三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

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ポストモダニズム歴史学は「慰安婦」の真実を明らかにできるのか

2023年06月17日 | 日本軍隊性奴隷
「The Hankyoreh」 2023-06-17 10:46
■[レビュー]ポストモダニズム歴史学は「慰安婦」の真実を明らかにできるのか
 歴史リテラシー授業 
 誰もが歴史を語る時代に過去と向き合う方法
 
【写真】チェ・ホグン著、青い歴史刊『歴史リテラシー授業』

 西洋史学者のチェ・ホグン高麗大学教授が書いた『歴史リテラシー授業』は、歴史を理解する方法を指南する本だ。著者は「何のために歴史を勉強しなければならないのかと尋ねる人に親切に説明してあげる本が必要だ」とかなり前から考えており、同書を書くことになったと語る。全8章にわたって29のテーマについて実際に講義するような形で易しく書かれている。
 歴史学者として著者の苦悩が最も深くにじみ出るところは「客観的な歴史叙述の夢」を扱った第7章だ。「歴史を客観的に叙述するのは可能なのか」という問いは、最近の歴史学界の最も大きな問いであるからだ。著者がここで注目する歴史家たちは「歴史学とは無秩序な事実の山に意味を与えるだけ」だと主張した20世紀の歴史家たち、中でも過去数十年間にわたり歴史学の雰囲気を変えたポストモダニズムの歴史家たちだ。彼らは「歴史とは何か」ではなく、「誰のための歴史なのか」を問う。同じ事案をめぐっても、人によって国籍、宗教、人種、ジェンダーの違いによって違う見方をするというのがポストモダニズムの歴史観だ。したがって、誰もが同意できる歴史というものはなく、特定の党派性に基づいた歴史解釈があるだけだ。ポストモダニズム歴史学は、従来の歴史学界が十分に意識できなかった「歴史学の前提」を疑って覆すという点で大きな意味がある。例えば、過去の西欧主流の歴史学界は自分たちの立論を支えていた西欧中心主義や男性中心主義を自覚できなかった。
 しかし著者によると、ポストモダニズムは、このような前提を疑って解体する水準に留まらず、事実自体、真理そのものを否定して拒否することで、認識論的相対主義をもたらすことに至る。ここで著者は尋ねる。「客観性に対する懐疑と不信を一方的に強調する(極端な)相対主義以後、我々に残るものは何だろうか」と。ポストモダニズムの認識の態度には、人間の生き方の多様性と多性性に対する鋭い感覚を育てるポジティブな面があるのは事実だ。だが、ポストモダニズムの相対主義を最後まで突き進めた場合、どのような予期せぬ結果がもたらされるかも一緒に考えなければならない。
 歴史研究の基礎資料である「史料」の場合を見てみよう。権力者のための記録は溢れているのに対し、弱者の記録はほとんど見当たらない。「史料の絶対的非対称性が問題になる時、ポストモダニズムの立場で歴史批評家にできることは何だろうか」。ポストモダニズムは史料を解体的読法で読み替えることを代案として示す。しかし、「行間の意味を読み取り、テキストを読み直し、読み替えていくだけで、すでに屈折した過去を正すことができるだろうか?」 著者によると、ポストモダニズムの解体主義的な歴史読法は、従来の解釈に異議を唱えるのには刺激を与えられるが、歴史的真実そのものを争う時は無力になるという本質的な弱点がある。
 著者は、日本軍「慰安婦」問題をその例に挙げる。「この反人道的な国家犯罪を如実に表わせる日本側の公文書はほとんど見当たらない。被害者側の私的文書もほとんどない。残っているのは何人かの生存者の証言だけだ」。このような状況で、「過去に関する記録には証拠的価値がない」というポストモダニズムの過激な主張がどのように役立つだろうか。ポストモダニズムの歴史観から出てくる結論は「これも信じられないが、あれも信じられないというような両非論(どっちも間違っている)」にならざるを得ず、このような両非論は「日本軍性奴隷問題そのものに対する冷笑」につながる。著者は、ポストモダニズムの歴史観が真実そのもの、歴史そのものを否定することに帰結する危険性があることを指摘し、ポストモダニズムに向かって「いったい誰のための解体なのか」と問わなければならないと語る。「極端な相対主義の代償は、私たちが予想するよりもはるかに大きい。そしてその被害は弱者に集中しがちだ」。だとすれば、ポストモダニズムの相対主義が持つ致命的な弱点を越え、歴史学を再構築しなければならない任務が歴史学者たちにある。

コ・ミョンソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2023-06-16 10:31
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