三つの経済の国

2011-07-13 00:00:16 | 市民A
第一・第二・第三経済と言えば、有名なのが(あくまでも日本で)、北朝鮮。民間経済、軍経済、王朝経済である。思えば、平安時代末期から鎌倉時代あたりの日本は、一般経済、武家経済、貴族経済となっていたのではないかと思うのだが、その後、民間経済が発達するまでには数百年必要だった。



ところで、もう一つの第三経済が存在するのがギリシャ。ご存知のように、街は公務員給与の3割カットに反対する集会で暴徒化し、あちこちで火の手が上がっている。歴史的建造物が燃えてしまうじゃないかと思うのだが、石造りだから大丈夫なのだろう。

経済破綻の理由としてあげられるのが、「公務員天国」と「脱税社会」。公務員の数は全労働者の1/4で、基本給与に各種の不合理な手当がつき、一般の会社の1.5倍の給与水準である。さらに年金支給レベルは、働いている時の90%以上ということ。

さらに、買い物してもレシートを出さない店が多く、およそ30%の税収が脱税で失われているとも言われる。

そのため、消費税率が刻々と上昇してたぶん23%だろう。正直者が馬鹿をみる典型だ。ギリシャ神話には描かれない醜い社会になっている。というか、パンドラの箱が開いた後の醜い世界なのだろうか。世界にあふれたのは、「悪」「病気」「不正義」「戦争」「不義密通」などと言われるのだが、「脱税」「年金不正受給」などもそうなのだろう。

ところが、・・

ギリシャには25%の公務員とその他の民間経済の他にGDPの約5%を占める別の経済カテゴリーが存在する。

海運業である。特に、船舶オーナー業。有名なオナシス家をはじめ有力なグループが指の数ほどある。この破綻状態の国で、なぜ彼らの羽振りがいいかというと、税制である。

法人税免除。

要するに領収書を発行しない医者やタクシーとは異なって、海運業は、合法的に法人税がゼロになる。よって、こそこそしなくていいわけだ。さらに、無税になるのは船舶オーナーだけではなく、海運関係の仕事をしたばあい、その利益が無税になる。弁護士が、離婚調停と並行して中古船売買契約書の作成業務を行った場合、離婚調停分の利益には課税されるが、中古船売買関係のサービス対価は非課税になる。

以前、この種の仕事のギリシャ人たち(オネエサマとオニイサマ)と東京で仕事をして、その後、鮨を食べに行ったのだが、いかにも経済観念に欠けるといった二人組で、ヒヤヒヤしたのだが、幸いなことに各種ランクのマグロ方面には興味がないらしく、タコとイカとツブガイの炙り方向にオーダーを誘導したこともあり、事なきを得た。

さらに、このギリシャオーナー筋が、今、投資を始めたのがLNGタンカーらしい。原発代替で世界のLNG火力の建設が進むと踏んだのか、新規造船の発注が続いているらしい。まことに能天気である。


では、あれだけ大騒ぎをしている国民から、この特権階級の人たちは石を投げられないのだろうかと思うのだが、そういう話も聞かない。ギリシャ通は何人もいるのだが、聞いてみると簡単な答えがあった。

「ギリシャ国民が知らないだけだ。」

ということのようだ。あるいは知っている人はなにがしかの利益を得ている人なのだろう。いわゆる同穴の狢。GDPの5%といっても、別に船舶オーナーがギリシャ国内に住んでいるわけじゃないようだ。では、どこに住んでいるかというと、特に人気が高いのがドバイやアブダビらしい。


ところで、「国民が知らないだけだ」という論理は日本にもあるのだろうかと考えてみて、たぶん日本には貧富の差はあるものの、経済構造は一種類ではないだろうかと、思っていたのだが、どうも違う経済があるようだと感じ始めたのである。

最近、日本某所に住むお金持ちがクルーザーを中古船として売り出したという話を耳にした。詳しく情報を聞くと、数十人乗りの大型クルーザーが数隻も同時にマーケットに出ているそうだ。どうも何隻も持っていて、そのうちの数隻を持て余したようである。

なんで、そんなに大金持ちなのかということについては、一言では言えないようなのだが、そこを無理に一言で言うと、

「○○お大尽」

ということらしいのだ。今、話題のビリっとする業界。それ以上は調査しないけど。