嫌な製品

2009-07-24 06:36:00 | マーケティング
以前から、「簡単にできるだろうけど、あったら困るサービス」というものの典型が、個人の動静把握機能。もともとタクシーの位置情報なんかは、タクシー会社にとって、合理的な空車の配置という収益モデルがあるので有効なのだろうが、それを人間に取り付けると、いきなり奴隷管理システム的になる。

nikkei から

NECビッグローブ、携帯GPSで社員の位置把握できる法人向けサービス

NECビッグローブ(東京・品川)は、携帯電話の全地球測位システム(GPS)機能で、社員などの位置情報を把握できる法人向けサービスを始めたと発表した。ナビッピドットコム(東京・港、篠崎登社長)と協業し、ネット経由でソフトを提供する「SaaS(サース)」方式で提供。低価格の月額制で導入可能で、営業要員の進ちょく状況管理や介護施設の人員管理での利用を見込む。

ナビッピドットコムのサービス「位置情報ASPサービスDP2」をビッグローブの法人向けネットサービスの一つとして発売した。社員など位置情報を把握したい人のGPS機能付き携帯に、専用ソフトをダウンロードして使う。


要するに、携帯に付いているGPS機能は、普通、携帯を持っているユーザーが、自己の目的の為に利用するわけだ。例えば、その場所の天気予報とか、目的地にいくまでの最短経路とか、合コンの二次会が発展していった場合、急遽近くの高級ホテルを予約したりとか、そんな目的だ。

ところが、その位置情報探索を会社が社員に対して行おうというわけだ。

「ちょっとお客さま回りで外出します」と言って出て行った社員の動静を上司の課長が、机の上のパソコンで監視するわけだ。

ということは、正しい目的で外出しない社員がたくさんいる、ということだろうか。そういうのは、なかなか統計が取れないので想像するしかないのだろうが、まったく余計なお世話だろう。

もちろん会社貸与のパソコンでも通勤途中でも持ち歩いている人が殆んどなのだろうが、寄り道情報とか全部会社のホストコンピューターに記録されてしまうわけだ。

少し、憲法に規定されている基本的人権に抵触するような感じが漂うわけだ。

しかも、位置情報を知られたくない社員たちは、コソコソとパチ屋や悪所通いなどに興じている小心者から、もっと巨悪をたくらむ企業犯罪者に至るまで、こういう小賢しいワナに嵌るとは到底思えないのである。

携帯をデスクの引き出しに入れておけばいいわけだ。

あるいは、携帯を持たないで外出した場合、あるいは電波の届かない場所に行った場合は、欠勤扱いとかになるのだろうか。

「アリバイ作り」用に、携帯電話だけを分単位で預けておける「携帯パーキング」とかできるのではないだろうか。