goo blog サービス終了のお知らせ 

ピストンエンジンは永遠か!な?

バイクを中心に話題を紹介します

マフラーの容量⑫

2006年06月29日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   マタマタ首位陥落!!  クリック是非お願いします。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

お待たせいたしました。このシリーズも12回目にして遂に本題に近づいた感じです。

S31_8

内燃機関は外燃機関に較べて効率は良いのですが、それでもアチコチにロスは生じてしまいます。

ガソリンエンジンのホトンドは回転数や発生トルクの制御を、スロットルバルブを開け閉めして行います。

キャブレターでは混合気を、インジェクションではエアーの吸入量を、アクセルに連動したスロットルバルブで制御しています。

上の図のようにスロットルバルブが全閉に近い状態では、吸気行程でピストンが下降しても吸入ガスは制限されて、スロットルバルブ以降のポート、シリンダー内は圧力が下がるだけで、アイドリング時では設定された回転数を保つだけのガス量しか吸入できません。

言い方を変えると、シリンダー内に発生するマイナス圧力がピストンの動きにブレーキを掛ける事になり、ココで生じる抵抗をポンピングロスと称します。

因みにアイドリング時の可燃ガスは最小であるだけでなく、バブルスプリングを押し下げる時に生じるカムローブ上のフリクションロスなども生じるので、低回転で安定したアイドリング状態を続けるのには大きなフライホイールマスの慣性質量が必要になります。

ピストンベロシティが大きい時ほど抵抗が大きくなるので、シフトダウンしてエンジンブレーキを使うことは、コノ事を最大限に利用しているとも言えますね。

S32_3

それでは、スロットルバルブが全開ではどうでしょうか?

特に2バルブエンジンでは行程容積に対したバルブ面積が充分ではありませんから、小赤矢印で示したバルブシート近辺がボトルネックになります。

平均ピストンベロシティが25m/sでは、吸気ポート内のガス流速が90m/sにもなるというデータ(レーシングエンジン)もありますので、高回転エンジンでは大きなバルブ面積が必要だという意味も分かります。

10月21日の記事でスズキの3次元カムのエンジンを紹介しましたが、あの時点では感激しましたけれど、ココでの目玉のスロットルバルブを廃してポンピングロスを解消する件は、あまり意味がないように見えますね。

ディーゼルエンジンの効率が良いとされるのは、バルブシートがボトルネックになるまでは、吸入空気に制限を設けないで供給燃料の量でパワーを制御しているからで、3次元カムでバルブのリフト量を変化させて吸入空気量の制御をしても同じような気がします。

S33_4

とうとうマフラーの図が出現しました。

燃焼済みガスは排気行程で排出されますが、ココでも時と場合によって?ピストンの動きをガスが阻害いたします。

排気バルブは、燃焼ガスの圧力が最大になった後に、下死点前に開いてシリンダー内の圧力を下げますが、スロットルバルブが大きく開いた状況では吸入ガスのボリュームも大きく、当然燃焼済みガスのボリュームは大きくなります。

燃焼済みガスのボリュームが大きいと、「マフラーの抜け具合」は排気ポートの圧力に影響して、更にシリンダー内のガス圧力にも影響します。

「マフラーの抜け」が悪ければ、いつまでもシリンダー内の圧力が残っていて、2回転のうちタッタ一行程で得られるパワーの一部が残ったガスを押し出すのに使われてしまい、パワーロスになります。つまりマフラーの性能が使えるパワーの大きさに影響するわけです。

マフラー内とシリンダー内の圧力に大きな差があるとすれば、ココでもバルブシートがボトルネックになっている可能性もありますね。

S34

スロットルバルブが閉まっていて、吸入ガスのボリュームが小さければ、燃焼済みガスのボリュームも小さく、ピストンの運動を妨げる圧力は相対的に小さくなります。

ココで考えるマフラーの性能は速やかに燃焼済みガスを排出することですが、スロットル開度が小さい時では、マフラーの性能があまり問題にならないのがココで分かります。

多くの人が望むのが、良い音がして性能の良いマフラーです。勿論、良い音=大きい音ではないのはバイクに乗っているご本人も承知だと思われます。

バイクではマフラーの設置位置やスペースが限定される実態に較べ、この先に考察したいと思っている要素はかなり複雑です。ワタシの能力で何処まで解析できるか不明ですが、ここまできたので最後までがんばりましょう。

