吉村コレクション?

2006-08-09 00:00:10 | 書評
1793e315.jpg読んでいる本の作家が亡くなるというのも、不意を打たれたようなものだが、吉村昭氏がそうだった。

8冊の本と二作の映画を観ていた。第二次大戦を戦場からの生存者の情報で組み立てる。江戸から明治までの人物は、調査に調査を重ねる。また映画になった「うなぎ」や「魚影の群れ」も登場人物がすばらしく生きている。


10年ほどの間に読んでいた著作は次のようなリストになる。ちょうど1年に一作程度。いつも書棚に未読の一冊があり、「吉村昭を読もうではないか」という気合が充実してきたら手にする、といった具合だ。

 史実を追う旅
 逃亡
 旅行鞄の中
 遠い日の戦争
 深海の使者
 星へのたび
 脱出
 東京の戦争

 戦史の証言者たち(8月7日読了)

並べてみると、幕末歴史物をあまり読んでいない。そして、彼は、短い題名が好きだ。

そして、少し下世話な話になるが、読了したばかりの「戦史の証言者たち」を読むと、取材で知己を得た多くの方々から、貴重な資料や思い出の品々を預かっている、という記載が多々ある。

貴重な『吉村コレクション』が残っているのではないだろうか。

資料の中には、戦史小説の素材が無限大の分量で残っているのだろうとは予想される。

吉村昭記念文学館を建てるしかないだろう。