http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34947.html
「The Hankyoreh」 2019-11-14 07:40
■「日本よ、後ろめたいところなければ堂々と出てこい」法廷で叫ぶ慰安婦被害女性
日本政府相手に損害賠償訴訟、初の口頭弁論
がらんとした被告席…「責任回避」糾弾
【写真】損害賠償請求訴訟の初弁論日の13日午後、日本軍慰安婦被害者のイ・ヨンスさん(一番左)がソウル瑞草区の民主社会のための弁護士会(民弁)事務所で行われた記者会見で発言している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社
「私には何の罪もありません。14歳で日本に連れて行かれ、あらゆる拷問を受けて帰って来ました。裁判長、日本に後ろめたいところがなければ、この裁判に出てくるべきなのに、出てこない日本にこそ罪があります」
日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさんは法廷の床にひざまずいた。13日、日本政府を提訴してから3年、ようやく開かれた初の口頭弁論で、イさんの泣きながらの訴えがソウル中央地裁558号法廷に響いた。「イスに座って話してください」という裁判長の引き止めも、イさんをを支えようとする法廷警備員と弁護士の手も振りはらって、イさんは言葉を続けた。「雨の日も雪の日も、30年間日本大使館の前で叫んできました。真相究明、謝罪、賠償…。90を過ぎてもこのように叫んで生きてきました。裁判長、賢明な裁判長、お察しください」。
この日、ソウル中央地裁民事15部(ユ・ソクトン裁判長)の審理で、日本軍「慰安婦」被害者たちが日本政府を提訴した損害賠償請求訴訟の初の口頭弁論が開かれた。日本政府が座るべき被告席は空だった。日本政府は裁判を拒否している。この日、日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさん、キル・ウォノクさん、イ・オクソンさんは、車椅子に乗って、杖をついて出廷した。イさんらは責任を回避する日本政府を糾弾し、日本軍「慰安婦」問題に対する法的責任を問うてほしいと裁判所に訴えた。
イさんら日本軍「慰安婦」被害者と遺族21人は、韓日日本軍「慰安婦」合意1年後の2016年12月、日本政府に対して損害賠償請求訴訟を起こした。しかし、これまで裁判は一度も開かれなかった。日本の裁判所に訴状が届かなければ訴訟は開始されないが、日本の外務省が2017年4月から3回にわたって書類の受け取りを拒否したためだ。日本政府が裁判を拒否している間に、訴訟に参加した11人の生存被害者のうち、キム・ボクトンさん、クァク・イェナムさんら6人が世を去った。結局、今年3月に裁判所が日本政府に公示送達(裁判所の掲示板に公示して書類が届いたものとみなす制度)を決定し、5月にその効力が発生したことで、この日の初の口頭弁論が開かれることになった。日本政府を韓国の裁判所に提訴した訴訟のうち、弁論期日が指定されたのは今回が初めてだ。
日本政府が掲げる裁判拒否の名分は「主権侵害」だ。5月に日本は「国際法上の主権免除(国家免除)原則に則り、日本政府が韓国の裁判権に服することは認められない」として、訴訟は却下されるべきとの立場を韓国政府に伝えてきた。主権免除は、国内の裁判所は他国を相手にした訴訟において民事裁判権を行使できないという国際法上の原則だ。この日の裁判で、日本軍「慰安婦」問題対応TF所属のイ・サンヒ弁護士は「重大な人権侵害に対する国家免除を認めた国際慣習法は憲法的価値を損なうとした国際判例がある」と指摘し、「日本軍『慰安婦』被害者の実体的な権利を判断しないのは賠償権実現を妨げ、憲法秩序に反する。被害者の年齢を考えれば、事実上最後の訴訟だろう。日本の反人権的犯罪があったことを司法が公式に確認してくれることを望む」と語った。
裁判は20分あまりで終わった。被害者側は、日本軍「慰安婦」被害者の証言を記録した専門家と主権免除理論などを論駁する日本の法学者などを証人に申請することを明らかにした。次の口頭弁論は来年2月5日に開かれる。
コ・ハンソル、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/916934.html
韓国語原文入力:2019-11-13 20:09
https://japanese.joins.com/JArticle/259569
中央日報日本語版 2019.11.14 08:01
■慰安婦被害者の李容洙さん「私たちには何の罪もありません」法廷で嗚咽
「私たちは何の罪もありません。30年間、90歳を越えるまで死力をつくして叫びました」
李容洙(イ・ヨンス)さん(91)は3年ぶりに開かれた初裁判で床に座り込んで嗚咽した。傍聴席でもすすり泣く声が聞こえた。弁護団も涙を拭いた。
2016年12月28日、李さんをはじめとする生存被害者11人とすでに亡くなった被害者6人の遺族を含む20人が日本政府を相手取って「1人当たり2億ウォン(約1800万円)を賠償せよ」として訴訟を提起した。だが、日本政府が訴状送達を拒否して裁判は3年間開かれなかった。
結局、ソウル中央地裁民事第15部(ユ・ソクトン部長判事)は公示送達の手続きを進めて13日初裁判を開いた。公示送達とは訴訟の相手方の住所が分からない場合や書類を受けずに裁判に参加しない場合、裁判所の掲示板や官報などに掲載した後内容が伝えられたと見なして裁判を進める制度だ。裁判長は「公示送達を通じて日本も知っていると承知している」として裁判を始めた。
この日も法廷で日本政府側の姿は見られなかった。裁判には原告の中で生存者である吉元玉(キル・ウォノク)さん、李容洙さんが出席した。該当訴訟の原告ではないが、他の慰安婦損害賠償訴訟を提起した当事者である李玉善(イ・オクソン)さんも法廷に立った。90歳を越える年齢で体が不自由になった被害者らは車椅子に乗り、または遅い歩きで法廷に入った。
