三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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ガザ戦争に沈黙するスターはアンフォロー…米国で「デジタル断頭台」運動

2024年05月15日 | 国家・社会
https://japanese.joins.com/JArticle/318617?servcode=A00&sectcode=A00
「中央日報日本語版」 2024.05.14 11:03
■ガザ戦争に沈黙するスターはアンフォロー…米国で「デジタル断頭台」運動
 戦争で苦しんでいるガザ地区の痛みに沈黙する有名人をソーシャルメディア(SNS)で遮断する運動が米国で行われている。いわゆる「デジタル断頭台(digital guillotine)運動」だ。テイラー・スウィフト、ジャスティン・ビーバー、キム・カーダシアン家族などがターゲットになっている。
 デジタル断頭台運動は6日、米国ニューヨークで開かれた「メットガラ」に参加した有名モデルのヘイリー・カリルが投稿したSNS映像に対する反発がきっかけとなった。華やかなドレスを着て登場したカリルは「ケーキを食べればいいじゃない」と話した。これはフランス革命の時、マリー・アントワネット王妃が言ったとされる言葉だ。
 メット・ガラファッションショーが開かれる会場の外では、ガザ地区戦争の終息を促すデモが行われていたため、カリルのこのような発言は大衆の怒りを買った。
 カリルの発言に侮辱感を感じたTikTokクリエイターは「困っている人を助けるために資源を使わないすべての有名人とインフルエンサーを遮断する時だ。彼らに与えた我々の関心や『いいね』、コメントとお金を取り戻す時だ」と訴え、「デジタル断頭台」運動を提案し、呼応を受けることになった。
 カリルは謝罪文を投稿した。自分はファッションショーの参加者ではなく芸能ニュースの司会者として参加したのであり、ガザ戦争に対する十分な情報がなくて論評しなかったという釈明だったが、大衆の怒りは収まらなかった。
 ポップスターのセレーナ・ゴメスやジャスティン・ビーバー、女優ゼンデイヤなど有名なスターたちが相次いで「殺生簿」に名を連ねた。
 効果は即効性だった。リストに含まれた有名人たちは、1日平均数万人から数十万人ずつフォロワーが減ったことが分かった。
 パレスチナを支持し、戦争に反対する曲やラップを作って掲示する有名人も続々と出ている。
 この他にも、米国では大学街で卒業式が行われないほど、戦争に対する反戦デモが激しくなっている。


「The Hankyoreh」 2024-05-13 09:11
■[フォト]韓国の大学生、米国大使館前で反戦を叫ぶ

【写真】大学生平和行動のメンバーが10日午前、ソウル鍾路区の米国大使館前で、「全世界の大学街の反戦デモに連帯する緊急大学生平和行動」記者会見をおこなっている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

 「韓国の大学生は連帯する。この地に反戦と平和を!」
 「世界中の大学街の反戦デモに対する暴力と鎮圧をやめろ!」

 大学生たちが10日午前、ソウル鍾路区(チョンノグ)の米国大使館前に集まった。平和ナビネットワーク、ソウル女子大学ムソウィプル(サイの角)、梨花女子大学学生マイノリティー人権委員会、韓国外国語大学生活図書館、淑明女子大学淑明アムネスティ、高麗大学生マイノリティー人権委員会などの14の学生団体からなる「大学生平和行動」のメンバーはこの日、イスラエルによるパレスチナのガザ地区での民間人虐殺の中止を要求するとともに、米国政府によるイスラエル支援および反戦デモ鎮圧を糾弾した。
 記者会見の開始前、彼らはパレスチナ国旗の色のテントが描かれた横断幕に連帯のメッセージを記した。学生たちの掲げたプラカードと横断幕は、光化門(クァンファムン)広場を歩く外国人観光客の視線を釘付けにした。「民間人虐殺支援をやめろ(STOP FUNDING GENOCIDE)」、「キャンパス取り締まりを中止せよ(STOP CRACKDOWN ON CAMPUS)」など、英語で記されたメッセージを携帯電話で写真に収める人々が目についた。大学生たちは、風にはためく米国大使館の星条旗を背景に反戦スローガンを叫んだ。
 東国大学歴史サークル「サダリ(はしご)」で活動するパク・チュンソンさんは、「私たちがいま記者会見しているこの瞬間にも、戦争に苦しむ女性、子どもたち、弱者がいるはず。世界の警察を自任する米国はこのような戦争を止めるどころか支援し、ほう助している」と述べた。進歩大学生ネット・ソウル女子大学支会のパク・セヒ支会長は、「米国ニューヨークのコロンビア大学からはじまった大学の反戦デモに、警察は強硬対応している」とし、「戦争の虐殺暴力を糾弾する大学生たちの口を、もうひとつの暴力で塞ごうとしている」と批判した。
 彼らは3カ国語に翻訳された声明で、「日本軍性奴隷制問題、日帝強制動員問題、朝鮮戦争での無差別民間人虐殺、ベトナム戦争そして5・18民主化運動に至るまで、私たちの近現代史には戦争と虐殺による痛みが残っている」、「韓国の大学生たちは米国の大学生たちと連帯し、世界に広がる反戦デモを支持し、戦争犯罪なき世を作ろうとしている一国の大学生として連帯する」と表明した。

