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「インドやフィリピン、日本の従軍慰安婦問題に批判高まる…カナダ、南京大虐殺記念日制定も」

2018年07月15日 | 日本軍隊性奴隷
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「Business Journal」 2018.07.13
■インドやフィリピン、日本の従軍慰安婦問題に批判高まる…カナダ、南京大虐殺記念日制定も

★ニューデリーで上演された「従軍慰安婦」
 中国が日本を抜いてGDP世界2位にのし上がったのが2010年。英メガバンクHSBCはさらに昨年公表した経済展望で、28年までにインドが3位を奪うとの予測を示している。日本はドイツにも抜かれ、5位に転落する見通しだ。インドは今年中にイギリスを抜き、世界第5位の経済大国となることも確実視されている。
 大国としての存在感を急速に高めつつあるインド。その首都ニューデリーで今年4月、第二次大戦中の日本軍兵士が登場するアッサム語の演劇が上演された。英題は “Comfort Women: An Untold History”。日本語では「従軍慰安婦:語られていない歴史」だ。
 上演の舞台はインドで最も大規模な演劇祭の1つといわれる「META」(Mahindra Excellence in Theatre Awards)。主催はインドの成長を牽引する巨大グループ企業、マヒンドラ(Mahindra Group)だ。
 第13回目の今年は、インド全土の280を超える劇場グループから330作品がエントリー。そこから選ばれた「従軍慰安婦~」を含む10のノミネート作品が、4月中旬にニューデリーの3劇場で上演された。

★インドの根深い社会問題に焦点
 「従軍慰安婦~」の初演は16年9月。制作した Abhigyanm は、舞台を通じた社会問題の探求を掲げる演劇集団だ。「従軍慰安婦~」も日本軍の行為そのものより、慰安婦となった女性たちが現地社会でどう扱われたかをテーマに据えている。人身売買、売春、強かん、また高額な持参金など、インドが抱える根深い女性の人権問題は周知の通りだ。
 第13回METAも発展の陰で置き去りにされた社会問題に焦点をあて、その観点からノミネート作品が選ばれている。男性優位のB級映画界で商品化される人気女優、インド社会で母親が置かれた境遇、また社会の一角をなす同性愛者などがそのテーマだ。10作品はインド各地の多様な言語から選ばれ、地方ごとのデリケートな文化的・歴史的背景も反映しているという。
 「従軍慰安婦~」の Abhigyanm が拠点とするグワハティは、インド北東部アッサム州の州都だ。アッサム州の東隣は、かつて日本軍が占領していたビルマ(現在のミャンマー)と国境を接するナガランド州及びマニプル州。いずれも1944年のインパール作戦で戦場になっている。

★「従軍慰安婦:語られていない歴史」が描く物語
 「従軍慰安婦~」の舞台は、マニプル州の北東に位置するタンクール丘(Tangkhul hills)の山村。あらすじはこうだ。
 純真な村娘のサレンドラ(Sarengla)は幼馴染みの青年と結婚するが、日本軍と関わりの深い村人が彼女を売り飛ばそうと企む。サレンドラは日本軍に捕らえられて慰安婦にされた後、自力で村へ逃げ帰った。だが夫と村人たちは、彼女を受け入れようとしなかった――。
 監督のラナン・チョードリー(Ranhang Choudhury)は複数の現地メディアで、「日本軍がインドに侵攻した44年にインド女性を慰安婦にした事実は、私たちの社会で語られていない」「彼女たちの悲劇と尊厳を求めて苦闘する姿に深い感銘を受けた」と語っている。また「多くの文献を調べ、さまざまな人々にインタビューした」と言い、「彼女たちは侮辱され、虐げられ、強かん被害者が常にそうであるように、社会へ戻ることを許されていない」と訴えた。

★現代アッサム文学の名作がルーツ
 チョードリーは「従軍慰安婦~」について、自らこう解説する。
 「この作品は第二次大戦中、日本軍によって売春を強要された20万人の慰安婦たちに関する物語だ。彼女たちは乱暴に殴られ強かんされ、日本の勢力下にあったアジア各地で投獄された」。
 「この演劇は3年間の継続的な研究と精力的な調査を経て企画された。主人公サレンドラはビレンドラ・クマル・バタチャリヤ(Birendra Kumar Bhattacharya)の不朽の名作「Yaruingam」をモデルにしており、彼女の旅が演劇を通じて描かれる。これは無数にいるサレンドラを見つけ出すための試みだ」。