人気blogランキングへ   応援の気持ちでクリック、是非お願いします。


マフラーの容量⑪

2006年06月27日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   1日1回のクリック、是非お願いします。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

エボエンジン燃焼室

S91 

スキッシュエリアのないショベルエンジンのヘミヘッドから、エボリューションエンジンのフラットピストンヘッドの変形バスタブ型燃焼室になり、巨大なスキッシュを備えました。

4バルブヘッドにより可能な縦型スワールは、燃焼速度を上げるのに有効なのは立証されていますが、2バルブヘッドでは縦型スワールの実現が困難なため、このようにスキッシュを大きくしたとも考えられます。

①の図ではピストンが上死点に近づくにつれスキッシュエリアの隙間がなくなり、スキッシュ流が生じるのが分かります。

②は上死点ですが、③の図になるとピストンは下降しスキッシュエリアに吸い込み作用が生じ、燃焼速度の加速も考えられます。

ところが、ピストンが上死点付近にあるときは火炎伝播距離が小さいのですが、下降するにつれスキッシュエリアの部分が奥深くなり、ノッキングの巣窟になる可能性大です。図をみても角がいかにも邪魔ですね。

この形式では燃焼速度の遅い希薄燃焼は無理です。

TCエンジン燃焼室

S92

バルブを挟んだ両サイドにスキッシュエリアを配したTCエンジンでは、大分(スキッシュエリアも)小振りになり改善されています。

その燃焼室形状により、2バルブながら縦型スワールを形成している可能性があり、かなりのレベルで希薄燃焼が行われています。

しかし、2バルブではセンタープラグの配置はいまのところ不可能であるため、プラグの遠い方のスキッシュエリアではノッキングが発生する可能性が残っています。

とうとうノッキングも?

S93

これはトヨタの一部の車種で既に採用されているスラントスキッシュ燃焼室です。

ターボで過給されている三菱の”アイ”でも、ノッキング対策で採用されているようですが、ガソリンを燃料とする内燃機関では長年ノッキングには悩まされ(ディーゼルノックもありますが)、エンジンの発展はノッキングとの戦いとも言えますけれど、1937年に燃焼の進行が高速度カメラにより撮影する事が成功してから、打ち勝ったと思われたのですが、排ガス規制が高度化するにつれ燃焼速度の遅い希薄燃焼によるノッキングがまた立ち塞がろうとしました。

勿論電子機器の発達により、ノックセンサーで点火タイミングを制御する解決方法も大したものですが、いつもタイミングを遅らせていたのではパワーもそれほど期待できませんでした。人間の飽くことなき挑戦は、更なる発達を可能にするようです。

完成した後を見ると、幾分”コロンブスの卵”的ですが、逆スキッシュ流と燃焼ガスの圧力の相乗効果燃焼速度を加速して、隅々までを燃焼を行き渡せる設計は一番進化したといえるでしょう。

今まではピストントップは平らで突起がないのが良いとされていましたが、常識がここで覆ったのかもしれません。将来的にはコレもバイクのエンジンに採用されるでしょう。

しかし、この進化した燃焼室も4バルブと組み合わせてこそ真価を発揮するものです。そして4バルブは熱歪みの心配が大きいので水冷の必要があります。

そう考えると、どうしても運転温度の高くなる希薄燃焼では、空冷エンジンにおいて成り立たなくなる要素が多く、平成18年規制の数値が限度かもしれません。

次はポンピングロスです。

人気blogランキングへ   お帰りのついでに、クリック是非お願いします。


マフラーの容量⑩

2006年06月26日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   1日1回のクリック、是非お願いします。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

サッカーワールドカップも決勝トーナメントが始まり、壮絶な試合が見られます。イングランドもベッカムのフリーキックが決まらなかったら危ないところでした。アルゼンチンの決勝ゴールもスーパーでしたね。

日本代表チームが敗退してガッカリしている方も多かろうと思いますが、現実を考えると決勝トーナメントの場にいたら逆に不自然のような・・・。

今後のオシムの手腕に期待したいところです。しかし川渕キャプテンのフライングは・・・オカシカッタ。

S82

V型バルブ配置の歴史は古く、一説によるとバルブ間の冷却のために考えられたそうです。

なにしろ第一次大戦前後の航空機エンジンでは、冷却に困ってエンジン自体を回転させるロータリーエンジンも主流になったり、固定式にしたイギリスのワスプなどはヘッドの熱変形のためにバルブが焼き付き、その消耗はオイルや燃料よりも重量では多かったという話もあります。

ちなみにバルボリンというオイルのブランド名は「バルブが焼きつかないぞ」と言うところから?

