樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

ハナミズキとサクラ

2010年09月13日 | 木と文化
この夏、樹の名前の日本映画が2本公開されました。1本はアントニオ猪木主演の『アカシア』、もう1本は純愛物の『ハナミズキ』。私はどちらも観ていませんが、webサイトによると前者はストーリーと樹は無関係、後者は一青窈(ひととよう)の同名のヒット曲をヒントに製作された作品です。
この曲はアメリカの同時多発テロをきっかけに作られたそうで、現在の歌詞は抽象的で意味不明ですが、当初の詞には「テロ」とか「散弾銃」という言葉が使われていたそうです。


映画に出てくるピンクのハナミズキ

ご存知かも知れませんが、ハナミズキ(アメリカハナミズキ、アメリカヤマボウシ)は日本がアメリカに贈ったサクラの返礼として贈られた樹。その歴史にもストーリーがあります。
明治中頃に日本を訪れたアメリカの植物学者がサクラの美しさに魅せられ、帰国後「ワシントンにサクラを植える運動」を展開。これを知った東京市長が1909年に3000本の苗木を贈ったものの、殺菌が十分でなく害虫が付着したため全部焼却。3年後に再び贈った苗木がワシントンのポトマック河畔に植えられたそうです。戦争中も大切に育てられ、1949年以降は毎年「桜祭り」が行われるようになりました。


白花のハナミズキ

一方ハナミズキは、1915年にアメリカ農務省の代表が来日した際に40本の苗木を持参したのが最初。この時は白花でしたが、2年後にはピンクの苗木12本が贈られ、都内の公園や植物園に植えられたそうです。
ところが、戦争中に「敵国から贈られた樹木」という理由で次々に伐られたり、引き抜かれたりして所在不明になっていました。最近になってある人がその原木を探したところ、都立園芸高校に2本、東京大学小石川植物園に1本、静岡県清水市の農水省果樹試験場に1本残っていることが判明。小石川植物園の1本はその後枯れ死したそうですが、アメリカから贈られた原木がかろうじて3本残っているわけです。
日本が贈ったサクラは大切に育てられ、アメリカから贈られたハナミズキは「敵国の樹」という理由で伐られた…。何ともやるせないですね。
でも、サクラの苗木を3000本、しかも2回も贈ったのも日本なんです。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2010-09-14 12:18:22
こんにちわ
ハナミズキはこちらでもどこかで植えられているのを見ました。
でもどこかは忘れてしまいました・・・意味ないですね・・・
だけど、こちらにもあるんだと驚いて見ていました。
敵国のものだからと言って抜いてしまうという話は
今聞くととっても残念ですね。

ぜんぜん関係ないのですが、いつか話そうと思っていたことで、
横浜ベイスターズに阿斗里という登録名の投手がいるのですが、
それは苗字ではなく名前で、本名で、なんでもお父さんが
鳥が好きだからそういう名前をつけたということです。
そして余談ですが、横浜の内川選手と結婚した長野翼アナウンサーも、
お父さんが鳥好きでそういう名前をつけたそうです。
関係ない話を長く書いて失礼しました・・・
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鳥の名前の (fagus06)
2010-09-15 09:48:12
野球選手がいるのは知りませんでした。以前、このブログでも私の知人が子供さんに鳥の名前をつけた例を紹介しましたが、みんなバードウォッチャーです。阿斗里選手や翼アナウンサーのご両親もバードウォッチャーなんでしょうね。
関係ない話でも聞かせてください。
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