三菱自工に見る「企業の退きかた」

2004-06-14 22:12:21 | MBAの意見
三菱自動車工業に対する支援策が、ダイムラークライスラー株主からの反対で崩壊したのとほぼ同時に、とめどもないリコール隠しが暴露され、多くの逮捕者を生む結果となっています。

また、特定ユーザーへの無償交換、ヤミ修理までも氷山の露見を怖れるあまり中止してしまう。古くから言われる諺でいえば、「USOの上塗り」ということになります。

泥縄的に持ち出したトヨタ、現代への支援要請も当然ながら不発。落ちるナイフはつかめないということですね。しかもグループ各社が買い支えても、株価は個人投資家による信用売りあびせをうけ、徐々に下落を続けています。もちろんクルマは売れず、工場は稼動を下げ、自販会社の優秀な社員は次々と他社へ移っています。

また、本当に奇妙なのは、現在クルマが売れていないという事実を、役員が知るのは月末になってかららしいのですが、どうしたことでしょう。
従業員の大幅削減や工場撤退といったリストラを中心とした、再建策は朝令暮改のような頻度で発表されますが、しょせんはクルマが売れないのですから無理といわざるを得ません。

ある糸へん商社マンが高笑いするように、「財閥の世紀は終わった」ということなのでしょう。エリート達が集まった企業集団の帰結が、この結末とすると、少し残念です。

一方、トヨタの連結決算書から推定すると、トヨタと関連会社の納める税金は年間約1兆円です。税収の2%にあたります。三菱自工に最高の幸運があったとしても、納税にいたるにはまだまだ長い期間があるでしょう。現在の日本で必要なのは、三菱自工ではないのです。

会社を清算し、内外の工場毎に、トヨタ、マツダ、現代などに分割していくことが多くの意味でもっとも前向きな解決なのですが、唯一でかつ最大の問題は、そういう案を立てる本社の役員やブレインそのものが、不要になってしまうということです。


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