李さんは発言の機会を得ると椅子から立ち上がって法廷の床に座り込み「賢明な裁判長、私たちには何の罪もありません」として「日本は堂々としているなら裁判に出てこなければならない」と泣き叫んだ。李さんは14歳の時、日本に強制的に連れ去られて電気拷問にあうなど苦難を強いられ1946年に韓国に戻った。
李さんが話している間そばで静かに涙をふいていたイ・オクソンさんも「(日本政府が)おばあさんたちが皆死ぬことを待っているが、皆が死んでも日本は釈明しなければならない」と強調した。裁判長は被害者の発言が続く間、沈痛な顔でうなずいて「おっしゃったのはよくわかった」と話した。
今後の裁判では主権免除の原則が最大の争点になるものとみられる。主権免除とは、他国が自国の国内法を適用して他国に民事・刑事上責任を問うことができないという原則だ。慰安婦被害者側は旧日本軍慰安婦を動員した日本政府の違法行為が韓国内で起こり、違法性が大きい反倫理的犯罪であるため該当原則が適用されないという立場だ。
裁判所は「国家免除(主権免除)の理論という大きな壁に関連して説得力のある方法を準備する必要がある」と弁護人に呼びかけた。
被害者の法律代理人団のイ・サンヒ弁護士(法務法人ジヒャン)はこれについて国際法専門家である韓国慶煕(キョンヒ)大学のペク・ボムソク教授と日本神奈川大学の 阿部浩己教授を証人として申請すると明らかにした。さらに、被害者の口述を研究してきた専門家も証人として申請する計画だ。
一方、被害者側は日本から金銭的補償を受けるのが訴訟の目的ではないということを明らかにした。イ弁護士は「72年前に侵害された人間尊厳性を回復するために、国内・国際法上日本の責任を明確にするために訴訟を起こした」として「日帝によって人格が否定された被害者に大韓民国憲法が人権を回復するよう願う」と話した。
裁判所は来年2月5日、2回目の弁論期日を開くことにした。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191113003400882?section=news
「聯合ニュース」 2019.11.13 19:42
■慰安婦被害者が初弁論前に会見 日本は「堂々と出廷せよ」=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者と遺族が日本政府に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、13日午後にソウル中央地裁で開かれた。原告で慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんは裁判前の記者会見で「日本は堂々とできないのではないか。堂々としていれば裁判に出てこい」と述べた。
【写真】記者会見で発言する李容洙さん(左から2人目)=13日、ソウル(聯合ニュース)
記者会見には同じく被害者の吉元玉(キル・ウォンオク)さんと李玉善(イ・オクソン)さんも出席した。
李玉善さんは「日本は反省するべきなのにどうして反省をしないのか」とし、少女たちを連れて行き人生を台無しにしてしまったのだから、謝罪して賠償しなければならないと訴えた。
この訴訟は2016年12月に起こされたが、日本政府は「自国の主権または安全保障を侵害すると判断する場合」に限り訴状の送達を拒否できると規定した国際条約を根拠に、たびたび訴状の受け取りを拒否。これに対し裁判所は「公示送達」の手続きを取り、この日、提訴から約3年にしてようやく審理が始まった。
ただ、日本政府は、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」の原則を理由に却下を求めており、欠席した。原告側は被害事実が明らかであることから、これを中心に日本政府の責任を立証していく方針だ。
原告側の弁護士は「われわれはこのような重大な人権侵害においては主権免除が適用されないという立場」とし、関連する事例や資料を法廷に提出すると明らかにした。
また別の弁護士は主権免除に関連して「国際法は慣習法であり、絶対不滅でない」とし、「このような慣習法により尊厳を回復できる唯一の手段を防げるのであれば、憲法の価値と秩序をふさぐようなもの」と指摘した。その上で、「裁判所が被害者の人権に寄り添った判決を下すことを願う」と述べた。
日本政府が出席しないことについては、「民事訴訟であるため、当事者が出席しなくても進行が可能だ」と説明した。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191113003600882?section=news
「聯合ニュース」 2019.11.13 19:17
■提訴から3年 慰安婦被害者が初弁論で涙の訴え=被告・日本政府は欠席
【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者と遺族が日本政府に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、ソウル中央地裁で開かれた。この訴訟は2016年12月に起こされたが、日本政府は、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」の原則を理由に却下を求めており、出廷しなかった。
【写真】第1回口頭弁論前に記者会見した原告ら=13日、ソウル(聯合ニュース)
原告の一人で、慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんは法廷で、「30年間、90歳を超えても全力を尽くして日本大使館前で(謝罪を求めて)叫んできた。日本は堂々と裁判に出てくるべきだ」と悔しさをあらわにした。裁判長には「真相究明と公式謝罪を訴えているのに、(被告側は)裁判にも出てこない。悔しくてやりきれない」と涙ながらに叫んだ。
