樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

木製飛行機

2009年04月20日 | 木と乗物
以前ご紹介した石清水八幡宮の近くに飛行神社があります。二宮忠八という人物がライト兄弟よりも早い1891年に飛行機の原理を考案したものの、協力者を得られないままライト兄弟に先を越されたために開発を断念し、その後、航空機事故の犠牲者を慰霊するために建立した神社です。
以前、NHKの「その時、歴史が動いた」でも「ライト兄弟に先がけた男・二宮忠八の挑戦」として紹介されました。犠牲者の遺族のほかパイロットや航空自衛隊員も参拝に訪れるようです。境内に資料館もあります。

       
              (二宮忠八が考案した飛行機の模型)

この飛行神社は木と関係ありませんが、飛行機が木で作られた時期があります。以前、イギリス空軍でモスキートという木製戦闘機が活躍したことを紹介しましたが、それに習って日本でも木製軍用機が作られました。
陸軍の命令で中島飛行機(現在の富士重工)が設計し、富山県にあった呉羽航空機と北海道江別にあった王子航空機が製作。材料は、富山ではヒノキ主体でしたが、北海道にはヒノキが自生しないので、機体にはブナやシナノキ、カバ、主翼の骨組みにはエゾマツやトドマツを使ったそうです。燃料タンクもカバの合板で製作しています。

       
        (飛行神社の資料館の入口に飾ってある木製のプロペラ)

テスト飛行では富山タイプが時速605km、北海道タイプが560kmを記録。モデルになった金属製の爆撃機・疾風(はやて)が624kmだったそうですから、少し遅い程度。約10機製造されましたが、実戦に配備される前に終戦を迎えました。北海道開拓記念館にはその当時の試作品の部品が保存されているそうです。
金属不足という事情もありましたが、敵のレーダーに捕捉されないという木の利点を生かした開発でもあったようです。

北海道開拓記念館に保存されている部品の写真はこちら
北海道新聞社が発行した『幻の木製戦闘機キ106』はこちら
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2 コメント

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これは見てみたい (guitarbird)
2009-04-20 09:43:05
木の飛行機は夢がありますね(たとえ軍用だったとしても・・・)
でも部品交換を頻繁にしないと大変そうですね。
雹に遭ったらもう使えないとか・・・

余談ですが、東京の私が育ったところに「飛不動」があり、
航空関係者ではよく知られたところだということです。
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北海道開拓記念館 (fagus06)
2009-04-21 15:12:32
に行く機会があったら、ぜひ木製飛行機部品を見せてもらってください。
軍用ではありますが、木の用途の幅広さには驚きます。実は軍艦にも木製があるという情報をキャッチしておりまして、近いうちにまた記事にします。
写真の木製プロペラのことを尋ねましたが、神主は「経緯は分らない」と言っていました。
私が訪れた日も、高年と中年の女性(おそらく母と娘)が参拝しておられましたが、パイロットの遺族かも知れません。
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