【写真】参加者たちが記者会見前に、大学反戦デモのテントの絵に連帯メッセージを書いている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】パレスチナ国旗の色のテントが描かれた横断幕に韓国語、英語、日本語、中国語などで反戦メッセージが記されている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
大学生平和行動のメンバーが「全世界の大学街の反戦デモに連帯する緊急大学生平和行動」記者会見をおこなっている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】通りがかりの観光客が記者会見を写真に収めている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】学生たちがプラカードを高く掲げてスローガンを叫んでいる=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社
【写真】記者会見に参加した学生たちのカバンとプラカードが地面に置かれている=キム・ヨンウォン記者//ハンギョレ新聞社

キム・ヨンウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/1140067.html
韓国語原文入力:2024-05-10 16:55


「The Hankyoreh」 2024-05-09 08:23
■[フォト]「ガザ虐殺やめろ」韓国の大学でも「グローバル反戦デモ」の波
 
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル冠岳区新林洞のソウル大学で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯して座り込みをしている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

 春の学園祭が真っ最中の大学キャンパスで、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対するデモが行われた。
 ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちは、8日午前10時から午後6時まで、ソウル冠岳区新林洞(クァナック・シルリムドン)のソウル大学冠岳キャンパスで、パレスチナへの連帯を示し座り込みと集会をおこなった。米国の大学生たちがはじめたキャンパス占拠闘争が米国にとどまらず全世界へと広がる中、韓国の大学生たちも連帯を開始したのだ。彼らは「イスラエルがおこなってきた人種虐殺と76年間のパレスチナ占領はもう終わらせなければならないという声を伝えるため、学生たちのこの巨大な運動に参加することを決めた」と述べた。
 学生たちは「ソウル大学当局に対し、パレスチナ抑圧に寄与しているイスラエルの諸機関(テルアビブ大学、ヘブライ大学)との交流を中止すること、ガザ地区で起きている人種虐殺の即時中止」を要求し、イスラエルのラファ侵攻を糾弾した。

【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル冠岳区新林洞のソウル大学で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯して座り込みをしている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生が8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区でのイスラエルによる「人種虐殺」に反対し、米国の大学生たちが学内でおこなっているデモに連帯する集会でスローガンを叫んでいる=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対する集会をおこなっている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日午後、ソウル大学の校内で、パレスチナのガザ地区で起きているイスラエルによる「人種虐殺」に反対する集会をおこなっている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」の学生たちが8日の座り込み中に、連帯の意を込めて記した付箋を貼っている=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社

キム・ジョンヒョ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 15:49


「The Hankyoreh」 2024-05-09 08:14
■世界の大学に広がるパレスチナ連帯デモ…韓国でも号砲

【写真】ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」はガザ戦争に反対するために8日午前10時から午後6時まで座り込みデモをおこなった=コ・ギョンジュ記者//ハンギョレ新聞社

