三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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「尹大統領がすんなり受け入れた「米軍式多領域作戦」…朝鮮半島の状況に適しているのか」

2024年07月06日 | 韓国で
「The Hankyoreh」 2024-07-06 08:14
■尹大統領がすんなり受け入れた「米軍式多領域作戦」…朝鮮半島の状況に適しているのか
 [クォン・ヒョクチョルの見えない安保]

【写真】先月28日、済州南方の公海上(東シナ海)で開かれた韓米日初の多領域訓練「フリーダムエッジ」に参加した米空母「セオドア・ルーズベルト」から発進するスーパーホーネットの姿=米海軍提供//ハンギョレ新聞社

 「私とバイデン大統領は今後、韓米同盟がサイバーと宇宙領域に拡張できるよう、韓米相互防衛条約をサイバーと宇宙空間に適用するための議論も開始することにしました」
 昨年4月27日、米ワシントンで開かれた韓米首脳会談後の共同記者会見で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領はこのように述べた。当時、韓国国内では韓米間の拡大抑止の強化と「ワシントン宣言」に関心が集まり、尹大統領のこの発言はあまり注目されなかった。
 尹大統領の言及以後、韓米同盟が陸上・海上・空中を越えて多領域に拡張し始めた。6月27~29日、朝鮮半島周辺の済州南方の公海で、史上初の多領域韓米日訓練「フリーダムエッジ」が実施された。多領域訓練は「多領域作戦」(Multi-Domain Operations)の概念を反映した訓練だ。

【写真】昨年4月27日、米ワシントンで開かれた韓米首脳会談後の共同記者会見で、尹錫悦大統領が多領域作戦の概念を受け入れる方針を示している=大統領室ホームページの動画よりキャプチャー//ハンギョレ新聞社

 多領域作戦は言葉の意味からして曖昧だ。
 「多領域作戦」は、戦場の領域が従来の地上・海上・空中に加え、宇宙・サイバー・電磁気まで拡張されたという意味だ。作戦の範囲も紛争が発生した特定地域に限らず、全世界に拡張される。
 「多領域作戦」は米陸軍の概念であり戦闘教義だ。米陸軍は2018年に多領域作戦を未来陸軍の作戦概念として発表し、2022年には基本となる作戦概念を統合地上作戦から多領域作戦に変更した。
 フリーダムエッジでは、海上ミサイル防御訓練、対潜水艦訓練、防空戦訓練、空中訓練、捜索および救助訓練、海洋遮断訓練、サイバー防御訓練など、計7つの訓練を行った。特にサイバー防御訓練を行ったことで、今回の訓練が初めての多領域訓練になった。

【写真】先月28日、済州南方の公海上(東シナ海)で行われた韓日米初の多領域訓練「フリーダムエッジ」の様子=米海軍提供//ハンギョレ新聞社

 韓米日はなぜ多領域訓練を行うのだろうか。
 韓国合同参謀本部は「3カ国は今回の訓練を通じて相互運用性を向上させ、高度化する北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対する抑止および対応能力を向上させた」として、フリーダムエッジの意味を評価した。高まる北朝鮮の核・ミサイルの脅威に備えて訓練を実施したという話だ。合同参謀本部は「韓米日は今回の訓練を機にフリーダムエッジを引き続き拡大していくことにした」と説明した。
 米国の多領域作戦は脅威の主体を2+3(ロシア・中国+イラン・北朝鮮・過激派勢力)に設定しているが、主に2(ロシア・中国)に焦点が当てられている。作戦のレベルでは中国の「接近阻止・領域拒否」(Anti-Access Area Denial)の戦略を無力化することが中心となる。「接近阻止・領域拒否」の主軸は、米空母戦団の中国接近を拒否し(接近阻止)、たとえ米空母戦団が中国近海に接近しても粘り強い消耗戦を通じて自ら退かせるということ(領域拒否)だ。

【写真】米国の接近を阻む中国の接近阻止・領域拒否戦略の範囲=イ・ソンフン国家安保戦略研究院「アジア太平洋地域における米中軍事力の比較と示唆点」より//ハンギョレ新聞社

