出生率上昇の兆し

2006-08-23 00:00:50 | MBAの意見
出生率が上昇に転じているそうだ。雇用の増加、結婚数の増加、中絶の減少ということだそうだ。3つの要因は結局同じことかもしれない。毎日の記事を紹介。



<人口動態統計>6年ぶり出生数増加 今年上半期

厚生労働省は21日、今年上半期(1~6月)の人口動態統計速報をまとめた。出生数は前年同期比1万1618人増の54万9255人で、上半期ベースで00年以来6年ぶりに前年を上回った。同省は雇用の改善傾向に伴う結婚件数の増加や、人工中絶数の減少が原因ではないかと分析している。05年に1.25と過去最低を更新した合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子ども数に相当)は97年以降前年割れ・横ばいが続いているが、06年は9年ぶりに上昇に転じる可能性がでてきた。

06年の月別出生数を前年同月と比べると、1月は前年を下回ったものの、2~6月は5カ月連続で増加。5カ月連続増は00年の8~12月以来5年半ぶりだ。この時は6カ月目に減少に転じたが、06年下半期(7~12月)の出生数が例年のペースを維持すれば、06年通年の出生数も00年以来6年ぶりに前年を上回ることになる。

出生数が増加に転じた背景として、厚労省は景気回復に伴う雇用者数の増加を挙げる。雇用者数は05年6月以降13カ月連続で前年同月を上回っている。これを追うように結婚数も05年後半から増え、06年上半期は05年同期比1万936組増の36万7965組となった。上半期ベースで結婚数が前年を上回ったのも6年ぶり。

一方、05年の出産1000件に対する死産率は、自然死産が12.3で04年比0.2ポイント減なのに対し、人工中絶によるものは16.8で0.7ポイント減少した。同省は「仕事が見つかって結婚に踏み切った人や、中絶しなくとも生活できると判断した人が増えているのではないか」と見ている。

05年は人口の自然増加数(出生数―死亡数)がマイナス2万1408人となり、人口減少時代に突入した。06年上半期の自然増加数は依然マイナス1万4827人だが、05年同期に比べるとマイナス幅が1万6207人縮まった。しかし、06年通年で自然増加数がプラスに転じるかは依然微妙だ。(毎日新聞) - 8月21日20時46分更新

a6f33cd3.jpg個人的には楽観的に考えているのだが、日本の現在の人口ピラミッドを見ると、二つの山がある。「団塊世代」と「団塊ジュニア」である。もちろん「団塊ジュニア」の原因は「団塊世代」であり、その原因は「世界大戦」である。

また、団塊世代と団塊ジュニアの山の間隔は30年である。早い話が、団塊世代が会社に就職した頃は、定年50歳とか55歳だったはず。高度成長政策により、有効雇用者数が増大し、うまい具合に団塊世代の男たちは、大部分が定職確保に成功。もちろん、「電電公社」という、「電線マンと交換手」という巨大職場を創出した組織もあった。

幸か不幸か定年は延長され、60歳まで職場が確保されたわけだが、その延びた10年間に加え、バブル崩壊という不運も重なり、自分のこども達の職場を奪ってしまったわけだ。そして結局、孫がいなくなってしまったわけだ。

しかし、ピラミッド上から、この二つのコブが「存在しないもの」と考えてしまえば、かなり「ローソク型ピラミッド」になっているのではないかとも読み取れるような気がする。つまり、男女とも毎年60万人程度が生まれると仮定すると、1年の出生数は120万人(現在は108万人)程度。平均年齢82歳を掛けると、9840万人になる。それ位いれば十分ではないかとも思える。

が、一つの問題は、さきほどコブとして計算から除外した人数(約2000万人)。その人たちの社会保障費(年金・健保・介護保険)については、財源がないのである。肩幅を狭くして寄り合って生活して頂くしかないのかもしれない。そして、戦後問題がまた一つ片付くのである。