ハーレーのショベルヘッドエンジンのシリンダーベースガスケットは左のような形状で、栄エンジンなら右側のような形になる。
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画像はウイキペディアから
画像はttp://non-chan.sakura.ne.jp/Okkiimono/PKc/PKc_01.htmより転載
パイプなどをつなげる方法として、端に出っ張りを設けボルトで接続するのはフランジ継手といって基本的接続方法だ。強度を必要とする大径の水道管(画像上)や高圧線の鉄塔(画像下)などに良く見られる。ボルトの多さは栄エンジンを見ているようだ。
そのフランジを使ってシリンダーを固定するなら最低でもボルトは4本が必要だが、45度Vツインではシリンダーの角度が狭く、このように前後のシリンダーの間隔はぎりぎりだからフランジの大きさは最低限といえるほどだ。スペースを広げようとすれば挟み角を広げるか、クランクケースを大きくして取り付け面をクランクセンターから遠ざけるしかない。
そういうわけでガスケット面積に制約があり、どうしてもこのような形状になってしまうが、この形状はスペースを有効に使うには合理的だが、面圧を均一にできない。
シリンダーの中心線に直角に赤い線を引くと、それを中心に穴の中心から内側と外側ではガスケットの面積が大きく異なるのが分かる。
これは以前、”鋳鉄シリンダーボア測定””鋳鉄シリンダーボア測定②”でも紹介しているが、A’Aはガスケットだが、面積が小さいAは高い面圧を受けて”座屈”してしまい薄くなる。そうなるとフランジには付け根部分を中心に曲げのモーメントが働き、ボアの寸法に影響を与え、B>B’の関係になる。メーカーのサービスマニュアルでは、再ボーリングに”トルクプレート”を使用することが推奨しているのはこういう理由だ。もちろんその時は組み立て時と同じガスケットも使わなくてはならない。
ボア寸法の変化は場所によって異なるが、紹介ページのときの測定では最大5/100mm変わってしまい、ボーリング時の指定クリアランスと近い数値になるから、組み立てると部分的にクリアランスはなくなってしまう。見た目では丈夫そうなフランジもネジの締結力には1/100mm単位で簡単に変形してしまうをお忘れなく。
続きは貫通ヘッドボルト。
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