上の図のように特にフラットトップピストンの燃焼室では、V型バルブ配置はバルブオーバーラップ時のガス交換の効率が良く、燃焼済みガスが新ガスに追い出される様子が分かります。

S81_1

ワタシが青春時代を送った昭和40~50年代のクルマは、OHVがほとんどで、良くてもSOHCでした。

無謀にも給料の大部分をつぎ込んで20歳の時に買ったベレット1800GTは確か車両価格80万円!で、127万円?のDOHCの1600GTRにはサスガに手が届きませんでしたね。物価から考えれば3倍くらい?ベレットを45万で下取りにだして買った初代シビックGLは50万でした。

それでもSUツインキャブで115馬力は1トン弱の車両重量には充分で、随分と楽しませてくれました。

当時のSOHCエンジンはただプッシュロッドがないだけという、ロッカーシャフトも1本しかないウエッジ型の燃焼室が大方で①のようなカウンターフローです。

吸気と排気の方向が逆であるカウンターフローでは、ガス交換には不利なのが分かると思います。しかし、いくらクロスフローが良いと言っても②のような形式は見たこともないし、意味もありません。

それでも、ニッサンのL型やA型は長きに渡り活躍して、今でも人気が高いサニートラックは1994年まで生産されていたようです。

燃焼速度と充填効率を向上しにくいカウンターフローは、石油危機や排ガス規制の波に押されて次第に姿を消しますが、40年前の日本は現在と比較にならないくらい貧乏で、今のようにDOHCエンジンが普及するなんて想像もできませんでしたね。ハーレーなどはワタシの地方ではホトンドみかけませんでした。

後から考えれば高度成長の途中である当時の状況では、OHVエンジンでもクルマに乗れるだけでも有り難い時代だったのです。

それが今ではOHVが珍重されるとは、分からないものです。

次はスキッシュについて。

お願い 人気blogランキングへ   クリックがまだでしたら、是非お願いします。


マフラーの容量⑨追記

2006年06月25日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   1日1回のクリック、是非お願いします。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

S38_1

上の図でクランク角30°でのピストンスピードを7~8m/sといたしましたが、シリコンバレー在住のus05 1200rさんから、早速資料とご教授をいただき、10.9m/sとマトモな数字を書き込むことができます。この場でも感謝申し上げます。

最大速度はストローク×π×3600(回転数)÷60(秒)で計算できるクランクの周スピードとほぼ同じと見たので、「当らずとも遠からず」の結果です。

S81

数式は思ったより更に難しいのですが、上のグラフは頂いた資料の一部でクランク角とピストンスピードの関係です。

「pistonvelocity.xls」をダウンロード

上記にストロークとコンロッド長の数字を入れ替えると各角度の速度がでるように、計算式が挿入してありますので、宜しかったら試してください。これはus05 1200rさんの作品だと思います。

ちなみにピストンスピードは和製英語のようで、piston  velocityが正しいようです。

皆様もピストン速度を語る時はピストンヴェロ(ラ)シティ(ー)と言ってみてください。

 人気blogランキングへ   お帰りの際にはクリックお願いします。


マフラーの容量⑨

2006年06月23日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   1日1回のクリック、是非してくださいネ。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

S39

前回の記事では燃焼圧力が最大になるのは、クランク角30°くらいと申しました。

ピストンの上下運動をクランク軸を用いて回転運動に変換する一般のレシプロエンジンでは、単純そうですけれど、掘り下げて考えると思いのほか複雑です。

左がクランク角30°の図ですが、クランク軸の中心とコンロッドピンの中心を結んだ緑両矢印をテコに見立てると、最大に力を発揮するのは、右の図のA=90°であるクランク角約74°付近ではないかと思われます。

S38

それでは何故クランク角上死点後30°(これも仮定ですが)なのでしょうか?

