後で大問題となる「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案」

2011-07-01 00:00:14 | 市民A
この法案を通さないと「解散!」とか、この法案が通れば辞任とか言って頑張っている首相がいる。しかし、解散したら東京18区で落選してしまうだろうから首相にはなれないだろうし、法案が通っても辞任するかどうか不明である。

しかし、仮に法案が通ったら、この法律そのものではなく、こそくなことに政令で法律そのものを大きく限定的なものにしようという方針が決まっているそうで、それが明らかになった段階で大混乱となり、泥船政権は溶けてなくなるだろう。

まず、この法律俗に「太陽光発電全量買い取り」と言われている。額面通りならドイツ方式のはずである。実は、拙宅には既に太陽光パネルが取り付けられているので、簡単に現在の方式と、全量買い取り方式の差を説明してみる。

たとえば、最近の陽射しが強く、かつ暑くて冷房を効かさなければならない日の例。

一日の太陽光による発電量は20KWH程度である。もちろん昼間である。
一方、使用する電力量も1日20KHWほどだが、使用の方は昼間が10KWH、夜が10KHWといったところである。

支払う電気代単価はおよそ24円/KWHであり、買い取ってもらう単価はその2倍の48円/KWHである。

現在の方式は、余剰分買い取り制なので、昼間は差し引き10KWHを売電で、480円のプラス。
夜は10KWHの買電なので、240円のマイナス。
1日合計の家計は240円のプラスとなる。
一時的な電力会社のマイナスは10KWH購入分で480円。これを全国の全家庭の電気代にバラマクわけだ。
だから家計は年間10万円程度となり、補助金があれば15年程度で回収できる。

一方、全量買い取りの場合は、発電総量20KWH分を48円で売電。960円。
そして、支払う電気代は20KWH分が24円であるからマイナス480円。
合算すると、1日480円のプラスとなる。現在の2倍の収益になる。そしてこれも全国の電気代に上乗せして回収する。

そして、このドイツ方式になるに違いないとほとんどの人は思っていて、太陽光パネルの販売業者もそのつもりで、売りまくっている。

そこで問題になるのが、二点。

一点目は、既存のパネルにも適用されるのか、新規分だけなのかということ。法律の原案を読んでもよくわからない。早い話が、それほど有利でもないのに率先してCO2対策に協力した人を犠牲にして、単にバラマキに食い付いた人を対象とするのか、ということ。

もし、既存のパネルも対象になるというなら、大喜びで菅首相の応援団にまわってしまう。(いや、法案が通れば、後はいなくてもいい)

もう一つの疑問は、個人の「住居用」にも適用されるのかということ。実は、ここが大問題。

経産省の原案では、現在のところ、個人住宅は対象外らしい。一定の規模をもった事業者ということになっているようだ。住居用は、今まで通り余剰分ということだそうだ。

で、そんなことは、法令にはどこにも書かれていないので、菅首相が勘違いしている可能性はあるだろう。後で役人たちが政令で決めてしまうつもりらしい。『1000万戸の家庭にパネル設置』と目標を掲げたことがさらに誤解を生みやすくしている。

だから、大規模業者が広い土地にパネルを設置すると、一般の家庭では電気代が上がっていくわけである。もちろん、マンションや借家の人は屋根を持っていないのだから負担だけが降りかかってくる。パネル業者は「詐欺罪」で告訴されたりするわけだ。

ということは、既存設置者には実質的には今とほとんど変わらないことになるわけで、どちらかというと、これ以上設置者が増えない方が電気代が上がらないで得なのかな、と思うわけだ。

もちろん、国会できちんと審議が行われるのなら、そういう大問題はあからさまになってくるのだろうが、そういう細かな話は、たぶん期待できない。