 「フリー、フリー、パレスタイン(パレスチナを解放せよ)!」、「ストップ、ストップ、ジェノサイド(虐殺やめろ)!」。
 8日午後12時30分ごろ、春の学園祭真っ最中のソウル大学の学内に、パレスチナ連帯の声が響き渡った。韓国、スウェーデンなど多くの国から集まった20人あまりの学生は、肩に色とりどりのパレスチナの伝統的スカーフ「ケフィエ」を巻いてスローガンを叫んだ。
 米国の一部の大学ではじまったガザ地区戦争反対デモが全米の大学と欧州に広がる中、韓国の大学でもパレスチナ支持デモがはじまった。ソウル大学パレスチナ連帯サークル「スバク」はこの日午前10時から午後6時まで、学内で座り込みを行うことをもってデモの開始とした。延世大学の学生たちも同日午後4時から、学生会館から新村(シンチョン)駅までデモ行進を行う。
 ソウル大学のデモを主催したスバクは声明で、「ガザ地区で繰り広げている人種虐殺を直ちに中止せよ。イスラエルのラファ侵攻を強く糾弾する。ソウル大学当局には、パレスチナ人抑圧に寄与しているイスラエルの諸機関(テルアビブ大学、ヘブライ大学)との学術交流を中止することを要求する」と述べた。テルアビブ大学とヘブライ大学はイスラエル軍の部隊を支援していることが知られている。
 彼らは、「大学生としての責任感」がデモ参加の理由だと語った。彼らは「パク・ジョンチョル烈士(民主化運動の学生運動家。拘束中に拷問死した)をはじめとする私たちの先輩の大学生たちは、自身の問題だけでなく社会正義のために闘争してきたという伝統がある」とし、「その伝統の上で、パレスチナ問題がパレスチナ人だけの問題ではなく、世界の自由と平和を願うすべての人々の問題だと考えて(連帯デモを行う)」と語った。彼らは学内のパク・ジョンチョル烈士の胸像にもケフィエを巻いた。
 デモに参加したソウル大学の在学生イ・シホンさんは「(米国などの)全世界の大学生が反戦デモを主導していく姿を見て、共に闘わなければならないという気がした。今日を契機として他大学にもこのような動きが拡大してくれれば」と話した。
 異なる意見を持つ学生との対立が拡大する可能性もある。先月15日にはイスラエル国籍のソウル大学音楽学部の教授が、学内に貼ってあったパレスチナ支持ポスターにスプレーを吹き付け、送検されている。
コ・ギョンジュ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 15:46


「The Hankyoreh」 2024-05-09 00:52
■[コラム]A級戦犯とネタニヤフ
 人類全体を絶滅の危機へと追い込みうる戦争と、その中で発生する集団虐殺のような戦争犯罪を防ぐには、どうすればよいのだろうか。第1次世界大戦という途方もない悲劇を経験しつつも、再び大きな戦争の惨禍にさらされた人類は、真剣に悩みはじめた。
 第2次世界大戦という巨大な危機を克服した人類は、侵略戦争をはじめるという判断を下した「戦争指導者」や、その戦争で残虐行為を事とした「戦争犯罪者」のような「個人」を処罰すべきだとの結論に達した。「国家」や「集団」はもちろん、「個人」にも応分の代価を支払わせることが重要だった。そこで米国、英国、フランス、ソ連の連合国4カ国は1945年8月8日、国際軍事裁判所憲章に合意する。同憲章は第6条で、平和に対する罪▽通常の戦争犯罪▽人道に対する罪という3つの戦争犯罪を規定した。とりわけ平和に対する罪という名のついたa項は、侵略戦争を計画、準備、開始、遂行した戦争指導者を処罰するために作られたものだ。靖国神社を参拝する日本の主な政治家を「A級戦犯が合祀されている神社の参拝は、先の侵略戦争を肯定するもの」だと批判する際に出てくる「A級戦犯」という用語は、まさにこの条項に由来するものだ。
 だが、その後も戦争と戦争犯罪は絶えなかった。特に冷戦直後の1990年代初めにはじまったユーゴ内戦とルワンダ内戦で発生した集団虐殺は、人類に大きな衝撃を残した。結局、国際社会は1998年7月に「国際刑事裁判所(ICC)に関するローマ規程」(2002年7月発効)によって常設の刑事裁判所を作ることを決める。124カ国が加盟するICCでは、集団殺害犯罪(6条)、人道に対する犯罪(7条)、戦争犯罪(8条)などを起こした個人を処罰することができる。
 昨年10月のハマスの先制攻撃ではじまったガザ戦争は、すでに7カ月続いている。パレスチナ側の死者はイスラエル(約1200人)の30倍の3万5千人にのぼる。見るに見かねた国際司法裁判所(ICJ)は調査を開始しており、イスラエルのネタニヤフ首相らに対する逮捕状の発行を準備しているという。にもかかわらず「大破局」は防げていないようにみえる。期待を集めたイスラエルとハマスとのカイロ休戦会談が成果を出せなかったことから、ネタニヤフは5日、すべての責任をハマスに押し付ける声明を発表し、7日には最悪の「集団虐殺」を招きうるラファ侵攻を開始した。歴史はネタニヤフを何者として記憶するのだろうか。
キル・ユンヒョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2024-05-08 16:00


