真剣師 小池重明(団鬼六著)

2011-07-16 00:00:44 | しょうぎ
shinkennshi先日他界した団鬼六氏が描く真剣師小池重明の伝記である。と書いてみて、伝記というのは、偉人の一生を描くものであり、悪漢の一生を描く場合にも使うのだろうかと、ちょっと迷う。

もとより、真剣師なる職業、だいたいが非合法だろう。自らが相手とカネを賭けるにとどまらず、金主を集めて、自らが馬になり大一番を張る。そして、彼らは、おそろしく勝負に辛い。本書に登場する小池重明他大勢の真剣師たちは多くがアマ名人などのタイトルを持っている。しかし、たぶん今、真剣師という職業はないのではないかと思うが、知らないだけで、まだいるのかもしれない。

そして、小池重明が他の真剣師を絶対的に違うところと言えば、要するに軽犯罪をずっと続けていたこと。詐欺、博打、持ち逃げ。その合間に将棋を指して賞金を得ている。

ただ、かなりの部分は、小池重明あるいは団鬼六の創作のように感じる部分もある。ちょっと悪漢過ぎる。

ところで、団鬼六先生には、以前、夏の横浜の京急しょうぎ祭りの裏方で手伝っている時に顔を出してもらった、着物に羽織。袴なし。注目すべきは足元である。足袋と草履ではなく、素足で下駄履きだった。多少の違和感があるのだが、要は、江戸時代の将棋指しの礼装である。江戸城に登城する場合、武士以外のものは素足を強要されていた。袴もそうだ。

団鬼六と言えば「花と蛇」が有名で、要するに、溶け行く精神をいたぶるように描いていく。根っからの悪漢、小池重明を描くのも芸の一つだが、これから解けていくだろう19世名人の精神の崩壊などを書いてもらいたかったなあ。と、いまさらに思うのである。


さて、7月2日出題作の解答。

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▲2六銀 △同玉 ▲4八角 △3六玉 ▲5六竜 △同歩 ▲4七金 △同玉 ▲4五飛まで9手詰。

気分爽快版だ。

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今週の問題。ここ3週間、「夏向き」「あっさり」「紛れなし」といった問題が多かったので、今週はこってりトンコツラーメン。

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