座っていて、気の弱い谷川が「席が違う」と言いかねたため、力を出せずに敗れたことがあったが、さまざまなトラブルの経緯の末、一応、ルールができている。もちろん、将棋の内容とは関係ない話なので、いずれにしてもルール通りでなく、上座の奪い合いか譲り合いか錯誤かによって対局が始まってしまえば、そのまま進行するのは言うまでもない。

タイトル戦の場合は、そのタイトル戦で上位のものが上座に座ることになっていて、どう考えても名人戦で名人の森内が上座に座るのは当たり前。仮に郷田が上座に座ったまま森内が入室したら、「オレノ場所ジャネエノ、座布団ヌクイジャネエカ」ともめるに違いない。

それに、たぶん今までに900局近く対局し、タイトル経験もある郷田九段が上座と下座を見間違えることも、まったく考えられないわけだ。だいたい、部屋の入口に近い場所が下座なのだから、部屋に入って、目の前の座布団に座ればいいだけだ。上座に行くには、盤の向こう側まで行くことになる。

それでは、なぜ郷田は上座に座りそうになったのか?正解がわからないだろうから勝手に推理する。

いくつかの可能性が考えられる。普通の説明は、

1.もう名人になったつもりだ。
2.単なるパフォーマンス。
3.上座側からみた対局室の雰囲気を確認したかった。

というところだが、たぶん、全部違うだろう。私見を言えば、

4.郷田九段は、研究熱心のあまり、自分自身と指すのに慣れているのではないだろうか。「こうしたら、ああして、こうして、そしてこうなってああなって・・・・」。「本物の自分」対「研究上の対戦相手の自分」である。だから、いつもの対戦相手は、研究上の架空人物であるのだから、自分が上座に座るのは当然、という推論になる。

しかし、郷田が誤って上座に座ろうとした時に、もっとも驚愕したのは、対局者ではなく立会人の井上八段だったのではないだろうか。うかつに立会人など引き受けて、前代未聞の大失敗をしでかせば、キツイ叱責を受けるのは間違いないところだ。人生にありがちな陥穽である。


6d83c01c.jpg前々回4月14日出題問題の解。

▲3二飛 △1三玉 ▲3三飛成 △2三香(途中図1) ▲2四角 △1四玉 ▲2六桂 △2五玉 ▲3五竜 △1六玉 ▲1七歩 △同玉 ▲1八歩 △2七玉 ▲3八竜 △2六玉 ▲3五竜 △2七玉 ▲1九桂(途中図2) △1六玉 ▲1七歩 △同玉 ▲3七竜 △1六玉 ▲2七竜(終型)まで25手詰

少し前に作った作品なので、自分ながらちょっと違和感がある。実際、難易度が低い割りに、詰めるのに苦労する。






6d83c01c.jpg今週の問題は、最初の方が手が広い。易しいのか難しいのか作者にはよくわからない。

GW中に、少し、詰将棋の完成作の整理と、未完成作の手入れとかしなければ、と思っている。だいたい、どの詰将棋がブログに掲載したのか、あるいは専門誌に投稿したのか、落選決定したのかとかわけがわからなくなっているので。

わかった、と思われた方は、コメント欄に最終手と手数と酷評いただければ、正誤判断。


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