(かつて)石油禁輸された国

2017-09-05 00:00:23 | 市民A
北朝鮮への石油禁輸の話が出ている。輸出しているのはほとんどが中国で、国境の川の下に埋められたパイプラインを通して、大慶原油という常温では固まってしまう(蝋分が多く32度C以下で固まる)原油を加熱して送っている。行き先は北朝鮮の安州にある製油所。量的には年間60万キロリットル程度で、日本の400分の1位。多くは火力発電に使われ、一部がガソリンや軽油のような製品になっているのではないだろうか。

実際、中国自体、原油を大量に輸入しているのだから、輸出したいわけではないだろうが、それが元で戦争が始まり、流れ玉に当たるのも嫌だろうから輸出を続けているのだろう。そして、バルブを閉めて送油を止めれば、川底のパイプラインの原油が冷えて固まり、コチコチになって、もはや再起不能になる。

(実は、数年前からロシア産のESPO原油(東シベリアパイプラインオイルの略)がパイプラインで中国、あるいは沿海州の港からタンカーで韓国や日本、米国などに販売されているので、大慶で北朝鮮向きのパイプに繋げば、常温で送油できるはず。そうなれば、バルブを閉めても簡単に送油再開できるので、逆に気軽に供給を停止できる。といってもその意図は北朝鮮には明確に伝わるはずなので、うまくいくかどうかわからない。)


ところで、日本が76年前に戦争を始めたのも、直接には石油禁輸が始まったから、と言われるが、参考のために調べてみると、日米は、主に満州や中国の利権争いでぶつかり、1941年の4月から野村・来栖両大使をはじめ日本側はハル長官をはじめとする米側と50回も会談を行っている。

しかし、米国の一貫して主張していた点は。「日本の満州からの撤退」だった。今でいうと「核廃棄」にあたるのだろう。

度重なる交渉では歩み寄るのではなく、主張は離れるばかりで、ついに8月1日、石油禁輸が実行された。

そして最終通告ともいうべき「ハル・ノート」が11月26日に通告され、まもなく、真珠湾奇襲攻撃が始まった。(そして、戦争は3年8ヶ月に及んだ)


中国も禁輸した場合、北朝鮮から「敵国」扱いになるのだろうが、例えば、価格を釣り上げて買えなくするとか、何らかの技術的な事故を原因として止めてしまうとか、犯人不詳の爆破事件とか手荒な口実を考えるかもしれないが、それは必ず次の段階に進むだろう。