人気blogランキングへ 今日は時々曇りましたが、久々の気持ち良い晴れ間を見ることができました。
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クラッチはハンドレバーを握ると、ワイヤーが動きレリーズレバーを引いて、その動きがレリーズフィンガーに伝わり、矢印の方向にプッシュロッドを押します。プッシュロッドはその先のクラッチ本体のプレッシャープレートを押して、ドライブプレートとフリクションプレートに掛かる圧力を除き、クラッチを切ることができます。
プッシュロッドはプレッシャープレートと共に回転しているので、レリーズフィンガーに回転力を伝えないためにスラストベアリングが必要となっています。
この風景を見ることが可能になったのは超能力や透視カメラを使ったわけではなく、以前居たHメカニックがへまをしてクラッチを外す際に、プーラーでプッシュロッドを押してカバーを突き破ってしまいました。その壊れたカバーを保存していたので、今回の”カットモデル”に役に立ったというわけです。シアワセは何処に転がっているか分からないものです。
この写真は前回も使いましたが、赤矢印の穴が丸くなってしまったオイルスリンガーをチョット説明いたしましょう。青矢印は5速ミッションとも共通のニードルベアリングです。5速ミッションではそれほど壊れないので、部品の選定が間違っているとも思えませんが、何故か4速ミッションでは良く壊れます。
オイルスリンガーはプッシュロッドと一緒に回る必要があるため、矢印のような形状になっています。このスリンガーの変な形状は、周りのギザギザでミッションオイルを掻き揚げて、テーパーの部分でベアリングにオイルを流し込むようになっています。
つまり、オイルレベルとベアリングの位置関係は微妙であり、常にオイルが回っていないとあの小さなベアリングは壊れてしまうでしょう。かといってオイルを規定以上に入れると、ロクなシールがないキックシャフトからオイルが洩れるのも想像できます。
オイルスリンガーの重要な役目がお分かりでしょうか?
実は壊れる原因は調整の方法にもあることが判明いたしました。
このカットモデルのお陰ですが、プッシュロッドを矢印の方向に押しても写真の位置で止まってしまいます。ココでいくつかの不具合が生じます。
- 黄色矢印はオイルスリンガーとレリーズフィンガーが接触してプッシュロッドを押さえているので、スリンガーが動かないのに無理に回されプッシュロッドやスリンガーが壊れる。
- この状態でワイヤー側で遊びをとると、プレッシャープレートの側では突っ張っているのに、ハンドレバーには遊びがあり、”クラッチのキレが悪く、滑る”という最悪の状況に・・・。
- スリンガーが回転しないとベアリングに給油されないので、ベアリングが壊れフィンガーまで壊れる。
各位置関係を見ると分かりやすいです。赤矢印はスリンガーとフィンガーが接触しています。
ベアリングが壊れ遊びが急に大きくなって調整だけで乗り続けると、このようにフィンガーの先端が磨耗してしまいます。
プッシュロッドもこのように・・・・。
レリーズレバーの位置はマニュアルにも記載されています。①はラチェットトップミッションで②はロータリートップです。
図の数値を守ると大体このような位置ではないでしょうか。
マニュアルの数値には、このような重要な事柄も含まれています。4速ミッションのクラッチは車齢も経っているのもあり、更に適切なメンテナンスもされていないと不具合になることが多いので、アチコチ無闇に弄り回すと2次災害以上の事態に発展することがあります。
人気blogランキングへ ランキングも今日の晴れ間にようにスカッと行きたいものです。
この記事を書いてダイブ月日も経って、現場からはすっかり離れてしまったので、
適切な回答を出せるかが不安ですが。
この記事はフィンガーがオイルスリンガーにブレーキを掛けてしまい、スラストベアリングがオイル切れを起こして壊れるという”仮説”ですから、各部品が正常に近ければ寸法を参考にすることが出来、前述のトラブルを避けることが可能になると思います。
今では色々な社外品が組み込まれている可能性がありますので、頑なにマニュアルの数値を守ることが正しいとも思えません。
ではどうしたらいいかと言えば、このケースならプッシュロッドに適度な遊びがあり、オイルスリンガーを指先で回転させてみてブレーキが掛かっていないかを判断すればイイのではないでしょうか。