祈りのかたち(出光美術館)

2017-09-03 00:00:45 | 美術館・博物館・工芸品
出光美術館で開催中の『祈りのかたち』へ。

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基本は仏教美術の展示で、なかなか取り付くのが難しい。

仏教の基本をよく知らないので表現しにくいが、一般論として仏教美術の一つのパターンが「仏像」である。古来より、仏像を崇める人は多い。東大寺の大仏はその極みだろう。一方で小さな携帯式みたいなもののある。路傍の地蔵様は石材が多い。相続税対策の金の仏像や仏具もある(いざとなったらつぶして換金するのだろうから信心のかけらもない)。

さらに一般論として仏教画。日頃より精進しないと犯罪者となり地獄に落ちる。恐怖の裁きの瞬間が待っている。天国か地獄か。これ、西洋画にもあるパターンだ。

真言宗などの密教に対して、新興の宗派は仏教の内容をわかりやすく伝播するために絵に描いて図解した。

そして、時代は近世に入り、特に鎖国中に禅宗は勢力をのばす。本質的には難しいのだが難しい宗教を簡単に図解しようという試みが現れる。一休や仙厓はそうして多くの作品を残してくれた。

そして本展では、解説ボードの記載の中に「出光美術館は仙厓作品を一千点以上保有している」という事実がサラっと書かれていた。どういう経緯でそうなったのか、よくわかないが、それだけあるといつまでも陽の目をみない作品もあるだろう。仙厓コーナーを充実させるとかの方向を期待したい。

ということで、本展の中で仙厓を見て気が休むのは、こちら側に謎をかけ、たぶん自主的に考えさせてくれる時間を与えてくれるからだろう。

逆に「毎日修験に励まないと、必ず地獄に堕ちる」という強迫的な脅迫で迫ってくるのは苦手だ。

では、「こちらにくれば数千億年経てば極楽に行ける」とおいでおいでをする仏像がいいかというと、そんなに待つのはちょっとなあとためらってしまう。