日本政府は「自国の主権または安全保障を侵害すると判断する場合」に限り訴状の送達を拒否できると規定した国際条約を根拠に、たびたび訴状の受け取りを拒否。これに対し裁判所は「公示送達」の手続きを取り、提訴から約3年にしてようやく審理が始まった。公示送達とは、訴訟相手の住所が分からなかったり、相手が書類を受け取らず裁判に応じなかったりした場合に裁判所の掲示板や官報などに内容を掲載し、訴状が届いたとみなす制度。
原告の代理人は法廷で「72年前に侵害された人間としての尊厳の回復、国内法・国際法上の日本の責任を明らかにするために訴訟を起こした」としながら「(当時の)日本によって人格を否定された被害者の人権が大韓民国の憲法によって回復されることを願う」と訴えた。
裁判では日本政府の主張する「主権免除」が争点になる。主権免除とは、主権国家に対して他の国が自国の国内法を適用して民事・刑事上の責任を問うことはできないとする原則。
地裁はこの日、「国家免除(主権免除)の理論という大きな障壁に関しては、説得力のある方法を講じなければならないようだ」とした上で、しっかりと審理していくと告げた。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/14/2019111480065.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/14/2019111480065_2.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/14/2019111480065_3.html
「朝鮮日報日本語版」 2019/11/14 11:20
韓国で日本政府相手取り慰安婦裁判、両国に新たな波紋
韓日関係にさらなる波紋を広げかねない「歴史裁判」が13日に始まった。2016年に日本軍による慰安婦被害者11人と遺族らが1人当たり慰謝料2億ウォン(約1900万円)の支払いを求め、日本政府を相手取り韓国の裁判所に起こした損害賠償訴訟だ。提訴から3年たち、審理が始まった。
ソウル中央地裁民事15部で開かれた審理では、原告側のイ・サンヒ弁護士(民主社会のための弁護士会=民弁所属)が「金銭的賠償が目的ではなく、日本の人倫に反する犯罪行為を司法に確認してもらうための訴訟だ」と述べた。慰安婦被害者のイ・ヨンスさんはひざまずき、「自分たちには何の罪もない。日本に罪がある」と泣いて訴えた。日本側は出廷しなかった。ソウル中央地裁は原告側に来年2月5日の次回審理までに立証資料を提出するよう求め、審理は約20分で終了した。
慰安婦裁判は日本で既に原告が敗訴している点で徴用工裁判と共通している。2003年には慰安婦被害女性が「日本政府の不法行為で被害を受けた」と訴えた国家賠償訴訟で、日本の最高裁が原告敗訴の判決を下した。韓国の裁判所が原告勝訴の判決を下せば、徴用工の判決のように両国の裁判所による判断が衝突し、再び外交紛争に発展しかねない。個別企業を相手にした徴用工裁判とは異なり、日本政府を相手取った訴訟という点でさらに大きな波紋を呼ぶことになる。3・1運動、関東大地震当時の虐殺行為、穀物・鉱産物の収奪、創氏改名など日帝の不法・強制的行為の大半について、被害者とその子孫が日本政府を相手取り訴訟を起こせば、勝訴する可能性があるためだ。
今回の訴訟は被害者が他国政府を相手取り、自国の裁判所に提訴できるかが争点の全てだと言える。韓国政府に裁判の管轄権があるかどうかから判断することになる。日本政府は「主権免除」を掲げ、訴訟は成立しないと主張している。主権免除とは、国家の公権力行使は他国の裁判対象にはならないという国際法原則だ。国家間の平等の原則を考慮し、外交など他の方式で解決すべきだとの趣旨だ。この原則が適用されれば、裁判所は訴えを却下しなければならない。裁判長を務めるユ・ソクトン部長判事も同日、「主権免除という大きな障壁がある。説得力ある方法を準備しなければならないだろう」と述べた。
主権免除は国際法の原則として通用してきた。代表的事例がいわゆる「フェリーニ事件」の裁判だ。イタリア最高裁は2004年、第2次世界大戦当時のドイツで強制労働をさせられらルイキ・フェリーニさんがドイツ政府を提訴した裁判で、管轄権を認め賠償判決を下した。これについて、国際司法裁判所は12年、「主権免除を認めないことは国際法違反だ」とする判決を下した。米国は「主権免除法」を制定し、他国の公権力行使を訴訟の対象にできないようにしている。ただ、慰安婦裁判で原告側は「慰安婦訴訟のように反人道的行為が問題になった事件では主権免除の原則は適用されない」との立場だ。一部の国際人権法学者も同様の立場を示している。
韓国の裁判所がそうした主張を受け入れ、訴訟を進行すれば、勝訴は確実だ。慰安婦動員の不法性は1993年の日本政府の「河野談話」で確認された。日本の最高裁も慰安婦被害者に敗訴判決を下す一方で、慰安婦動員の不法性を事実として確認した。従って、訴訟が進められれば、韓国の裁判所が異なる判断を示す可能性はない。そうなれば、大きな波紋が予想される。釜山大ロースクールのチュ・ジンヨル教授は「国内にある日本政府の資産が強制執行の対象となり、その場合は取り返しのつかない外交紛争に発展しかねない」と指摘する。
昨年の大法院による徴用工判決で「消滅時効」を事実上排除したことまで考えると、訴訟対象は拡大しそうだ。民法上の訴訟で賠償を受けることができる期間である消滅時効は最長10年だ。しかし、大法院は徴用工判決で「消滅時効が経過した」との日本企業の主張を「被害者はこれまで権利を行使できると考えられない状況だった」という理由で退けた。主権免除も認めず、消滅時効まで排除すれば、理論的には3・1運動、創氏改名など日本が韓国人に対して犯したあらゆる行為に対し、賠償を請求できるというのが法曹界の見解だ。