ピストンは上下運動の繰り返しなので、ご承知のように両端で一旦停止します。つまりピストンスピードはゼロです。クランク角90°前後でピストンスピードは最大になりますが、通常は平均スピードで表します。

上の図ではクランク角30°でピストンスピード7~8m/sと書いてありますが、ワタシの能力ではスグにここのピストンスピードを正確に計算することはできませんが(ドナタか計算をして頂くと助かります)この辺りのスピードと思われます。

つまり、クランク角が大きくなるにつれて燃焼室容積も大きくなるので、ピストンの動きに燃焼スピードが追いつかなくなるのではないでしょうか?

言い方を変えると燃焼スピードが30m/s程度では、最大ピストンスピードの20m/sとソウ変らないので、パワーは出ない事態になってしまいます。

最大燃焼圧力のタイミングは点火タイミングで変るので、数字はともかく、コウいったことをイメージしておくと役に立つかもしれません。

S33_3

これは戯言ですが、ストロークを半分にした図を描いてみました。行程容積はほぼ同じです。

やはり緑両矢印をテコに見立てると、ストロークが長いほうがトルクが大きいのが分かりますが、細かい条件を抜きにすると、単位面積あたりの燃焼圧力が同じであればテコの長さは半分ですが、ピストンの受ける圧力は倍になるので同じトルクを発生する事になります。

ところが違うのはピストンスピードも半分になるので(当たり前ですが)、通常ではオーバースクエアのボアが大きいエンジンではバルブもポート径も大きくなります(それが目的?)。それは3600rpm程度では吸気速度が遅いため、充填効率も低いので燃焼圧力は低いものになります。

高回転が苦手のロングストロークが低回転で楽しめるのは、この辺りに秘密(じゃない?)があります。

お願い 人気blogランキングへ   お帰りのついでにクリック是非お願いします。


マフラーの容量⑧

2006年06月22日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   トップはキープ、されどポイントが上がらず。是非クリックしてくださいネ。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

このシリーズも8回目ということですが、まだまだ先が見えてきませんね。

チョット寄り道  このブログの初期にはスポーツのことなども書いていましたが、最近はあえて書いていませんでした。しかし、サッカーワールドカップの日本の試合を2つ見て、明日の朝にブラジル戦を控えているとなると・・・・・。

プロスポーツ選手は言うまでもなく、報酬をもらってプレーをしているわけですから、プレーに価値がなくては非難をあびても何も言い返せません。アマチュアでもオリンピックなどで期待に沿えないと、やはり非難を浴びてしまいます。                                                   

なにしろマスコミが朝から晩まで期待を込めて報道していますから、我々大衆もその気になってしまいます。それはそれとして、他の国の代表の試合振りを見ていると、日本選手の活躍には疑問が生じます、

やはりゴールへの執念が違うというか、特にFWにはガッカリです。高原にしても親善試合のドイツ戦のシュートは素晴らしかったので、アレですっかり満足してしまったかのようです。

ワタシの息子が何年も前から「いつシュートを打つのかヤナギ!」と言うように、以前からシュートを打たないFWの評価が最近はそうでもないように見えたのが、肝心なときに相手キーパーにパス!では・・・・。メンタルの問題としか言いようがないですね。

ワタシは少々たしなみますが、ゴルフはメンタルのスポーツとよく言います。確かにショットのタイミングは自分で決められるので考える時間がありすぎて、その瞬間にヤル気がありすぎても無さすぎても良い結果は得られません。目の前のボールに集中できた時だけ褒美がもらえます。

メカニックの仕事はどうでしょうか?イイトコ見せようとしても、ズボラをしようとしても良い結果は得られません。

前置きが長くて失礼でした。

                                                 

S61_1

燃焼室の紹介でコチラが途切れてしまいました。

S2_62

圧縮された混合気は温度も上昇して、点火を待つばかりです。

通常の点火方式は誘導放電と言いますが、実際には容量放電との複合になるようです。高圧化での放電は大気圧でのそれより大きな電圧が要求されます。放電可能な最低電圧を要求電圧といい、圧縮圧力やプラグギャップが大きくなるほど、電極温度が低いほど、要求電圧は大きくなります。