「AFP」 2024年5月8日 11:04 発信地:アムステルダム/オランダ 
■欧州の大学でも反イスラエルデモ拡大

【写真】スイス・ローザンヌ大学で開かれた親パレスチナ学生らの集会(2024年5月6日撮影)。(c)Fabrice COFFRINI / AFP
【写真】仏パリ政治学院の入り口に貼られたポスターを撤去する警備員(2024年5月7日撮影)。(c)Dimitar DILKOFF / AFP 
【写真】仏パリ政治学院の入り口に立つ警備員(2024年5月7日撮影)。(c)Dimitar DILKOFF / AFP 

【5月8日 AFP】イスラエルがパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)への報復攻撃を続ける中、オランダやドイツ、フランスなど欧州各国の大学では、イスラエルの研究機関との協力関係を停止するよう求める抗議活動が拡大している。
 オランダでは、6日夜にアムステルダム大学(University of Amsterdam)で警察が抗議行動の参加者を警棒で制圧したり、敷地内に設営されたテントを壊したりしている様子が映っている動画が拡散。ただ、7日夜には数百人がデモを再開した。警察は6日以来、169人を逮捕したとしている。
 独ライプチヒ大学(University of Leipzig)では、50~60人のデモ参加者が講義棟を占拠。大学によるとドアを内側からバリケードでふさぎ、敷地内にテントを設営している。
 大学は7日午後に警察を呼ぶとともに、一部の参加者を刑事告訴した。警察によれば、親イスラエル派約40人もカウンターデモを実施している。
 先週から反イスラエルデモが続いている仏エリート養成機関、パリ政治学院(Sciences Po)では、メインホールに立てこもった学生約20人を排除するため治安部隊が動員された。
 スイスでも、ローザンヌ大学(University of Lausanne)など3大学で反イスラエルデモが行われた。


「The Hankyoreh」 2024-05-07 11:46
■6歳のヒンドの最後の瞬間…ガザの「死の数字」は今日も増え続けている
 [ハンギョレS]ソ・ジェジョンの一つの半島、一つの世界 
 イスラエルによる虐殺3万4535人 
 
 ICJ、イスラエルに「虐殺防止命令」 
 その3日後、脱出しようとした車が攻撃を受け 
 救助を求めた6歳の子どもまで殺害 
 出動した赤新月社の隊員も遺体で発見

【写真】米ニューヨークのコロンビア大学の学生たちが先月30日(現地時間)、学内のハミルトンホールを占拠した後、ガザで虐殺された少女の名前から「ヒンドのホール」と命名するという横断幕を掲げた/AP・聯合ニュース

 ヒンド・ラジャブ。この名前だけは覚えていてほしい。3万4535人を覚えきれないのであれば。
 この世で送った年数はたったの6年だった。ガザ市で暮らした6年、一日一日は決して楽なものではなかっただろう。それでも、愛情を注いでくれる両親と親戚がいて、楽しく一緒に遊んだいとこたちがいた。その日、叔父といとこたちと一緒に車に乗ったのが過ちだったのか。
 イスラエルが行っているパレスチナ人の集団虐殺は遠い国のことだ。自分とは関係ない、と思うかもしれない。それでも、ほんの一瞬でもヒンド・ラジャブのことを考えてほしい。彼女が最期を迎えたのが起亜の自動車の中だったから、というだけではない。
 もう3カ月前に起きたことだが、忘れないでほしい。今年1月29日、ヒンドは叔父の家族と一緒に車に乗ってガザ市から脱出を試みた。そうしようとした。だが、永遠にガザ市を離れることはできなくなった。イスラエル軍の銃弾を恐れて逃げようとした。だが、その銃弾のために永遠に逃げられなくなった。