梨花女子大ロースクールの崔源穆(チェ・ウォンモク)教授は「少なくとも裁判所は事件が韓日関係に与える影響を考慮し、主権免除の是非をもっと検討すべきだが、公示送達により被告人なく裁判を行うとしたことは性急な決定だ」と指摘した。
ヤン・ウンギョン記者
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191112003600882?section=news
「聯合ニュース」 2019.11.13 06:00
■日本政府相手の慰安婦被害者訴訟 提訴から3年経てきょう初弁論=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者と遺族の20人が日本政府に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、13日午後にソウル中央地裁で開かれる。
【写真】慰安婦被害者を象徴する少女像(資料写真)=(聯合ニュース)
この訴訟は2016年12月に起こされたが、日本政府は「自国の主権または安全保障を侵害すると判断する場合」に限り訴状の送達を拒否できると規定した国際条約を根拠に、たびたび訴状の受け取りを拒否。これに対し裁判所は「公示送達」の手続きを取り、提訴から約3年にしてようやく審理を始めるに至った。
公示送達とは、訴訟相手の住所が分からなかったり、相手が書類を受け取らず裁判に応じなかったりした場合に裁判所の掲示板や官報などに内容を掲載し、訴状が届いたとみなす制度だ。
日本政府側は出廷しないと予想される。ただ、公示送達の手続きを取った場合は被告が欠席しても相手の主張を認めたことにはならず、裁判所は原告の主張を法理的に検討して結論を出すことになる。
法曹界では「主権免除」が争点になる可能性を指摘している。主権免除とは、主権国家に対して他の国が自国の国内法を適用して民事・刑事上の責任を問うことはできないとする原則だ。慰安婦被害者らはこれに対し、日本政府の違法行為は韓国の領土内で行われ、違法性が非常に高いため、主権免除の原則を適用してはならないと主張するとされる。
同訴訟のほかにも、慰安婦被害者らが損害賠償を求めて日本政府を提訴した別の訴訟が1件ある。これも当初原告が求めた調停に日本政府が応じず、16年1月に正式な訴訟に切り替えられて以降、一度も審理が行われていない。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34925.html
「The Hankyoreh」 2019-11-12 07:37
■日本軍慰安婦被害賠償裁判、提訴から3年でようやく始動
韓日関係再び試される…「主権免除」が主要争点
日本政府対象の弁論期日、13日に予定
日本、国際法違反掲げ応じぬ方針
イタリア「主権免除は違憲」前例
代理人「国際法は不滅の原則ではない」
【写真】9月25日に開かれた第1406回「日本軍慰安婦問題」解決のための水曜集会に小学生たちが参加した=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社
2016年12月に日本軍慰安婦被害者と遺族21人が日本政府を相手取りソウル中央地裁に提訴した損害賠償訴訟は、弁論期日が今月13日に決まり、3年を経てようやく裁判が本格的に動き出す。強制動員に続き、慰安婦被害という主要な歴史問題が法廷で扱われるもので、裁判の結果によっては韓日関係に大きな影響を与えるものとみられる。
日本軍慰安婦被害者らの話を総合すると、2015年12月の韓日政府間の「慰安婦合意」は日本に反倫理的不法行為の責任を問わないなど「政治的野合」に過ぎないとし、日本政府に法的な責任を直接問い賠償請求権を確立するため、1人当たり約1億ウォンの損害賠償を求めている。これまで日本政府は、訴訟書類を受け取らないというやり方で裁判を遅延させてきたが、韓国の裁判所が今年5月に裁判所の掲示板に公示を掲示する公示送達によって日本に書類が届いたものと見なし、裁判が始まることとなった。
今回の訴訟の最大の争点の一つは、裁判が成立するかどうかだ。被告が日本政府であるだけに、損害賠償そのものの是非の前に、日本の主権免除(国家免除)が認められるかどうかの判断が必要だ。主権免除とは、国内の裁判所は他国に対する訴訟において民事裁判権を行使できないという国際法上の原則をいう。日本政府は主権免除条項を盾に「韓国の裁判権は認められない。この訴訟は却下されるべきだ」と主張し、裁判にも応じない方針だ。
しかし、主権免除には新しい流れもある。イタリア最高裁は2004年に、第2次世界大戦当時ドイツで強制労働をさせられたイタリア人ルイジ・フェリーニがドイツ政府を提訴した損害賠償訴訟で、イタリアの裁判所の裁判権を認め、賠償判決も下した。だが国際司法裁判所(ICJ)は2012年、ドイツによる提訴に対して「イタリアが主権免除を認めないのは国際法違反」とドイツ勝訴の判決を下した。国際司法裁判所の判決に則りイタリア国会はフェリーニ判決を振り出しに戻す法改正を行ったが、今度はイタリア憲法裁判所が2014年10月に「重大な人権侵害に主権免除を適用すると被害者の裁判請求権が侵害される」として違憲判決を下した。慰安婦被害者代理人のイ・サンヒ弁護士(法務法人志向)は「国際法は不滅の原則ではない。慰安婦被害は韓国だけの問題ではなく、世界史的な反人権犯罪だ。イタリアに続き、主権免除に亀裂を入れるもう一つのケースになり得る」と述べた。
また、韓日が歴史問題を外交で解決できず、またもや法廷に持ち込まれていることに対する批判の声も出ている。慶北大学法学専門大学院のキム・チャンノク教授は「強制動員、慰安婦被害などについて、日本は事実を認め、謝罪、反省し、歴史教育などを実施すべきだが、訴訟での解決には限界がある。両国政府が歴史問題をまともに解決できていないので、被害者たちは最後の手段として訴訟を選択せざるを得ない面がある」と指摘した。
キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/916654.html