 初のフリーダムエッジの訓練場所は済州南方の公海(東シナ海)だった。ここは山東省青島が母港である中国北海艦隊と浙江省寧波が母港である中国東海艦隊が太平洋へ出る道だ。韓米日初の多領域訓練が、中国の太平洋進出を阻む戦略的要衝地で実施されたのだ。韓国は北朝鮮の核・ミサイルの脅威に備えるというが、米国主導の多領域作戦に参加すれば、中国に対する圧迫と牽制に加わる負担も負わなければならない。
 韓国にとって安保の脅威は北朝鮮であり、中国の軍事的脅威は北朝鮮の脅威から派生する2次的で潜在的な脅威だ。中国を直接的な脅威に設定した米国主導の多領域作戦遂行に韓国軍が参加することは、高度の政治的判断を必要とする敏感な問題だ。
 米国は多領域作戦を同盟レベルの作戦概念に広げている。先月27日、合同参謀本部は報道資料を通じて「フリーダムエッジは韓米日が3カ国間の相互運用性を増進させ、朝鮮半島を含むインド太平洋地域の平和と安定のために自由を守護していくという意志を込めた訓練」だと説明した。これについて、フリーダムエッジを通じて北朝鮮の脅威と侵略の抑制を中心とする韓米連合作戦を、インド太平洋地域に拡大したという解釈が出てきた。また、米国が相互運用性を向上させるため、従来のように北朝鮮を敵として想定する訓練とは異なる中国とロシアを敵対国と仮定した訓練に韓国の参加を要求する可能性もあるという予想も出た。今回のフリーダムエッジがこのような要求の第一歩という見方もある。

【写真】多領域作戦を説明した資料=米陸軍のホームページより//ハンギョレ新聞社

 米軍は有事の際に朝鮮半島で多領域作戦を遂行するという予想のもと、韓国軍も2018年以降は多領域作戦を分析・研究してきた。韓国軍の多領域作戦と米軍の多領域作戦には大きな違いがある。米軍の多領域作戦は中国を脅威として設定し、具体的な作戦遂行方法を提示している一方、韓国軍の多領域作戦はさまざまな領域の力を同時に統合する戦力運用の基本概念として捉えている。米軍は拡張された空間と多領域で優位を占める能力の確保に重点を置いているが、韓国軍は朝鮮半島で空中優勢と海上優勢のような伝統的な戦場をより重要視している。
 韓国軍内部では、韓国軍が韓米連合作戦を遂行するには米軍の多領域作戦をよく知る必要があるが、多領域作戦を教義として受け入れるかどうかについては慎重な判断が必要だという意見もある。過去、韓国軍が空地統合戦(エアランドバトル)など米軍の戦闘教義をそのまま導入し、混乱に陥ったことがあるからだ。

【写真】英国は、米軍の多領域作戦の概念を自国の観点で再解釈している。2022年3月、英国の戦略司令部と北大西洋条約機構(NATO)が英国オックスフォードで初めての多領域作戦会議を共同開催した=英国政府のホームページより//ハンギョレ新聞社

 「多領域作戦」のような不慣れな概念は、性急に適用する前に、韓国軍の状況に合うかどうか徹底的に検証すべきだった。韓国が直面している脅威を明確に規定し、脅威に対応する作戦術レベルの構想として多領域作戦が妥当かどうかを検討すべきだった。これを受け入れる場合は、韓国の安保環境と能力に合う多領域作戦の概念と教義を別途発展させなければならない。英国とフランスは米軍の多領域作戦の概念を自国の観点から再解釈し、新たな用語と概念として示している。
 ところが昨年4月の韓米首脳会談で、尹大統領は何の質問も追及もなく、米軍の多領域作戦の概念をすんなり受け入れた。以後、多領域作戦が韓米同盟と韓国軍の中に突然入ってきて、先月27~29日には初めての多領域訓練であるフリーダムエッジまで行われた。「何もかも米軍と同じように」を目指した冷戦時代の韓国の姿勢は、尹錫悦政権の掲げる「グローバル中枢国家」のビジョンにもそぐわない。
クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-07-05 17:38


「The Hankyoreh」 2024-07-05 07:24
■殉職海兵隊員特検法、韓国国会で可決…大統領室、拒否権行使を予告

【写真】4日午後、ソウル汝矣島の国会で開かれた本会議で、国民の力の議員たちが議事妨害(フィリバスター)の中断を求めたウ・ウォンシク国会議長に抗議している/聯合ニュース

