外務省外交資料館で公開されている『本邦戦争犯罪人裁判関係雑件 外地における本邦人の軍事裁判関係』のなかに「広東裁判」関係文書(国民政府主席広東行轅審判戦犯軍事法廷判決)がふくまれています。
そのなかの岡崎四郎氏に対する判決文(日本政府機関である終戦連絡調整中央事務局の用紙にタイプ印刷)には、つぎのように書かれています。
公訴人 本廷軍法検察官
被告 ○○○○(墨ヌリ) 男 四十四才
指定弁護人 陳行健弁護士
右被告は阿片散布実施幇助事件に依つて軍法検察官が公訴を提起して本廷は左の何く判決する。
主文 ○○○○(墨ヌリ)は阿片の散布を幇助実施したので有期徒刑七年に処する。
事実 被告○○○○(墨ヌリ)は一九四三年十一月より一九四五年八月日本軍降伏迄海南島日本海軍部北黎支部政務課政務主任に任じた。該部は阿片散布を実行して該地の北黎合和公司の支店に委託して阿片を販売した。被告は其の工作期間中之を幇助して昨年日本降伏後海南島駐屯の第四十六軍に調査逮捕せられて事件となり本廷軍法検察官が調査して起訴したものである。
理由 北黎合和公司支店が阿片を販売したのは特務部の命令によつて開業を許可されたものであつて……。特務部が阿片散布実施の機関であつたことは相違がない。
被告は該地の支部に勤務して比種事実は知らないと云うことは出来ない。……
北黎合和公司支店は海軍特務部北黎支部が育成監督して阿片を散布実行したものであつて被告は該支部の政務主任として職務は低いものでなく、たとへ主として庇護したものでなくても在職年余にして職務上連絡の必然性があり空言を籍いて其罪状を洗い流すことはできない……。
被告が中華民国に対して作戦期間に阿片散布推進の幇助を為したことは明らかに国際法規に違反したものであつて且中華民国禁煙禁毒治罪暫行条例に触犯して戦犯を以つて論し法に依つて論し科しべしである。……
一九四六年十月二十六日
広東行轅審判戦犯軍事法廷
審判長 軍法審判官 劉賢年 ……
「広東裁判一覧表」には、岡崎四郎氏について、「所属 海南海軍特務部」、「階級 書記」、「本籍 岡山」、「起訴理由概要 1943年11月より終戦迄海南特務部北黎支部政務課政務主任でありその関北黎今和公司支店による阿片の販売を幇助した」(原文「元号」使用)と書かれています。
海南海軍特務部は、組織的に海南島で阿片を「管理」し、厚生公司をつかって阿片栽培をおこなっていました(このブログの2010年8月7日の「『海南島三省連絡会議決議事項抄録』ノート5」、2008年9月8日の「『海南島三省連絡会議決議事項抄録』5」をみてください)。
佐藤正人
そのなかの岡崎四郎氏に対する判決文(日本政府機関である終戦連絡調整中央事務局の用紙にタイプ印刷)には、つぎのように書かれています。
公訴人 本廷軍法検察官
被告 ○○○○(墨ヌリ) 男 四十四才
指定弁護人 陳行健弁護士
右被告は阿片散布実施幇助事件に依つて軍法検察官が公訴を提起して本廷は左の何く判決する。
主文 ○○○○(墨ヌリ)は阿片の散布を幇助実施したので有期徒刑七年に処する。
事実 被告○○○○(墨ヌリ)は一九四三年十一月より一九四五年八月日本軍降伏迄海南島日本海軍部北黎支部政務課政務主任に任じた。該部は阿片散布を実行して該地の北黎合和公司の支店に委託して阿片を販売した。被告は其の工作期間中之を幇助して昨年日本降伏後海南島駐屯の第四十六軍に調査逮捕せられて事件となり本廷軍法検察官が調査して起訴したものである。
理由 北黎合和公司支店が阿片を販売したのは特務部の命令によつて開業を許可されたものであつて……。特務部が阿片散布実施の機関であつたことは相違がない。
被告は該地の支部に勤務して比種事実は知らないと云うことは出来ない。……
北黎合和公司支店は海軍特務部北黎支部が育成監督して阿片を散布実行したものであつて被告は該支部の政務主任として職務は低いものでなく、たとへ主として庇護したものでなくても在職年余にして職務上連絡の必然性があり空言を籍いて其罪状を洗い流すことはできない……。
被告が中華民国に対して作戦期間に阿片散布推進の幇助を為したことは明らかに国際法規に違反したものであつて且中華民国禁煙禁毒治罪暫行条例に触犯して戦犯を以つて論し法に依つて論し科しべしである。……
一九四六年十月二十六日
広東行轅審判戦犯軍事法廷
審判長 軍法審判官 劉賢年 ……
「広東裁判一覧表」には、岡崎四郎氏について、「所属 海南海軍特務部」、「階級 書記」、「本籍 岡山」、「起訴理由概要 1943年11月より終戦迄海南特務部北黎支部政務課政務主任でありその関北黎今和公司支店による阿片の販売を幇助した」(原文「元号」使用)と書かれています。
海南海軍特務部は、組織的に海南島で阿片を「管理」し、厚生公司をつかって阿片栽培をおこなっていました(このブログの2010年8月7日の「『海南島三省連絡会議決議事項抄録』ノート5」、2008年9月8日の「『海南島三省連絡会議決議事項抄録』5」をみてください)。
佐藤正人