月末日の振込み確認で大混乱

2005-08-10 16:28:03 | マーケティング
いつもブログばかり書いているわけではなく、昼間は情けない仕事をしている時が多い。仕事をしていない時は、サボっている時だ。サラリーマンの外出には二通りある。「おカネを稼ぐための仕事」と「おカネを遣うためのサボり」だ。

実は、2ヶ月位かけ、じっくり画策していたある商品の輸出が決まった。ずいぶんとヒヤカシの一見客がやってきていたのだが、なかなか成約しない。というのもアジア系の人たちが、日本に「EXPO」を見にいくために口実として商談を使っているように感じていた。ひどいのは、最初からセントレアに直行したのもいた。商談はキャンセル。

そして、やっとの思いで一応成約したのだが、7月下旬の台風で、日本での引渡し日が7月29日に変更。金曜日だが銀行営業日としては「月末日扱い」だ。問題は、決済方法だ。だいたい、日本の周りには契約遵守をしない国が多い。過去の例からいっても、ほとんどデタラメ。うかうかしていると、インボイス(仕送状)の書き換えを依頼されることもあった。もちろん定率関税のある国で、脱税に使う臭いがするし、脱税幇助として、妙な国に引き渡されて暑い(あるいは冷たい)刑務所に入れられるのはゴメンなので、「法令順守」「安全第一」で仕事をしている。

しかし一方で、残念ながら取引相手の会社で銀行保証をつけてくれる先も、まずない。結局、輸出品を日本の港で引き渡す際に、現金の引渡しも行うという、かなり原始的な方法になる。本来は、前日に入金してもらい、当日はプロトコルにサインするだけにしたいのだが、相手側がこちらを信じていないのは、こちらが相手を信じていないのと、ほぼ同じ程度なので、先に払ってはくれない。さらに、複雑なのは、当方の品物は一部が他の会社と共有になっていて、売主が二人になる。委任状はもっているのだが、共有者の希望は、少額なので「現金(円)で回収」。当方は金額が大きいので、現金は困る。というのも近隣国には偽札作りの得意な国もある。まさか1枚ずつ本物と見比べるわけにはいかない。某知事のようなレイシストではないが、本質的に日本の周りに商売上、安全な国はない。

そして、朝、当方の品物が倉庫に届く。しばらくして現れた相手は二人だが、一人は仲介者。もう一人がアジア系の方で、買主である。検品が終わると、まず共有者の分の少額現金(といっても札束)の授受を行う。昔、悪徳銀行員からおそわった札束の数え方で、あっという間に数え終わる。それも立ったまま。相手を驚かせてやるわけだ。そして、まず一枚目の領収書を渡す。そして次が問題だ。

振込みといっても口座振替は困るのだ。なぜかというと、この手の相手は、だいたい日本国内に偽名口座を持っていることが多い。なにしろ本国からの送金がままならないので、あちこちに色々な資金をおいて、用立てている。必要悪ということらしい。そのため、その口座から振替ると、売った相手と違う会社から当方に振り込まれてしまうわけだ。それはマズイ。したがって、一旦、相手が誰かの口座から引き出した現金を、手書き振込用紙で処理してもらわねばならない。そして、その日、振り込まれるべき現金は、なんとすでに相手のカバンの中にある。

結局タクシーを呼んで、振込口座と同行の支店に向かう。そして見ている前で手続きを行う。本来ならそこで終わりだが、入金確認しても振り込まれていない。窓口で聞くと、到着まで2時間以上かかるという。「なにしろ、きょうは月末日ですから」とこちらに非のあるような言い方をする。11時だから午後になる。密輸するわけではないので、税関に申請することになるのに、時間がない。結局、プロトコルを行って、通関までしておいて、最終的に品物を引き渡すのは、入金確認ができてからということにする。結局、銀行のロビーで書類を作るハメになる。ヒドいサービスだ。何がメガバンクだ。何がオンラインなのだ・・あしたも働け!!

そして、昼食もとらずに、もとの倉庫に戻るが、太陽は元気だ。そして桟橋には積込んだら直ちに出港する予定の小型の貨物船が到着している。まさに密輸的だ。しかし何も怪しいものではなく、トカレフを足首に忍ばせる必要はない(はずだ)。ただ月末日の銀行の事務能力の欠如のために空しく待っているだけだ。そして、窓口行員の予想した待ち時間を1時間超過して、3時間後の2時になって入金確認が終わる。全部、本物の日本円だったわけだ。

そして、あっという間に輸出品は、貨物船に積み込まれ、1秒後に猛スピードで出航していった。ポケットに札束を入れたまま、3人で近くの喫茶店に行くが、他の二人はカレーライスを注文したが、私だけは食事をとらずにアイスコーヒーだけにする。すると、アジア系外国人が携帯で話し始める。まったく意味はわからないのだが、雰囲気が悪い。どうも船が戻ってくるらしい。まずいな。トイレに行くふりをして、店を出て、通りがかりのタクシーに乗ってそのまま遁走。味気ないカレーになっただろう。


何か、小説家になる直前の浅田次郎みたいだ。中途半端な夏、磨り減った靴とポケットには紙くず、そして嫌な頭痛あり。


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