ナショナル・ジオグラフィック120年の歴史

2009-04-05 00:00:42 | 美術館・博物館・工芸品
nj1月刊誌ナショジオ(日本版)を読み始めてから2冊目なのだが、ちょっと日本人の興味と違うかなあ、と思っていて、たまたま、銀座で開かれている「ナショナル・ジオグラフィック120年の歴史」という展覧会に行ったのだが・・

まず、会場が銀座三丁目のフォーナインズ・ワークス。ガス灯通りに面しているというような地図を頼りにギャラリーを探すと、地図の場所に「999.9」という看板が見える。9が4つでフォーナインズということがわかる。しかし、・・

そこは、メガネ屋さんなのである。

一瞬、たじろいだがナショジオ120年展のポスターがあったので、会場の2階へ階段を上ると、そこには、今までに発行された日本語版の全冊子が並べられている。といっても日本語版が刊行されたのは1995年4月のこと。14年分約170冊が揃っている。展示されている冊子は全部手にとって読んでもいいのだが、会場には椅子がないので、立ち読みになるし、大体何を読んでいいのかさっぱりわからないので、結局、黄色の縁取りの雑誌の表紙を見比べてみるだけになる。

会場の片隅には、英語、日本語以外の他国語バージョンも展示されている。世界31ヶ国語で180の国で読まれているそうだ。国の数は200位なので、31言語以外の国民は、母国語がマイナーであることを思い知るしかない。中国語バージョンと日本語バージョンを比べて、検閲や伏字、塗り字がないかどうか調べようとか思ったが、どうでもいいのでやめる。

そして、会場は3階会場のショップスペースへ続くのだが、驚くことにショップというのは、メガネのショップなのである。メガネの森の中を通り抜けるとナショジオ発行の豪華本やDVDの販売コーナーがある。豪華本は「世界旅行」系とか「世界史」系が多く、旅行系の本は、「秘境」「食道楽」「宗教」といったところであり、世界史系は、「秘密文書」、「戦争記録」、「聖地」といったところである。第二次大戦のところあたりは、欧州戦線はかなり緻密に書かれているが、日本の方は、ごくあっさり。トージョーを始めとする拡大主義者が中国攻撃のついでに米国とも戦い始め、負け始めたのに戦争を長引かせ、最後は原爆が炸裂して昭和天皇が戦争終結を宣言した。というような筋書きになっていた。

ようするに米国人にとって、日本は「裏口」なのだろう。

さらに、米国人はあまり海外旅行をしないのだが、その代わりにナショジオを読んで、満足するのだろう。


nj1ところで、この31カ国語に広がった最初は日本語だったそうだ。つまり1995年に日本語版を出す前は英語版だけだった。なぜ、日本語から世界市場への拡大を始めたのかよくわからないが、たぶん、米国人の常識ともっとも遠い国民をリサーチすることで、世界展開の可否を判断したのかもしれない。そういえば、スターバックスの世界展開の最初も日本からだった。

そして、メガネ店の話。9999というので、9999円のメガネかと思っていたら、4万円台のフレームが並んでいた。店名をよく見ると999.9となっていた。どうも金の純度から命名した店名らしい。そろそろ金縁メガネの似合う年になったので純金フレームを店内を探したものの、そんな下品なメガネは見当たらなかった。やはり、日本だ。