いのちと放射能(柳澤桂子著)

2011-07-07 00:00:00 | 書評
inochiこの本も、頂き本であるのだが、なぜ頂けてしまったのか、本当はよくわからない。

一言で言うと、放射能はDNAを傷つけ、癌や突然変異を引き起こすということが書かれているのだが、そういうことは、前から知られていて、それほど難しく書かなくてもいいのかもしれないと、思ってしまう。

それと、現在の世界に浮遊している放射能は、元来地球上に存在するものと、第二次世界大戦の終わりから現在にいたるまでに核兵器として実戦に使われたり、核実験として派手に大気放出されたり、こっそりと地下で行われたりした結果の放射性物質によるもの。それと原発関連でウラン鉱石を発掘して精錬する過程で飛び散るもの、そして実はもっとも多いのはチェルノブイリの事故の時のものだそうで、全体の60%にあたるそうだ。(福島に由来する量の比率が今後、大きな数字になるのかならないのか。今のところ、誰も教えてくれない)

別に、極め付きの反核論者でもないのだが、ウランを掘りつづける限り、地上に降り注ぐ放射能の量は、増え続けていくのではないか、と思えてきたのである。

晴れの日でも傘が必要なのだろうか。

読み終わってから気付いたのだが、この著者は、同じ『ちくま文庫』から「われわれはなぜ死ぬのか――死の生命科学」という物騒な本も出している。これ以上、本をもらいたくはないのである。