後手なのに先に指して負けとは

2022-12-24 00:00:38 | しょうぎ
後手なのに先に指して反則負けという珍記録がB級1組順位戦で現れた。一部報道では、棋譜の記録用紙の先手のところではなく後手のところに「8四歩」と記載されたそうだ。



もちろん、一番喜んだのは対戦相手だろう。二番目に喜んだのは記録係の奨励会員のはず。一局で1万円位もらえるらしく、手数が長くなって対戦が深夜になっても定額らしい。

世論では「厳しすぎる」というような意見もある。軽微な反則ではないかということ。

それで、少し考えてみたのだが、そもそもプロ将棋の場合、「最初に後手が指した」ということではないわけだ。最初に記録係が先手の対局時計を押して、先手の考慮時間から始まるわけだ。遅刻の場合でも時計が動き始めるし、先手が1手目から大長考しても問題ない。

アマの場合、後手側が対局時計を押し、先手の持ち時間の消費が始まることから対局が始まる。

この対局の棋譜に1手目がなく、2手目に書かれるということは、もう少し一般的に言うと、「相手の番なのに自分が指した」ということになり、いわゆる「二手指し」と同じことになる。相手の番なのに、あまり考えていないように見える場合、自分の番かと勘違いする。

二手指しは、もちろん負けになる。王手を掛けて、もう一手続けて指せるなら誰でも勝てる。

即負けは厳しすぎるという声の中には、「対局料を半分にして、指し直したら」という声もある(竜王戦は勝ってナンボだが)。実は、私も中学時代の大会で後手なのに先に指して、本当は負けなのに大会関係者の配慮で指し直ししてもらったことがあったのだが、そういう精神状態では勝てるわけはないのだ。勝ったらまずいわけだ。その後、対局の時は必ず直ぐに指さずに確認することにしている。しかし、残念ながら後手の相手が先に指してくれたことは一度もない。

思ったのだが、藤井五冠が、「初手はお茶」ということにしているのは、過去に一回やらかしたことがあるのではないだろうか。


さて、12月10日出題作の解答。








今週の問題。



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