 「C上等兵特検法」(殉職海兵隊員事件の捜査妨害および事件隠蔽などの真相究明のための特別検事の任命などに関する法律案)が4日の国会本会議で、与党が反発する中、野党の主導で可決された。第21代国会では、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の再議要求権(拒否権)の行使によりC上等兵特検法が5月28日に廃棄されている。
 韓国国会は同日午後、在席議員190人のうち賛成189人、反対1人でC上等兵特検法を可決した。「共に民主党」(170議席)、「祖国革新党」(12議席)、「改革新党」(3議席)など野党を中心に票決に乗り出し、与党「国民の力」ではアン・チョルス議員、キム・ジェソプ議員だけが席に残り、それぞれ賛成票と反対票を投じた。特検法の票決を阻止しようと3日から「長時間の演説による議事妨害」(フィリバスター)に出た国民の力は、討論開始から24時間が過ぎたこの日午後、ウ・ウォンシク国会議長と野党が国会法により票決(在籍議員5分の3以上賛成)でフィリバスターを強制終了すると、反発した末に本会議場から退場した。国民の力がこの日、議事進行に反発して5日に予定された第22代国会開院式への不参加を宣言したことで、開院式は延期された。
 C上等兵特検法は、昨年7月19日に水害現場の捜索過程で起きたC上等兵殉職事件の真相を究明し、大統領室と国防部が捜査を縮小するために外圧を働いたという疑惑解明を目指す法案。約100人の捜査チームが70日間捜査し、1回に限り期間(30日)を延長することができる。特検は民主党と祖国革新党など非交渉団体が各1人ずつ候補2人を推薦し、尹大統領がそのうち1人を任命する。
 大統領室は強く反発し、再び拒否権行使を予告した。大統領室高官は「違憲に違憲を重ねた反憲法的特検法となって返ってきた。憲政史に恥ずかしい憲法蹂躙が嘆かわしい」と述べた。また別の関係者はハンギョレに「民主党が弾劾で憲政中断をもたらすため意図的に(C上等兵特検法を)進めている」とし、「再議要求権を行使せず、ただやられるわけにはいかない」と語った。拒否権行使の期限は、法案が政府に移送されてから15日以内。
 一方、C上等兵殉職事件を捜査中の慶北警察庁は、最終捜査結果を来週発表する予定だ。
オム・ジウォン、チャン・ナレ、キム・ギュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力: 2024-07-04 23:49


「The Hankyoreh」 2024-07-02 10:31
■尹錫悦師団の手法…手もとにある石を全部投げる、いくつかは当たる
 ソン・ハニョン先任記者の政治舞台裏 
 必要性がさらに高まった検察改革

 共に民主党のイ・ジェミョン代表が6月12日、第三者贈賄、外国為替取引法違反、南北交流協力法違反の疑いで、またも起訴されました(代表職からは退きましたが、そのまま代表としておきます)。イ代表は同時に4つの裁判を抱える羽目になりました。
 1つ目、公職選挙法違反事件です。大統領選挙の過程で城南(ソンナム)都市開発公社のキム・ムンギ開発第1処長のことは知らなかった、栢ヒョン洞(ペッキョンドン)の用地の用途変更は国土交通部に圧力をかけられたためだと言ったことが虚偽だという容疑です。
 2つ目、大庄洞(テジャンドン)、栢ヒョン洞、慰礼(ウィレ)新都市、城南FC事件です。検察が2回に分けて起訴したものを裁判所が併合しました。4つの事件が併合された分、時間がかかる裁判です。
 3つ目、偽証教唆事件です。京畿道知事時代の2018年に、自身の検事詐称に関する選挙法違反の裁判で証人に虚偽の証言を行うよう要求したという容疑です。
 4つ目、サンバンウル北朝鮮送金事件です。去年9月、検察は栢ヒョン洞、偽証教唆、北朝鮮送金事件で拘束令状を請求しましたが、裁判所は棄却しました。検察はその後、栢ヒョン洞、偽証教唆事件はそれぞれ起訴しました。北朝鮮送金事件は捜査を続けるという理由で手もとに置いていましたが、イ・ファヨン元副知事に一審判決が下されたことを受け、追加で起訴したのです。
 イ・ジェミョン代表の北朝鮮送金事件での起訴を機として、メディアと政界の雰囲気は一変しました。東亜日報のイ・ギホン大記者は6月21日付の同紙に、「『イ・ジェミョン式成功』が青少年教育と共同体の価値観に及ぼす影響」と題するコラムを書いています。
 「『イ・ジェミョン問題』は道徳的に目を覚ませと要求するだけでは解決できない状況に至った。問題を解決する唯一の方法は、司法システムが任を全うすることだ」
 ユ・サンボム、チュ・ジヌ、チェ・ボユンら、国民の力の「イ・ジェミョン司法破壊阻止特別委員会」の議員たちは6月19日に最高裁を訪問し、イ・ジェミョン代表に対して迅速に判決を下すよう求めました。彼らの主張と行動からは、裁判によってイ・ジェミョン代表を政治の舞台から追い出すべきだという強い意志と自信が読み取れます。

