カニバリズムモデルかな

2009-04-11 00:00:33 | しょうぎ
将棋世界誌の発行が日本将棋連盟から毎日コミュニケーションズに移る。将棋連盟の出版部が廃止になるからだ。これをもって、「選択と集中」というべきか、単に「合理化」というべきか、よくわからない。

事業資源を集中すべき分野があって、不採算部門を整理して資金や人間を収益分野に集中するのが「選択と集中」だが、収益部門がないのに不採算部門を片付けるのは「合理化」とか「リストラ」と言う(本来、「リストラ」というのは再構築を意味するはずだが、米国でも単に首切りのことを「リストラクチュア」と言ったりするようだ)。

また、本日の表題の「カニバリズム」だが、蟹をバリバリ食べることではなく、源語は「人食い」のこと。転じてビジネス上は「共食い戦略」を指す。「共食い」にもいくつかに分類され、たとえば「安い製品を出したら、高級品が売れなくなった→小型パソコン、第三のビール」、「今年売れた商品が、来年の売上げの阻害要因になる→ユニクロ」、「ネットでニュースを配信したら、新聞が売れなくなった」「休日割引を始めたら平日の売上げが落ちた→ゴルフ場」。「新しい路線が開通したら古い路線の売上げが落ちるだけだった→某私鉄」などである。

主に、市場が飽和して、さらに簡単には利益を得られない状態のときに起こる。

そして、将棋世界誌のことを考えれば、「週刊将棋(毎日コミュニケーションズ)」が始まったことにより、売上げが落ち始めていた、と聞いていた。しかも、最近は週刊将棋も売上げ減少中と聞いていた。原因はわからないが、ネット中継のせいかもしれないし、翌日にはプロ棋戦の結果を連盟が公開している。影響は大きいのだろう。

週刊将棋と月刊将棋世界というのは、今まで別会社が発行していたからこそ存在していたのであるから、今後、同一社内で並立させるのは難しいのではないだろうか。

私見だが、「将棋世界」は保守的過ぎるのである。数十年前から抜本的な変更はなし。狙っている読者層はよくわからない。多くの層を一種類の雑誌でカバーしようとするから、読む気にならない記事が多すぎる。したがって割高と感じて売れないし、売れないから書店にもならばない。

実は、今月は一冊買うつもりで、大型書店を何軒か回るも、どこにも売っていない。これでは、全国数ヶ所の書店を除き自宅配送している「詰将棋パラダイス」と同じような状態である。最初の一冊を買うのにも大苦労である。どこの書店で売られているか公表してほしいところである。実はしょうがないので図書館に調べに行く。調べにいたのは、最近はじめた「詰将棋サロン」への創作投稿先の確認なのだが、

確認すると、昇段コース以外の郵送先は毎日コミュニケーションズになっている(昇段コースは手放さないのだろう)。詰将棋サロンの郵送先も変わっていたのだが、実はもっと大きな問題があって、あて先を控える必要がなかったわけだ。

選考基準が発表される。

いまさらながら、詰将棋の選考基準が発表になっていた。きわめて意外である。どうも近代将棋が廃止になってから、詰将棋を作った人が将棋世界への投稿に切り替えたのではないだろうか。選者の気に入らない問題が大量に届くようになり、「それでは発表しておくか」ということではないだろうか。

その基準を読んで、唖然としてしまった。まったく基準はずれの作品を投稿していた。こんな基準だ。

1. ペンネームは認めない。
2. 初型は10枚前後とし、最大で12枚とする。
3. 持ち駒は、5~6枚までとする。
4. 配置は、6×6以内とする。
5. 双玉はきわめて狭い門で2年間に1作だけ。
6. 入玉もきわめて狭い門で、月間2問まで。

ということは、私の持っている以下の自主基準とは大きくことなるわけである。

1. 本名は使わない。
2. 使用駒は手数+1枚までとする。7手詰なら8枚以内。
3. 持ち駒は少ないほうがいい。特に、1枚が好ましい。
4. 配置はなるべく盤面の中央とする。
5. 入玉・双玉大歓迎。

つまり、お呼びじゃなかった、ということだった。

気分を捻じ曲げて、基準に合わせることは可能だろうが、まあやめておく。

頭の固い人たちの最大の欠点は、他人の言うことを聞かないために、そのうちに忠告する人もいなくなることだろうか。


さて、3月28日出題作の解答





▲4二飛引成 △3二香▲ 3三飛成 △1一玉 ▲3一竜 △2二香 ▲同竜 △同玉▲2三香 △3一玉 ▲2二香成 △4一玉 ▲3二竜 △5一玉 ▲5四香 △5三角(途中図1) ▲同香不成 △6一玉 ▲5一香成 △同玉 ▲6二角 △6一玉 ▲7一角成 △同玉(途中図2) ▲4六玉 △1七香成 ▲7二金まで27手詰

途中の△5三角が受けの巧手である。

が、さらに角を取ってから罠を打ち破かなければならない。最後は、ちょっとあっさりがっかりかな。

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