韓国語原文入力:2019-11-11 21:50
「The Hankyoreh」 2019-11-14 07:40
■「日本よ、後ろめたいところなければ堂々と出てこい」法廷で叫ぶ慰安婦被害女性
日本政府相手に損害賠償訴訟、初の口頭弁論
がらんとした被告席…「責任回避」糾弾
【写真】損害賠償請求訴訟の初弁論日の13日午後、日本軍慰安婦被害者のイ・ヨンスさん(一番左)がソウル瑞草区の民主社会のための弁護士会(民弁)事務所で行われた記者会見で発言している=ペク・ソア記者//ハンギョレ新聞社
「私には何の罪もありません。14歳で日本に連れて行かれ、あらゆる拷問を受けて帰って来ました。裁判長、日本に後ろめたいところがなければ、この裁判に出てくるべきなのに、出てこない日本にこそ罪があります」
日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさんは法廷の床にひざまずいた。13日、日本政府を提訴してから3年、ようやく開かれた初の口頭弁論で、イさんの泣きながらの訴えがソウル中央地裁558号法廷に響いた。「イスに座って話してください」という裁判長の引き止めも、イさんをを支えようとする法廷警備員と弁護士の手も振りはらって、イさんは言葉を続けた。「雨の日も雪の日も、30年間日本大使館の前で叫んできました。真相究明、謝罪、賠償…。90を過ぎてもこのように叫んで生きてきました。裁判長、賢明な裁判長、お察しください」。
この日、ソウル中央地裁民事15部(ユ・ソクトン裁判長)の審理で、日本軍「慰安婦」被害者たちが日本政府を提訴した損害賠償請求訴訟の初の口頭弁論が開かれた。日本政府が座るべき被告席は空だった。日本政府は裁判を拒否している。この日、日本軍「慰安婦」被害者のイ・ヨンスさん、キル・ウォノクさん、イ・オクソンさんは、車椅子に乗って、杖をついて出廷した。イさんらは責任を回避する日本政府を糾弾し、日本軍「慰安婦」問題に対する法的責任を問うてほしいと裁判所に訴えた。
イさんら日本軍「慰安婦」被害者と遺族21人は、韓日日本軍「慰安婦」合意1年後の2016年12月、日本政府に対して損害賠償請求訴訟を起こした。しかし、これまで裁判は一度も開かれなかった。日本の裁判所に訴状が届かなければ訴訟は開始されないが、日本の外務省が2017年4月から3回にわたって書類の受け取りを拒否したためだ。日本政府が裁判を拒否している間に、訴訟に参加した11人の生存被害者のうち、キム・ボクトンさん、クァク・イェナムさんら6人が世を去った。結局、今年3月に裁判所が日本政府に公示送達(裁判所の掲示板に公示して書類が届いたものとみなす制度)を決定し、5月にその効力が発生したことで、この日の初の口頭弁論が開かれることになった。日本政府を韓国の裁判所に提訴した訴訟のうち、弁論期日が指定されたのは今回が初めてだ。
日本政府が掲げる裁判拒否の名分は「主権侵害」だ。5月に日本は「国際法上の主権免除(国家免除)原則に則り、日本政府が韓国の裁判権に服することは認められない」として、訴訟は却下されるべきとの立場を韓国政府に伝えてきた。主権免除は、国内の裁判所は他国を相手にした訴訟において民事裁判権を行使できないという国際法上の原則だ。この日の裁判で、日本軍「慰安婦」問題対応TF所属のイ・サンヒ弁護士は「重大な人権侵害に対する国家免除を認めた国際慣習法は憲法的価値を損なうとした国際判例がある」と指摘し、「日本軍『慰安婦』被害者の実体的な権利を判断しないのは賠償権実現を妨げ、憲法秩序に反する。被害者の年齢を考えれば、事実上最後の訴訟だろう。日本の反人権的犯罪があったことを司法が公式に確認してくれることを望む」と語った。
裁判は20分あまりで終わった。被害者側は、日本軍「慰安婦」被害者の証言を記録した専門家と主権免除理論などを論駁する日本の法学者などを証人に申請することを明らかにした。次の口頭弁論は来年2月5日に開かれる。
コ・ハンソル、チャン・イェジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/916934.html
韓国語原文入力:2019-11-13 20:09
https://japanese.joins.com/JArticle/259569
中央日報日本語版 2019.11.14 08:01
■慰安婦被害者の李容洙さん「私たちには何の罪もありません」法廷で嗚咽
「私たちは何の罪もありません。30年間、90歳を越えるまで死力をつくして叫びました」
李容洙(イ・ヨンス)さん(91)は3年ぶりに開かれた初裁判で床に座り込んで嗚咽した。傍聴席でもすすり泣く声が聞こえた。弁護団も涙を拭いた。
2016年12月28日、李さんをはじめとする生存被害者11人とすでに亡くなった被害者6人の遺族を含む20人が日本政府を相手取って「1人当たり2億ウォン(約1800万円)を賠償せよ」として訴訟を提起した。だが、日本政府が訴状送達を拒否して裁判は3年間開かれなかった。
結局、ソウル中央地裁民事第15部(ユ・ソクトン部長判事)は公示送達の手続きを進めて13日初裁判を開いた。公示送達とは訴訟の相手方の住所が分からない場合や書類を受けずに裁判に参加しない場合、裁判所の掲示板や官報などに掲載した後内容が伝えられたと見なして裁判を進める制度だ。裁判長は「公示送達を通じて日本も知っていると承知している」として裁判を始めた。
この日も法廷で日本政府側の姿は見られなかった。裁判には原告の中で生存者である吉元玉(キル・ウォノク)さん、李容洙さんが出席した。該当訴訟の原告ではないが、他の慰安婦損害賠償訴訟を提起した当事者である李玉善(イ・オクソン)さんも法廷に立った。90歳を越える年齢で体が不自由になった被害者らは車椅子に乗り、または遅い歩きで法廷に入った。
李さんは発言の機会を得ると椅子から立ち上がって法廷の床に座り込み「賢明な裁判長、私たちには何の罪もありません」として「日本は堂々としているなら裁判に出てこなければならない」と泣き叫んだ。李さんは14歳の時、日本に強制的に連れ去られて電気拷問にあうなど苦難を強いられ1946年に韓国に戻った。