◆キム・ゴンヒ、ハン・ドンフンは捜査しない検察
 しかしです。いくら考えてもおかしいことがあります。みなさんはイ・ジェミョン代表のことを、実に4つの裁判を同時に抱えるほどとんでもない犯罪者、「希代の詐欺師」だと思いますか? イ・ジェミョン代表にかけられている容疑は、ほとんどが城南市長、京畿道知事の職務や選挙と関係しています。巨額の賄賂を受け取ったわけでもなく、道徳的に大きく非難されるべき重大犯罪でもないように思えます。一体どうしてイ・ジェミョン代表は4つの裁判を同時に抱えることになったのでしょうか。
 イ・ジェミョン代表は2022年3月9日の大統領選挙で、尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補に0.73ポイント差で敗れました。検察の起訴はすべて大統領選挙後に行われています。大統領選挙でイ・ジェミョン代表が勝っていたら、検察は彼を起訴できていたでしょうか。大統領には不訴追特権があります。それでも就任前には起訴が可能です。検察はイ・ジェミョン当選者を起訴できたでしょうか。私はできなかったと思います。起訴はおろか捜査もまともにしなかったはずです。結局、イ・ジェミョン代表に対する検察の苛酷な捜査と起訴には、野党弾圧と政治報復の性格があるとみなければなりません。
 イ・ジェミョン代表が有罪か無罪かは、最終的に裁判で決まるでしょう。追加起訴の可能性もあります。イ・ジェミョン代表がすべての裁判ですべての容疑について無罪を勝ち取ることは容易ではなさそうです。道徳的に大きく非難されるべき重大犯罪ではなくても、判事が有罪判決を下す可能性はあるからです。イ・ジェミョン代表としては悔しいでしょうが、それが現実です。
 このような不合理な現実は、検察が捜査権と起訴権を独占しているから起こるのです。元検察総長の大統領のせいで起こるのです。いわゆる「尹錫悦師団」のせいで起こるのです。元検事のある政治家が以前、私にこんな話をしてくれたことがあります。
 「尹錫悦師団は過度に過酷な捜査のやり方が検察内でも批判されていた。本来、検察の捜査は狙い撃ち捜査にならざるを得ない。ほこりを払えば様々な疑惑が出てくるが、その中の軽微なものは目をつぶってやり、主要な疑惑は承服させる。事実上、プリーバーゲニング(司法取引)をしているのだ。そうすれば被疑者も検事を恨まない。だが尹錫悦師団は、ほこりを払って出てくるすべての容疑をすべて起訴する。後で裁判所が無罪を言い渡すことは気にもかけない。石を数十個投げれば、そのうちいくつかは相手の頭に当たる。それが彼らの手法だ」

【写真】祖国革新党のチョ・グク代表(左)とファン・ウンハ院内代表が先月26日、ソウル汝矣島の国会疎通館で、検察庁を廃止して重大犯罪捜査庁と公訴庁を新設するとする「検察改革4法」提出計画を発表している/聯合ニュース

 尹錫悦師団の標的となり、ほこりが払われた人物の代表例は、チョ・グク元法務部長官(現祖国革新党代表)です。2019年、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はチョ・グク大統領府民政首席を法務部長官候補に指名しました。国会人事聴聞会の手続きが進められていたところ、尹錫悦検察総長が家宅捜索令状の発行を受けて強制捜査に着手しました。大統領の人事権行使に検察が介入するという、前代未聞の事件が起きたのです。その後のことは誰もがよく知っています。結局、尹錫悦師団はチョ・グク元長官、配偶者のチョン・ギョンシム元教授、娘のチョ・ミンさんを起訴しました。大邱市(テグシ)のホン・ジュンピョ市長の表現通り、一家を「屠殺(とさつ)」したのです。
 もちろんチョ・グク元長官、チョン・ギョンシム元教授、チョ・ミンさんにも処罰を受けるべき内容があるでしょう。しかし、尹錫悦師団によるチョ・グク元長官一家の捜査はどう見ても過剰捜査です。4・10総選挙で祖国革新党が旋風を起こし、実に12議席を確保したことからも、かなりの数の韓国の有権者が私と同じように考えているように思えます。
 尹錫悦師団がイ・ジェミョン代表と祖国革新党のチョ・グク代表におこなっているように他の被疑者たちも徹底的に捜査していたとすれば、公正さを疑われることはなかったでしょう。しかし、尹錫悦師団は尹錫悦大統領、キム・ゴンヒ女史、ハン・ドンフン前法務部長官ら、「身内」はまったく捜査していません。尹錫悦師団の正義は、他人には苛酷で自分たちには寛大な「偽の正義」だったのです。