ハイコンプにしたり、何らかの理由でプラグギャップが大きくなったり、エンジンが冷えているときなどにミスファイアする原因はここにもありそうです。

イグニッションコイルの故障の原因にも、要求電圧がギリギリの状態が続くと、コイルのオーバーロードが考えられます。

最初の容量放電で放電路ができると、そのあと誘導放電が続きます。この時間は1/1000秒といわれ非常に短い時間に思われますが、”マフラーの容量⑤”で計算した3600rpmでのクランク角一度の所要時間では0.000046秒ですから、21度も回転します。

圧縮された混合気が燃焼を始める前にスパークは卵型の火炎核を形成します。

火炎核は非常に小さいので、エンジンが冷えている場合や冷え型すぎると電極の温度が低く、消炎作用によって火炎核が消えてしまい、ミスファイアになってしまう事があります。これを改善したのが電極の細いイリジウムプラグなどですね。

S21_9

火炎核により混合気が燃焼を始めてからは急速に進み、優れたレーシングエンジンでは上死点後15度くらいで燃焼圧力が最高頂に達するそうですが、普通のエンジンでは30度くらいでしょうか?

よくエンジンの燃焼のことを爆発と表現しますが、ガソリンエンジンでの燃焼スピードは最高でも90m/sくらいですから、500m/sといわれる爆発の燃焼スピードとは違います。誰でも燃焼室とは言いますが爆発室とは言いませんものね。

燃焼がすべて終わるのはもう少しクランクが回転してからですが、一番上の図の⑧では排気バルブが開き始めてしまいます。

ハーレーのような比較的低速型エンジンでも下死点前40度くらいに排気バルブは開き始めますから、高回転型エンジンではもっと速い時期に開きます。

前述のように優れたレーシングエンジンでは早々と燃焼を終えてしまう必要性も理解できます。

排気バルブが開いたほとんど瞬間にはシリンダー内の圧力は下がり、排気行程の邪魔にならないように備えます。つまり、下死点で排気バルブが開き始めたのでは、間に合わないのです。

そして一番上の図の⑨では吸気バルブが開き始めますが、燃焼済みガスはまだ燃焼室に残っていますけれど、優れた設計のエンジンでは、最大トルクを発生する回転域付近では吸気ポートの流速が充分で、勢いのある新しいガスが圧力の下がった排気ポートに燃焼済みガスを追い出してしまいます。

これは燃焼室の形状にもよりますが、排気ポートの圧力を速やかに下げるのは排気系統の仕事になります。

ココまで来るとバルブタイミングの役目も良く理解できます。

続きます。

 人気blogランキングへ    よく更新するね~とか思って頂いたらクリックを!


マフラーの容量⑦

2006年06月20日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   追い上げが迫っています!!是非クリックしてください。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

期待の大きさも感じていますが、まだ本題に近づけません! 

S21_7

これは初期のエボエンジンの燃焼室です。矢印の部分がスキッシュエリアというか、ピストンヘッドの山の部分の替わりに設けたと言うべきか、ヘミヘッドの変形?それともバスタブの変形?

S2_61

バルブ挟み角はショベルエンジンとほぼ同じ(データがないので実測)ですが、スキッシュエリアとフラットトップのピストンのお陰で大分近代化されました。火炎伝播距離も多少短くなり、スキッシュ効果との相乗効果で燃焼速度が速くなったような排気音に感じられます。

S3_49

TCエンジンのヘッド現物はないので想像図になりますけれど、大体コンナ感じだと思います。

バルブはやや立って挟み角が小さくなり、よりコンパクトになって、スキッシュエリアが両サイドが設けられて、縦型スワールの発生さえ期待させてくれます。’06ダイナモデルの排ガスデータを見る限りでは相当に優秀な燃焼室とも言えます(乗り味は別として)。

Simg_0130_4

TCエンジンでも、スクリーミンイーグルからリリースされているシリンダーヘッドは、排ガス規制を気にしなくてよいのですから、かなりのハイパフォーマンスを狙って設計されています。