李さんが話している間そばで静かに涙をふいていたイ・オクソンさんも「(日本政府が)おばあさんたちが皆死ぬことを待っているが、皆が死んでも日本は釈明しなければならない」と強調した。裁判長は被害者の発言が続く間、沈痛な顔でうなずいて「おっしゃったのはよくわかった」と話した。
今後の裁判では主権免除の原則が最大の争点になるものとみられる。主権免除とは、他国が自国の国内法を適用して他国に民事・刑事上責任を問うことができないという原則だ。慰安婦被害者側は旧日本軍慰安婦を動員した日本政府の違法行為が韓国内で起こり、違法性が大きい反倫理的犯罪であるため該当原則が適用されないという立場だ。
裁判所は「国家免除(主権免除)の理論という大きな壁に関連して説得力のある方法を準備する必要がある」と弁護人に呼びかけた。
被害者の法律代理人団のイ・サンヒ弁護士(法務法人ジヒャン)はこれについて国際法専門家である韓国慶煕(キョンヒ)大学のペク・ボムソク教授と日本神奈川大学の 阿部浩己教授を証人として申請すると明らかにした。さらに、被害者の口述を研究してきた専門家も証人として申請する計画だ。
一方、被害者側は日本から金銭的補償を受けるのが訴訟の目的ではないということを明らかにした。イ弁護士は「72年前に侵害された人間尊厳性を回復するために、国内・国際法上日本の責任を明確にするために訴訟を起こした」として「日帝によって人格が否定された被害者に大韓民国憲法が人権を回復するよう願う」と話した。
裁判所は来年2月5日、2回目の弁論期日を開くことにした。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191113003400882?section=news
「聯合ニュース」 2019.11.13 19:42
■慰安婦被害者が初弁論前に会見 日本は「堂々と出廷せよ」=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者と遺族が日本政府に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、13日午後にソウル中央地裁で開かれた。原告で慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんは裁判前の記者会見で「日本は堂々とできないのではないか。堂々としていれば裁判に出てこい」と述べた。
【写真】記者会見で発言する李容洙さん(左から2人目)=13日、ソウル(聯合ニュース)
記者会見には同じく被害者の吉元玉(キル・ウォンオク)さんと李玉善(イ・オクソン)さんも出席した。
李玉善さんは「日本は反省するべきなのにどうして反省をしないのか」とし、少女たちを連れて行き人生を台無しにしてしまったのだから、謝罪して賠償しなければならないと訴えた。
この訴訟は2016年12月に起こされたが、日本政府は「自国の主権または安全保障を侵害すると判断する場合」に限り訴状の送達を拒否できると規定した国際条約を根拠に、たびたび訴状の受け取りを拒否。これに対し裁判所は「公示送達」の手続きを取り、この日、提訴から約3年にしてようやく審理が始まった。
ただ、日本政府は、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」の原則を理由に却下を求めており、欠席した。原告側は被害事実が明らかであることから、これを中心に日本政府の責任を立証していく方針だ。
原告側の弁護士は「われわれはこのような重大な人権侵害においては主権免除が適用されないという立場」とし、関連する事例や資料を法廷に提出すると明らかにした。
また別の弁護士は主権免除に関連して「国際法は慣習法であり、絶対不滅でない」とし、「このような慣習法により尊厳を回復できる唯一の手段を防げるのであれば、憲法の価値と秩序をふさぐようなもの」と指摘した。その上で、「裁判所が被害者の人権に寄り添った判決を下すことを願う」と述べた。
日本政府が出席しないことについては、「民事訴訟であるため、当事者が出席しなくても進行が可能だ」と説明した。
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191113003600882?section=news
「聯合ニュース」 2019.11.13 19:17
■提訴から3年 慰安婦被害者が初弁論で涙の訴え=被告・日本政府は欠席
【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者と遺族が日本政府に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が13日、ソウル中央地裁で開かれた。この訴訟は2016年12月に起こされたが、日本政府は、国家は外国の裁判権に服さないとされる国際法上の「主権免除」の原則を理由に却下を求めており、出廷しなかった。
【写真】第1回口頭弁論前に記者会見した原告ら=13日、ソウル(聯合ニュース)
原告の一人で、慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)さんは法廷で、「30年間、90歳を超えても全力を尽くして日本大使館前で(謝罪を求めて)叫んできた。日本は堂々と裁判に出てくるべきだ」と悔しさをあらわにした。裁判長には「真相究明と公式謝罪を訴えているのに、(被告側は)裁判にも出てこない。悔しくてやりきれない」と涙ながらに叫んだ。
日本政府は「自国の主権または安全保障を侵害すると判断する場合」に限り訴状の送達を拒否できると規定した国際条約を根拠に、たびたび訴状の受け取りを拒否。これに対し裁判所は「公示送達」の手続きを取り、提訴から約3年にしてようやく審理が始まった。公示送達とは、訴訟相手の住所が分からなかったり、相手が書類を受け取らず裁判に応じなかったりした場合に裁判所の掲示板や官報などに内容を掲載し、訴状が届いたとみなす制度。