◆叔父、叔母、従姉も死に…
 永遠に逃げられなくなったのはヒンド・ラジャブだけではない。素朴ながらも幸せな暮らしを築いていた住まいが崩され、学校が破壊され、病院が壊された。3700万トンを超える建物の残骸の下にも、逃げられなかったヒンドたちがいることを忘れないでほしい。生き残った人々が道具もなく素手でいくら片付けても、コンクリートの塊は重く積み重なっていて、焦れながら穴をかき分けてみても、1万人以上がその下におしつぶされている。
 ヒンドは最後まで生きていた生存者だった。叔父と叔母が先に殺された。従姉も死んだ。すでに遺体となった彼らが乗っていた車は動くことができなかった。まだ息の残っていた15歳のラヤンが、外国にいる親戚に電話をかけた。
「お母さんとお父さんは死んじゃった。姉さんも死んだ。私とヒンドだけ生きてる」
「心配しないで。怖がらないで。すぐに救急車を送るから。その場にそのままいて」
 親戚はすぐにガザ市の赤新月社に連絡した。救助を要請した。ラヤンの電話番号を教え、連絡してくれればラヤンが出ると伝えた。だがイスラエルの戦車はその自動車をそのままにしておかなかった。ラヤンが恐怖におびえた声で電話している間に銃撃した。鈍い銃撃音とラヤンの叫び声が受話器に響いた。電話は切れた。
 南アフリカ共和国は昨年12月、国際司法裁判所(ICJ)にイスラエルを集団殺害の疑いで提訴した。集団殺害罪の防止と処罰に関する条約に違反し「パレスチナ人を抹殺しようとする意図を持って集団殺害を行った」ということだ。第2次世界大戦当時、ナチス・ドイツが行ったユダヤ人集団殺害のような民族浄化などの犯罪の再発を防ぐために結ばれた条約(ジェノサイド条約)だ。その条約にイスラエルが違反したという南アフリカの提訴に、コロンビア、ニカラグア、トルコが賛同した。ICJはこの訴訟を通じてすでに1月26日、集団虐殺防止、ガザ地区の住民の人道的状況の改善など、暫定措置をイスラエルに命じた。その日、ヒンド・ラジャブはまだ生きていたことを思い出してほしい。
 その3日後、叔父と叔母、いとこたちがみな殺害された中、それでもヒンド・ラジャブは生きていた。赤新月社のスタッフが再び電話した時、電話に出たのはヒンドだった。戦車が来ている、助けてほしいと訴えた。そして電話が切れた。ところが、再び電話がつながった。ヒンドは生きていた。切れてはつながり、弱々しくなり、また声が聞こえた。「もう暗くなってきてる。真っ暗で怖い」。

◆イスラエル軍が進入した地域には集団墓地
 通話が続いていた3時間、赤新月社は必死に努力した。イスラエル軍の侵攻後、作戦地域には救急車を送るのが不可能な状況だった。しかし、奇跡的に許可を受けた。ヒンドの車があるガソリンスタンドにスタッフ2人が急派された。ところが、ヒンドに近づいていったユスフ・アル・ゼイノとアフマド・アル・マドフーンは、何かおかしいと訴えた。自分たちの救急車をイスラエル軍がレーザーで照準している。そして銃声、爆発音。連絡は途絶えた。ヒンドの声ももう聞こえなくなった。
 イスラエル軍が攻撃を開始して200日、ジャーナリスト137人、医療スタッフ356人、国連の救援機関スタッフ178人が殺害された。4月末までにパレスチナ人7万7704人が負傷し、3万4535人が虐殺された。そのうち70%が女性と子どもだった。このすべての数字が意味をなさないならば、ヒンド・ラジャブだけでも考えてほしい。
 イスラエル軍が退却してやっと親戚は戻ることができた。連絡が途絶えてから12日目、その時になってようやくヒンド・ラジャブの遺体は収拾された。起亜の車は蜂の巣になっていた。すぐ隣に救急車があった。ユスフとアフマドの遺体もそこにあった。完全に破壊された救急車の近くには、ミサイルの破片も散らばっていた。M830A1、米国製の戦車破壊ミサイルだった。その後、米国はイスラエルへの260億ドルの支援を決定した。パレスチナにも10億ドルの人道支援を割り当てた。
 イスラエル軍が進入し去っていった場所では、集団墓地が発見されている。ナセル病院の敷地で遺体400体余りが埋められた集団墓地が発見された。アル・シファ病院の敷地でも集団墓地が発見された。
 アントニオ・グテーレス国連事務総長も、集団墓地に対する国際調査を求めた。手が縛られていたり、裸にされた状態で、あるいは病院のガウンを着た状態で、治療用の医療チューブが挿入された状態で埋められた遺体の名前はわからなくても、ヒンド・ラジャブは覚えていてほしい。
 今、ラファには140万人の避難民が集まっている。イスラエル軍の虐殺と破壊を逃れて家を捨ててきた人々が集まった最後の避難所だ。避難民は最後の避難所で飢え死にするか、病気で死ぬかの選択を迫られている。イスラエルはここも攻撃すると公言している。ヒンド・ラジャブはガザ市を抜け出すために最後の力を尽くしたが、彼女に安全な避難所はあったのだろうか。
 ハマスのイスラエル攻撃で1200人が殺害された。136人がまだ人質に取られている。このうち何人が生きているかは確認されていない。彼らの命のためにも、ヒンド・ラジャブを覚えていてほしい。コロンビア大学の学生たちが占拠したハミルトンホールを「ヒンドのホール」と命名したことも覚えていてほしい。

ソ・ジェジョン|日本国際基督教大学 政治・国際関係学科教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
韓国語原文入力:2024-05-04 18:45 
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