栽培植物と農耕の起源(中尾佐助著)

2014-09-25 00:00:55 | 書評
saibai1966年に発行された岩波新書。人類の進化の中で人間がどうやって野生植物を食用に改良し、機械農法が始まるまでの間に、どうやって収穫をふやしていったかというテーマで書かれている。かなり面白い本だった。

まず、「根菜農耕文化」「照葉樹林文化」「サバンナ農耕文化」「イネの始まり」「地中海農耕文化」「新大陸の農耕文化」というように農耕文化を分類。たしかに、「イモ、バナナ」、「雑穀、果実」「マメ」「コメ」「ムギ」「トーモロコシ、サツマイモ、ジャガイモ」といったのが、各地の代表的産品だ。よく考えると、現代日本には何でもある。

そして、感心した一つは、「野草と雑草は違う」ということ。ようするに野生の中から種を見つけて育てるのが第一歩。雑草というのは人間の住んでいる場所の近くに自動的に付随してはびこる植物のことだそうだ。

次に、「コメと麦」。両者の文化を接する地域では、かならず「コメ」を食べるようになるとのこと。(ただし、日本ではムギの方が増えているような気がするが特殊な国だから)

それと「治水」のこと。どうも灌漑を正しく行って大河をコントロールすることが重要と思っていたのだが、そうなると地面の塩分がわずかずつ増えていって作物に悪いということになる。大河の地方では、時々、大反乱が、すべてを無に帰すようなことがあり、それが土地の力を回復する輪廻だったわけだ。