原告の代理人は法廷で「72年前に侵害された人間としての尊厳の回復、国内法・国際法上の日本の責任を明らかにするために訴訟を起こした」としながら「(当時の)日本によって人格を否定された被害者の人権が大韓民国の憲法によって回復されることを願う」と訴えた。
裁判では日本政府の主張する「主権免除」が争点になる。主権免除とは、主権国家に対して他の国が自国の国内法を適用して民事・刑事上の責任を問うことはできないとする原則。
地裁はこの日、「国家免除(主権免除)の理論という大きな障壁に関しては、説得力のある方法を講じなければならないようだ」とした上で、しっかりと審理していくと告げた。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/14/2019111480065.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/14/2019111480065_2.html
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/14/2019111480065_3.html
「朝鮮日報日本語版」 2019/11/14 11:20
韓国で日本政府相手取り慰安婦裁判、両国に新たな波紋
韓日関係にさらなる波紋を広げかねない「歴史裁判」が13日に始まった。2016年に日本軍による慰安婦被害者11人と遺族らが1人当たり慰謝料2億ウォン(約1900万円)の支払いを求め、日本政府を相手取り韓国の裁判所に起こした損害賠償訴訟だ。提訴から3年たち、審理が始まった。
ソウル中央地裁民事15部で開かれた審理では、原告側のイ・サンヒ弁護士(民主社会のための弁護士会=民弁所属)が「金銭的賠償が目的ではなく、日本の人倫に反する犯罪行為を司法に確認してもらうための訴訟だ」と述べた。慰安婦被害者のイ・ヨンスさんはひざまずき、「自分たちには何の罪もない。日本に罪がある」と泣いて訴えた。日本側は出廷しなかった。ソウル中央地裁は原告側に来年2月5日の次回審理までに立証資料を提出するよう求め、審理は約20分で終了した。
慰安婦裁判は日本で既に原告が敗訴している点で徴用工裁判と共通している。2003年には慰安婦被害女性が「日本政府の不法行為で被害を受けた」と訴えた国家賠償訴訟で、日本の最高裁が原告敗訴の判決を下した。韓国の裁判所が原告勝訴の判決を下せば、徴用工の判決のように両国の裁判所による判断が衝突し、再び外交紛争に発展しかねない。個別企業を相手にした徴用工裁判とは異なり、日本政府を相手取った訴訟という点でさらに大きな波紋を呼ぶことになる。3・1運動、関東大地震当時の虐殺行為、穀物・鉱産物の収奪、創氏改名など日帝の不法・強制的行為の大半について、被害者とその子孫が日本政府を相手取り訴訟を起こせば、勝訴する可能性があるためだ。
今回の訴訟は被害者が他国政府を相手取り、自国の裁判所に提訴できるかが争点の全てだと言える。韓国政府に裁判の管轄権があるかどうかから判断することになる。日本政府は「主権免除」を掲げ、訴訟は成立しないと主張している。主権免除とは、国家の公権力行使は他国の裁判対象にはならないという国際法原則だ。国家間の平等の原則を考慮し、外交など他の方式で解決すべきだとの趣旨だ。この原則が適用されれば、裁判所は訴えを却下しなければならない。裁判長を務めるユ・ソクトン部長判事も同日、「主権免除という大きな障壁がある。説得力ある方法を準備しなければならないだろう」と述べた。
主権免除は国際法の原則として通用してきた。代表的事例がいわゆる「フェリーニ事件」の裁判だ。イタリア最高裁は2004年、第2次世界大戦当時のドイツで強制労働をさせられらルイキ・フェリーニさんがドイツ政府を提訴した裁判で、管轄権を認め賠償判決を下した。これについて、国際司法裁判所は12年、「主権免除を認めないことは国際法違反だ」とする判決を下した。米国は「主権免除法」を制定し、他国の公権力行使を訴訟の対象にできないようにしている。ただ、慰安婦裁判で原告側は「慰安婦訴訟のように反人道的行為が問題になった事件では主権免除の原則は適用されない」との立場だ。一部の国際人権法学者も同様の立場を示している。
韓国の裁判所がそうした主張を受け入れ、訴訟を進行すれば、勝訴は確実だ。慰安婦動員の不法性は1993年の日本政府の「河野談話」で確認された。日本の最高裁も慰安婦被害者に敗訴判決を下す一方で、慰安婦動員の不法性を事実として確認した。従って、訴訟が進められれば、韓国の裁判所が異なる判断を示す可能性はない。そうなれば、大きな波紋が予想される。釜山大ロースクールのチュ・ジンヨル教授は「国内にある日本政府の資産が強制執行の対象となり、その場合は取り返しのつかない外交紛争に発展しかねない」と指摘する。
昨年の大法院による徴用工判決で「消滅時効」を事実上排除したことまで考えると、訴訟対象は拡大しそうだ。民法上の訴訟で賠償を受けることができる期間である消滅時効は最長10年だ。しかし、大法院は徴用工判決で「消滅時効が経過した」との日本企業の主張を「被害者はこれまで権利を行使できると考えられない状況だった」という理由で退けた。主権免除も認めず、消滅時効まで排除すれば、理論的には3・1運動、創氏改名など日本が韓国人に対して犯したあらゆる行為に対し、賠償を請求できるというのが法曹界の見解だ。
梨花女子大ロースクールの崔源穆(チェ・ウォンモク)教授は「少なくとも裁判所は事件が韓日関係に与える影響を考慮し、主権免除の是非をもっと検討すべきだが、公示送達により被告人なく裁判を行うとしたことは性急な決定だ」と指摘した。
ヤン・ウンギョン記者
https://jp.yna.co.kr/view/AJP20191112003600882?section=news
