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中国朝鮮族と在日朝鮮人の民族教育 6

2007年05月26日 | 民族教育
■中国朝鮮族教育を巡る問題点 3
民族教育の経費問題
 1951年に開かれた第一次全国民族教育工作会議では、「少数民族地区の教育経費に関しては、各地の人民政府は一般教育経費の支給以外に、民族地区の状況によって、特別支出金を提供し、少数民族学校の設備や教師の待遇、生徒生活などの困難の解決に援助する」と規定したが、今日までにまだ法律の形になっていない。その結果、現在地方財政から人件費つまり教職員の給料しかもらえない学校(たとえば琿春市第1実験小学校、龍井高校)も少なくない。
 とくに、最近市場経済の進展により、かつて財政などの面で優遇されていた民族教育への投資は減少している。地方への分権により国の財政が困難となったため、中央財政の少数民族教育への特別支出金は毎年7100万元から2000万元へと減少した。
 現在、財政難の問題は、いろいろな面において朝鮮族教育に悪影響をもたらしている。
 たとえば、漢語による教育出版物に比べると、朝鮮語のものが非常に少ないのである。
 1947年に設立された延辺教育出版社は、全国朝鮮族学校の教科書や教育出版物の編集、出版につとめてきた。しかし、発行数量が少ない。漢語から朝鮮語に翻訳すると頁数は20~30%も増えるが、国家の政策によって本の値段自体が変わらないために赤字がますます多くなっている。1994年では、年間600種類の1046万5千冊の出版物を出したが、赤字は350万元であった。1998年、同社の赤字はさらに440万元へと増えたのである。
 このような財政上の問題で、現在一部の必要な教科書や教育参考書は出版できない状況に陥っている。例えば、延辺大学「朝鮮語文」学部の20種類以上の教科書は印刷数量が少ないため、まだ出版されていない。学生たちはやむをえずノートを取りながら勉強しているので、ほかの学部の学生たちから「ノート学部」とからかわれている。
 1980年4月の調査によると、延吉市の朝鮮族重点小学校の学生が年間に読む課外読物の数量は、長春市の同じ学年の漢族学生の37%で、朝鮮族中学生が読む課外読物の数量は、長春市の漢族学生の25%にすぎなかった。
 また、延辺地区の新華書店(中国最大の書店)にある朝鮮族図書が総図書に占める割合は、文化大革命のまえには50%以上であったが、70年代には40%、80年代には20%、1995年の時点では7%へと減ったのである。
 いうまでもなく、このような教育出版物の不足問題は、学生たちの勉強にも影響しており、彼らの素質を高めるにはたいへん不利である。しかし、市場経済が進展しているなか、どうしても経済効果を優先させる傾向がある。それゆえに、教育資金の不足から生じたいろいろな問題は、これからもしばらく続いてゆくだろうと思う。
 現在、吉林省の場合、省教育委員会民族教育処による毎年100万元の民族教育専用経費(朝鮮族、満族、モンゴル族などの民族学校の校舎建設などに使う)と8万元の民族教育専用補助金(教育設備の更新などに使う)が、各民族学校の主な運営資金となっている。 
 しかし、これだけではとても足りない。3年制の朝鮮族中学校を4年制に延長する計画を実施するために、延辺だけで、316の教室、3000平方メートルの学生の宿舎、1248名の教師を増加する必要があり、この予算は2323万元となっている。
 少数民族教育に関する法律を作る必要性と緊迫性を訴え、立法することによって民族教育の経費を保障することは、もっとも根本的な解決法であろう。現段階では、各地の政府当局に民族教育の合理性と重要性を訴え、もっと多くの教育資金を求めることはより現実的な解決法であろう。そのほか、朝鮮族の伝統を発揮し、独自で一部の資金を集めることも必要ではなかろうか。事実上、延辺では1985年から1990年までの五年間に、校舎建設などに投入された資金は1億500万元であったが、その60%は民間からの募金であった。
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