 バタチャリアは現代アッサム文学のパイオニアとされ、インドで最も権威ある文学賞の1つJnanpith Awardに二度輝いた大家。60年発表の「Yaruingam」はその代表作だ。
 「Yaruingam」では第二次大戦末期からインド独立に至る時代を背景に、マニプル州の国境地帯に暮らすタンクール・ナガ族の人々が描かれる。主要人物の1人であるサレンドラはやはり日本兵の強かんで妊娠し、夫と村に拒絶される役回りだ。

★慰安婦問題で「ノーマーク」だったインド
 いわゆる従軍慰安婦はしばしば日韓の二国間問題と誤解されるようだが、実際には日本軍が進出したアジア太平洋のほぼ全域、またオランダまで当事国として関わっている。4月27日にフィリピン・マニラの慰安婦像が予告なしに撤去され、一部の現地メディアで物議を醸したのも記憶に新しい。
 ただし、インド人女性の慰安婦問題が提起されるのは稀だ。オーストラリア国立大学の日本史研究者が「アジア太平洋ジャーナル」に寄せた長文の論稿(15年)でも、「列車で運ばれる慰安婦のなかにインド人もいた(と思う)」というオーストラリア人捕虜の証言を控えめに伝えたにすぎない。
 93年の河野談話を受けて設立された日本のアジア女性基金も11の国と地域を挙げているが、インドは含まれなかった。今回またインパール作戦にともなうインドでの被害が提起され、新たな議論に発展することも考えられるだろう。

★14部門すべてで受賞を逃す
 第13回METAでは最優秀作品賞を含む14部門が審査されたが、「従軍慰安婦~」は無冠に終わった。現地紙「The Asian Age」では名のある批評家が審査結果を伝えつつ、「『従軍慰安婦~』は1つの賞も得られなかったが、私は受賞に値すると思う」と書いている。作品としての評価はさておき、米ロサンゼルスやマニラの慰安婦像などをめぐる日本政府の強硬な反発が、なんらかの影響を及ぼした可能性もゼロではないかもしれない。
 そのフィリピンではいま、現地メディアが像撤去の反響を繰り返し伝えている。フィリピン最大手紙「The Philippine Daily Inquirer」は撤去経緯の調査を議会に要求したガブリエラ女性党を肯定的に評価しつつ、「国の威信を失ったようだ」(像の作者)、「日本大使館への臆病な降伏」(歴史家)といった声を紹介した。同紙に次ぐ大手紙「The Philippine Star」も同様に像撤去への反発を重ねて取り上げながら、「ドゥテルテ大統領には日本の愛玩犬になってほしくない」という元慰安婦女性のコメントを伝えている。報道は撤去から3週間を過ぎても止まず、5月20日には「The Manila Times」でマニラ市の行政官が「市が(別の場所に)像を建て直す」と宣言した。

★拡散する慰安婦問題と「歴史戦」の行方
 マニラの像撤去は、カナダ最大の民放ネットワークCTVでも複数回取り上げられている。そこでもやはり「日本に対する恥ずべき屈服」(市民団体)、「国家の威厳の象徴として像を取り戻すべく大衆は戦うべき」(デ・ラ・サール大学教授)といった現地の反発が強調された。
 カナダでは昨年10月にマニトバ州議会、オンタリオ州議会で、南京大虐殺記念日を制定する動議が可決している。提出したのは前者がフィリピン系、後者が中国系カナダ人議員だ。中国系議員はさらにカナダ下院で、慰安婦問題にも注目を促す演説も行った。
 一方アメリカでは今年7月から9月、ニューヨークの劇場でミュージカル「Comfort Women: A New Musical」(従軍慰安婦:新しいミュージカル)が上演される。これは2015年初上演作品のリバイバルだ。韓国出身の監督が手がけ、慰安婦問題の先頭に立ってきた韓国挺身隊問題対策協議会が後援しているという。
 日本政府が慰安婦問題への批判を封じ込めようとするいっぽうで、世界への周知はじわじわと広がりつつある。日本政府は、こうした演劇にも上演中止を求めていくのだろうか。

     文=高月靖/ジャーナリスト
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