◆国民の力の議員総会でも可決された検察改革案
 どうすべきでしょうか。検察を改革しなければなりません。検察が独占している捜査権と起訴権を分離しなければなりません。検察の直接捜査権を廃止しなければなりません。今年5月14日にメディアトマトが発表した世論調査では、「検察の捜査権と起訴権の分離」に賛成が53.1%、反対が29.6%、よく分からないが17.3%でした。一般国民も検察の捜査権と起訴権を分離する時が来たと考えはじめているのです(中央選挙世論調査審議委員会のウェブサイト参照)。
 政界での検察改革の急先ぽうは祖国革新党です。祖国革新党は6月26日、公訴庁法、重大犯罪捜査庁法、捜査手続き法、刑事訴訟法の「検察改革4法」を発表しました。検察の捜査権を新設の重大犯罪捜査庁に移管するとともに、検察を起訴と公訴維持だけを担う公訴庁とする、というのが要です。
 共に民主党の検察改革タスクフォース(団長:キム・ヨンミン議員)も検察改革案を準備しています。検察庁を廃止して公訴庁を新設する案と、検察庁は存続させるものの起訴権だけを持たせ、捜査権は国家捜査本部や重大犯罪捜査庁へと移す案を検討中です。
 祖国革新党と民主党の検察改革法案が国会に提出されれば、法制司法委員会の審議を経て、すぐに本会議に付されるとみられます。検察改革案が今夏の政局の最大の争点になりそうです。
 国民の力の議員たちは検察改革に無条件に反対してばかりいる人たちなのでしょうか。そうではありません。2022年の3・9大統領選挙直後の4月22日に、与野党は検察改革に突如合意しています。
 「検察の直接捜査権と起訴権は分離する方向で行く。検察の直接捜査権は一時的なものであり、直接捜査の場合も捜査と起訴の検事は分離する」
 「検察以外の捜査機関の犯罪対応力が一定水準に達すれば、検察の直接捜査権は廃止する」
 「法案審査権を持つ司法改革特委を設置する。同特委は仮称『重大犯罪捜査庁』(韓国型FBI)など、司法システム全般について深く議論する。重捜庁は、特委設置から6カ月以内に立法措置を完了し、立法措置後1年以内に発足させる。重捜庁が発足すれば、検察の直接捜査権は廃止する」

◆政治介入する検察を止めるには
 どうですか。驚いたのではないでしょうか。パク・ピョンソク国会議長の仲裁案です。民主党のパク・ホングン院内代表と国民の力のクォン・ソンドン院内代表が議員総会の追認を経て発表ています。しかし、法曹界の既得権勢力と保守系新聞が強く反発し、尹錫悦当選者がこっそり反対に転じたことで、なかったことになっています。

【写真】パク・ピョンソク国会議長(中央)と共に民主党のパク・ホングン院内代表(左)、国民の力クォン・ソンドン院内代表が2022年4月22日、国会で「検察捜査権廃止」法案に関する国会議長の仲裁案に合意後、合意文を手に記念撮影をおこなっている=共同取材写真//ハンギョレ新聞社

 そのため、尹錫悦大統領は今回も、ひとまずは検察改革法案に拒否権を行使する可能性が高いとみられます。問題はその次です。国民の力の中には2022年4月に検察改革案に同意した議員が残っています。彼らも検察が今のような絶対権力を持ち続けるのは問題だと考えているでしょう。国会本会議の再議決投票は無記名で行われます。国民の力は果たして否決できるでしょうか。
 まとめます。検察改革はこの時代の最優先課題です。検察を絶対権力集団のままにしておけば、検察は今後も大韓民国の政治を牛耳ろうとするでしょう。検察に立ち向かう政治家は誰もがイ・ジェミョン代表やチョ・グク代表のようになりえます。検察王国を止めなければなりません。そのためには、まず彼らが持っている刀を取り上げなければなりません。そうすることでようやく国民は主権を行使できるのです。民主主義を守れるのです。みなさんはどうお考えですか。

ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-06-30 07:30
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