「聯合ニュース」 2019.11.13 06:00
■日本政府相手の慰安婦被害者訴訟 提訴から3年経てきょう初弁論=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国で旧日本軍の慰安婦被害者と遺族の20人が日本政府に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が、13日午後にソウル中央地裁で開かれる。
【写真】慰安婦被害者を象徴する少女像(資料写真)=(聯合ニュース)
この訴訟は2016年12月に起こされたが、日本政府は「自国の主権または安全保障を侵害すると判断する場合」に限り訴状の送達を拒否できると規定した国際条約を根拠に、たびたび訴状の受け取りを拒否。これに対し裁判所は「公示送達」の手続きを取り、提訴から約3年にしてようやく審理を始めるに至った。
公示送達とは、訴訟相手の住所が分からなかったり、相手が書類を受け取らず裁判に応じなかったりした場合に裁判所の掲示板や官報などに内容を掲載し、訴状が届いたとみなす制度だ。
日本政府側は出廷しないと予想される。ただ、公示送達の手続きを取った場合は被告が欠席しても相手の主張を認めたことにはならず、裁判所は原告の主張を法理的に検討して結論を出すことになる。
法曹界では「主権免除」が争点になる可能性を指摘している。主権免除とは、主権国家に対して他の国が自国の国内法を適用して民事・刑事上の責任を問うことはできないとする原則だ。慰安婦被害者らはこれに対し、日本政府の違法行為は韓国の領土内で行われ、違法性が非常に高いため、主権免除の原則を適用してはならないと主張するとされる。
同訴訟のほかにも、慰安婦被害者らが損害賠償を求めて日本政府を提訴した別の訴訟が1件ある。これも当初原告が求めた調停に日本政府が応じず、16年1月に正式な訴訟に切り替えられて以降、一度も審理が行われていない。
http://japan.hani.co.kr/arti/politics/34925.html
「The Hankyoreh」 2019-11-12 07:37
■日本軍慰安婦被害賠償裁判、提訴から3年でようやく始動
韓日関係再び試される…「主権免除」が主要争点
日本政府対象の弁論期日、13日に予定
日本、国際法違反掲げ応じぬ方針
イタリア「主権免除は違憲」前例
代理人「国際法は不滅の原則ではない」
【写真】9月25日に開かれた第1406回「日本軍慰安婦問題」解決のための水曜集会に小学生たちが参加した=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社
2016年12月に日本軍慰安婦被害者と遺族21人が日本政府を相手取りソウル中央地裁に提訴した損害賠償訴訟は、弁論期日が今月13日に決まり、3年を経てようやく裁判が本格的に動き出す。強制動員に続き、慰安婦被害という主要な歴史問題が法廷で扱われるもので、裁判の結果によっては韓日関係に大きな影響を与えるものとみられる。
日本軍慰安婦被害者らの話を総合すると、2015年12月の韓日政府間の「慰安婦合意」は日本に反倫理的不法行為の責任を問わないなど「政治的野合」に過ぎないとし、日本政府に法的な責任を直接問い賠償請求権を確立するため、1人当たり約1億ウォンの損害賠償を求めている。これまで日本政府は、訴訟書類を受け取らないというやり方で裁判を遅延させてきたが、韓国の裁判所が今年5月に裁判所の掲示板に公示を掲示する公示送達によって日本に書類が届いたものと見なし、裁判が始まることとなった。
今回の訴訟の最大の争点の一つは、裁判が成立するかどうかだ。被告が日本政府であるだけに、損害賠償そのものの是非の前に、日本の主権免除(国家免除)が認められるかどうかの判断が必要だ。主権免除とは、国内の裁判所は他国に対する訴訟において民事裁判権を行使できないという国際法上の原則をいう。日本政府は主権免除条項を盾に「韓国の裁判権は認められない。この訴訟は却下されるべきだ」と主張し、裁判にも応じない方針だ。
しかし、主権免除には新しい流れもある。イタリア最高裁は2004年に、第2次世界大戦当時ドイツで強制労働をさせられたイタリア人ルイジ・フェリーニがドイツ政府を提訴した損害賠償訴訟で、イタリアの裁判所の裁判権を認め、賠償判決も下した。だが国際司法裁判所(ICJ)は2012年、ドイツによる提訴に対して「イタリアが主権免除を認めないのは国際法違反」とドイツ勝訴の判決を下した。国際司法裁判所の判決に則りイタリア国会はフェリーニ判決を振り出しに戻す法改正を行ったが、今度はイタリア憲法裁判所が2014年10月に「重大な人権侵害に主権免除を適用すると被害者の裁判請求権が侵害される」として違憲判決を下した。慰安婦被害者代理人のイ・サンヒ弁護士(法務法人志向)は「国際法は不滅の原則ではない。慰安婦被害は韓国だけの問題ではなく、世界史的な反人権犯罪だ。イタリアに続き、主権免除に亀裂を入れるもう一つのケースになり得る」と述べた。
また、韓日が歴史問題を外交で解決できず、またもや法廷に持ち込まれていることに対する批判の声も出ている。慶北大学法学専門大学院のキム・チャンノク教授は「強制動員、慰安婦被害などについて、日本は事実を認め、謝罪、反省し、歴史教育などを実施すべきだが、訴訟での解決には限界がある。両国政府が歴史問題をまともに解決できていないので、被害者たちは最後の手段として訴訟を選択せざるを得ない面がある」と指摘した。
キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
http://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/916654.html
韓国語原文入力:2019-11-11 21:50
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