第九を振る西本智実の先には

2011-12-30 00:00:21 | 音楽(クラシック音楽他)
女性指揮者、西本智実さんについては、このブログでも何度か触れたことがあるが、テレビやDVDで観た限りであり、生演奏に接するのは初めてになる。

TOKYO FM 夢の第九コンサート2011と冠して、12月29日に東京国際フォーラムに登場する。なんと今月13回目のお仕事だ。まだ31日にも金沢の音楽堂に出没するようだ。日本で一番忙しい指揮者じゃないだろうか。

ということは、・・・

nishimura


衣装である燕尾服の用意が大変だ。さらに四十肩の注意が必要だ。


さて、年末のクラシックと言えば、ベートーベン第九交響曲「合唱付き」というのは、まさに定番なのだが、東日本大震災の年の最後にあたり、何か身構えて考えてみても、今一つふさわしい楽曲も思いつかないのだろうか。レクイエムというのは個人を追悼するもので、さらに悲しみを倍加しそうであるし、まさか「運命」というわけにもいかない。

しかし、歓喜の唱というのもしっくりこないが、しょせん音楽の限界ということかもしれない。

で、会場だが東京国際フォーラムのホールA。5012席もある。ちなみに評判の悪いNHKホールは3677席。東京文化会館2318席。オーチャードホール2150席。サントリーホール2006席。

なお、参考までに屋根のない競技場まで含めると、1位が日産スタジアム72,327席。2位が埼玉スタジアム63,700席。3位が国立競技場で60,057席。4位神戸ユニバ60,000席となる。

出かける前に、終了時刻を推定するために、1951年収録のフルトヴェングラー版のCDを皿に乗せてみると、74分ということだったが、そういえば初期のCDの録音時間が74分になったのは、この第九の演奏時間に合わせたからという説を思い出す。真偽は不明だが。

ところが、ところが、ところが、

この観客5000人の演奏会だが、会場に行って事情がわかったのだが、聴くだけの観客は1000人だけで、残りの4000人は合唱に参加するということになっていた。何カ月も前から練習会を繰り返していたらしい。要するに市民マラソン方式だ。

つまり、「合唱」ではなく「大合唱」。いや「超大合唱」、いや「超巨大合唱」。「超巨大」というコトバは嫌なことを思い出すから、この話は、もうやめる。


そして、彼女の指揮を観ていて感じたのだが、「カラヤン」を目指しているのだろうと思うわけだ。ビジュアル系指揮者の先駆者である。カラヤンは、あくまでも背筋ピーンで、ヘアスタイルも、ポマードの固め方によって乱れ方を計算していたそうだ。ステージ上は感情を押し殺していつも不思議な自信と冷静とを漂わせていた。

ところで、最近、もう一人の女性指揮者が活躍をはじめている。「三ツ橋敬子」さんといって、西本智実さんより10歳若い31歳。こちらは小澤征爾や小林研一郎に師事していた関係もあり、全身柔軟体操型指揮を演じる。静の西本、動の三ツ橋ということだろうか。完全に小林研一郎のまねをすると、下品に堕ちるので、そこが注意点だ。