S23_4

4バルブではないのでペントルーフとはいきませんが、2バルブとしては究極の形かもしれません。

矢印の部分の突起が気になりますが、ピストンヘッドと平行なスキッシュエリアがないのも気になります。

エンジンのレースチューニングでは、高回転でのパワーの邪魔になる量産ヘッドのスキッシュ除去もしばしば行われていますので、この半球型とバスタブ型のハイブリッドのような燃焼室形状は、排ガス規制対策によるリーンな空燃比による燃焼速度の低下や中速トルクの痩せなどは気にしなくて済むということです。

Simg_0132_3

インレットポートは機械加工されて・・・・。

Simg_0134_5

エキゾーストポートは更にDポートになっています。バルブガイドも先細りの形状ですね。

このヘッドセットどなたか10万円で買っていただけないでしょうか?勿論税込みで。

あ!売りたくて紹介したわけではありません!

S4_41

今の所一番進化した燃焼室です。5バルブもありますけれど複雑なわりにバルブ面積がそれほど大きくならないので、4バルブが一番でしょう。

慣性過給の効果もあるストレートポートは如何にも充填効率が良さそうですし、DOHCならではのセンタープラグも今や当たり前ですが、ハーレーだって伊達にDプラグにしたわけではありません。少しでもセンターに近づけたい努力は買ってやってください。

しかし、排ガス規制と騒音規制をクリアしてリッター150馬力ですから、バイクのエンジンとして4気筒は理に適っています。

続きます。


マフラーの容量⑥

2006年06月19日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   是非クリックしてくださいネ。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

まだまだ本題に近づけませんけれど、今日は燃焼室について考察してみましょう。

Simg_0120_3

これはショベルヘッドの燃焼室です。径が80mm深さ40mmと半球型(ヘミヘッド)の見本のようですね。

球の体積は 4πr3乗/3 ですから約268になり、その半分として容積は約134ccです。

80cu.inの行程容積は88.8mm×108mmで668.5ccですから、圧縮比は(ピストンがフラットヘッドであると)668.5÷134+1=5.98になってしまい、かなりのローコンプです。

S26_4

それでは出力も限られてしまいますので、山形ピストンが使われています。

因みに資料によると’80年以前は8、’81年以降は7.4という圧縮比になっています。

S11_13

つまり、半球型燃焼室は充填効率の向上のために大口径バルブを使いたいため、バルブの角度(バルブ挟み角)を大きくしています。それ故燃焼室が大きくなってしまい弊害も生じています。

弊害の一つは、図の赤矢印が示す火炎伝播距離が長くなってしまうので燃焼時間が長くなり、メカニカルオクタン価が低くなってしまいます。それで、

  • ノッキングしやすいので高圧縮比にできない。
  • さほど高くない圧縮比でもハイオクガソリンが必要。
  • 高回転でのパワーを出しにくい。

更に、

  • ピストンの山が邪魔になり有効なスワール(渦流は燃焼スピードの向上にも有効)ができにくい。
  • 同じ理由でバルブオーバーラップ付近でのガス交換の効率が悪い。

と何か悪い事だらけのようですけれど、以前はアメリカン マッスルカーの代名詞のようで、現在もクライスラー300CはHEMIを標榜して人気を博しているようです。ワタシも300Cにはチョッピリときめいています。

現在のように、燃費や排ガスのことに気を使わなくて良かった古きよき時代にはピッタシのHEMIは、最新の大排気量車がヒューンと吹け上がってしまう味気なさに較べ、燃焼時間が長いというだけに大排気量と組み合わされば重厚なフィーリングを醸し出し、今もファンが多いのも頷けます。

ハーレーにおいてもショベルエンジンを愛好する方は、”3拍子”や外観だけでなく、この重厚さに魅了されている事だと思います。

続きます。


マフラーの容量⑤

2006年06月16日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   是非クリックしてくださいネ。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

タイトルからは大分かけ離れた内容になってきましたが、この際エンジンの奥深いところまで訪ねてみましょう。

S61 クリックすると拡大します。

図のエンジンのバルブタイミングはエボエンジンに近いモデルと考えてください。6000rpmくらいまでは可能ですが、図では3600rpm付近と仮定します。

前項のエンジンのバルブタイミングはピストンの動きに連れたものですから、この図の①にあるようにバルブのオーバーラップ(両方が開いている)は有りませんでした。

*吸入行程

  • オーバーラップが有ると吸気上死点で、既に新しいガスの導入が見られます。
  • 上死点を過ぎてから排気バルブが閉じます。
  • 下死点を過ぎたのでピストンは上昇に転じますが、新ガスの勢いが残っているので、まだ吸気バルブは開いていてバルブが閉じるまで吸気が行われます。
  • 3600rpm付近が最大トルクが発生する回転域なのは、新ガスの充填効率が最大になるので仕事が一番大きくなるということです。

