ピストンエンジンは永遠か!な?

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SUキャブの”チョーク”

2005年12月10日 | 吸気系
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SUキャブのチョークは構造的にはエンリッチナーと前にも書きましたが、ここではメーカーの主張通り”チョーク”と呼びます。
チョークを作動していないときには、アイドルストップレバーはアイドルスピードスクリューに乗っています。
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チョークカムレバーを回転させて作動させると、アイドルストップレバーに付いているファーストアイドルスクリューがチョ-クカムレバーに乗ってスロットルバルブを少し開き、ファーストアイドル状態(高いアイドル回転)にします。

このときはチョークカムレバーはファーストアイドルスクリューに引っ掛かって戻らないようになっていますが、アクセルを開けると引っ掛かりが外れ、チョークはパチンと戻るのが正常です。

ちなみにエンジンが冷えているときに、ファーストアイドルが効かないでチョークだけ作動させると、エンジンは止まってしまいますので適度な回転数に調整する必要があります。
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チョークカムレバーを回転させると写真右のスピンドルが回転して、それぞれの青矢印の小さいポートの位置が合致し回路が開き、フロートチャンバー内のガソリンが供給されることになります。
緑矢印のポートの形状に注意すると、その形状から回転角によりガソリンの通過量が変化させるような意図も見られますが・・・・。
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キャブ本体の通路はどういう風になっているかというと・・・・。
はフロートチャンバーからガソリンが入ってきます。
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はフロートチャンバーのこの位置に開口していて、一番低い所からからガソリンを供給します。
はフロートチャンバーの一番上のほうから空気を吸い込むようです。
B通路のフロートチャンバー側はリストリクターといって、穴径を絞り空気量を制限しています。
Bは一見不要のような気がしますが、ないとガソリンが多すぎるし、リストリクターの穴が大きすぎるとガソリンが吸われなくなってしまうので、これでバランスが取れているのでしょう。
*ココが詰まってしまうとオーバーチョークになってしまうでしょう。

きっとチョークスピンドルのポートの大きさだけではガソリン供給量の制御ができないのと、ベンチュリー内の負圧がさほど高くないのでガソリンと空気が混じった状態のほうが効果が高いと思います。
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はスピンドルを通過したガソリンと空気がベンチュリー内に流入するポートです。
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は機能的に?ですが、上の写真の?とつながっていてスロットルバルブのバイパスになっています。

*チョークからガソリンが内出血?
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この写真はチョークがオフの状態ですが、赤線はチョークボディとスピンドルのポート位置の角度を示しています。
チョークを作動させるのには、チョークカムを反時計回りに約90度回転させる事になりますが、スピンドルには両面にポートが開いていますので、ストッパーが何らかの理由で働かなくなり通常の戻り位置より先まで戻ってしまうと、チョークが作動してしまうことになってしまいます。
つまり、チョークから垂れ流しになってしまい、いくら調整しても空燃比は濃すぎて、調子は良くなりません。
*訂正
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チョークOFFでは、カムレバーの位置がこの写真のようにストッパーにあたるのが正常です。
上の写真の状態では、垂れ流しの恐れがあります。
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スピンドルの写真ををさらに拡大してみると、ポートの形状は角度によって供給量を変えるのではなく、チョークカムレバーの角度がぴったり合わなくても回路が開くようになっていたのでした。
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コレはスピンドルがチョークボディに組み込まれた状態ですが、Oリングとシールはこのように付きます。
部品の劣化による不具合が考えられるのは
スピンドル、ボディの磨耗・・・密閉度の低下によるガソリンの内部リーク
Oリングの不良・・・・・・・・・・・密閉度の低下によるガソリンの内部リーク
シールの不良・・・・・・・・・・・・ガソリンの外部リーク

ティクラポンプを使えば寒冷時の始動は問題ないと思いますが、チョークを使わないとすぐに止まってしまいます。
チョークをうまく活用すれば、より快適にSUキャブレターを楽しむ事が出来ると思いますので、この項が役に立てば幸いです。