ところが、解決していないアニヴェルセル

2006-08-30 00:00:28 | 美術館・博物館・工芸品
4e44f944.gif昨日、アニヴェルセルはバースデーと名前を変えて、ニューヨーク近代美術館(MoMA)にあった、と書いたが、どうも嫌なムードを感じていたが、大問題がわかってきた。

ニューヨークMoMAの絵は、1915年の作。そして、もう一枚1923年作があるということなのだ。

シャガールの部屋へ恋人ベラが花束を持ってきたのは1915年のこと。それを題材に直ちに描かれたのが1915年作である。ところが、その絵を購入したのはロシア人実業家だったのだが、その後、第一次大戦やロシア革命のどさくさで、この絵はフランスから姿を消してしまう。紛失。

しかし、シャガールと妻になったベラは、絵画の紛失を嘆き、まったく同一の絵を描き直したということらしい。これが1923年版。そして、夫妻は、その絵を生前は手元から離さなかったそうである。

そして、現在、1枚目がニューヨークMoMAにあり、2枚目はアオキが所有していたことがわかっている。題名が異なるのは、違う絵画だからなのである。ということは、以前はニューヨークにはMoMAとグッゲンハイムの2箇所に2枚あったことになるのだろうか。それなら、2枚目は本当にアオキは手放したのだろうか。またアオキあるいはその直前に所有していた日本人X氏は1923年作が二枚目のアニヴェルセルであったことを知った上で高額を払ったのだろうか???


何かわからないかと、表参道のアニヴェルセルビルに行ってみる。ここの地下1階のギャラリーにその絵画はあったはずで、毎年2回ほどシャガール展が開かれていたのだが、2005年1月19日から4月10日まで展覧会が開かれた後、アニヴェルセルは4月20日から7月3日まで福島県の諸橋美術館で展示されていた。そして、その後の行方が不明になっている(と私が思っているだけかもしれない)。

表参道のビルは、一階が装飾品を販売しているのだが、そこの女性社員に聞いてみる。

 葉一郎:確か、地下にギャラリーがあったはずなのですが・・・
 社員A:前はあったのですが、廃止になってしまいました
 葉一郎:それでは、そこにあった絵もなくなったのですか
 社員B:もう展示してないのですよ

もっとも展示してないからといっても、手放したかどうかはわからない。案外、港北ニュータウン内の本社ビル社長室に飾られていることだって考えられるわけだ。まして、九州の紳士服量販チェーンのフタタ買収費用は買収失敗で要らなくなったわけなのだし・・

いずれにしても、今度、どこかの展覧会等で、この絵が登場した場合、1915年作か1923年作かというのは大変な見所になるわけだ。

そして、この2枚は同じだ、と言っても、1枚目を見ながら2枚目を写したわけではない。1枚目がなくなったから2枚目を描いたわけだ。ホームページからカットして二枚を較べてみる。色調の違いは、画像処理の差だが、左下のテーブル前面の大きさや影が違っていることがわかる。