*圧縮行程

  • 吸気バルブが閉じて吸入したガスが圧縮されます。
  • 圧縮比(行程容積/燃焼室容積+1)は高ければ高いほどパワーが大きくなりますけれど、ノッキングの問題と運転温度(耐久性も含む)や乗りやすさ、それに最近では排ガス規制などの理由でエボエンジンは8.5となっています。

*点火

  • 点火時期は回転数、燃焼スピード、火炎伝播距離によって異なります。
  • 3600rpmでは60回転/秒です。
  • 1回転は1/60秒。
  • クランク角1度は1/360×60で1/21600秒ですから、0.000046秒です。
  • 燃焼スピードを仮に30m/sとし、火炎伝播距離を40mmとすると、40mm/30000mmで所要時間は0.0013秒です。
  • 燃焼時間をクランク角に換算すると、0.0013/0.000046で28.26度になります。
  • つまり上死点前20度において点火が行われると、上死点後8度で燃焼が完了ということです。
  • 回転数が高いほどクランク角速度が速くなるので、点火時期が早くなる。
  • 燃焼スピードが速ければ点火時期は遅くなり、その反対は早くなります。
  • 燃焼スピードは空燃比によっても変化します。

S31_7

ここまではどうでしょうか?続きます。


マフラーの容量④

2006年06月14日 | マフラーの容量

お願い 人気blogランキングへ   是非クリックしてくださいネ。

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

今では,地球温暖化の原因とされる炭酸ガスの発生源として矢面に立たされる自動車用エンジンの燃料たるガソリンに、エタノールが混合される方針がとうとう日本でも環境省より発表になっています。

砂糖きびを原料にエタノールを生産して使用する試みは、宮古島において既に始まっています。

京都議定書における炭酸ガスの削減目標を達成させる方策だけでなく、原油価格の急上昇も後押しになっているのでしょう。

最近の日本の悪天候も温暖化の影響とも言われますが、日本では温暖化を余り危機と感じている風には見えません。日本のまわりは海ですから、海水温度が上昇すると発生水蒸気によってできる雨雲は増え、降水量も当然増えます。

「温暖化」の言葉から受けるイメージがどうも優しすぎます。

日本のほとんどが冬は寒い季節ですから、「温暖化」を心の底では歓迎しているのではないかとさえ疑ってしまいます。

その悪者になりつつあるエンジンは、勿論生活の基にもなっていますが、趣味の対象となっているばかりか、バイクに搭載されると人生の良き伴侶となる事もあります。

バイクに搭載されたエンジンは、「加速のフィーリングがもたらす快感」が乗る人を特に魅了いたしますが、これは幅広い回転域で性能を発揮できる事にほかなりません。

これは先人たちが永きに渡り性能の向上に勤しんでくれたお陰ですが、進化を遂げた過程の中には吸排気の解明と発明があるのは間違いありません。

S31_6

この図はバルブタイミングがピストンの上下運動に同期していると仮定したものです。

つまり、オーバーラップがゼロです。

  • ②の図では吸入行程が始まってからインテークバルブが開き
  • ③の図では下死点でバルブは閉じ
  • ④は圧縮
  • ⑤で点火
  • ⑦の下死点を過ぎてから排気行程になります。

黎明期のエンジンではインテークバルブが吸入負圧で開くものも多くあり、図のようなOHVでは無いにしろ、コレに近い状況であったのでしょう。

先ずこのエンジンでは何がマズイかというと、⑨の図が示すように燃焼室には燃焼済みガスが残ってしまいます。これが邪魔になり、新気の吸入があっても容積効率は大きく落ちてしまい、燃焼済みガスは次の燃焼の阻害にもなります。

この項目の構想はできたのですが、図の制作に時間が掛かり今日はコレまでです。

続きます。