最近はあまり使いませんが「椿事(ちんじ)」という言葉があります。『岩波国語辞典』によると、「思いがけない大変な出来事」。また、江戸時代の作家・曲亭馬琴には『椿説弓張月』という代表作があります。
現在は「椿事」=「珍事」とされていて、新聞用字用語集は「珍事」と表記するように指定していますが、「思いがけない大変な出来事」「珍しい事」の例えになぜツバキが持ち出されるのか? 以前から疑問でした。
派手な栽培品種よりも野生のヤブツバキが私は好きです
前にも書きましたが、「椿」という字は中国では「ツバキ」とは全く別の「チャンチン」という木を意味します。
ちなみに、中国では「ツバキ」は「山茶」と書くようです。日本では「サザンカ」を意味しますが、中国にはサザンカがないので、漢字と樹種が入れ替ったわけです。
その中国の思想書『荘子』の中に、椿(チャンチン)の大木の伝説が出てくるそうです。「昔々、八千年を春とし、八千年を秋とし、三万二千年が人間の一年にあたるという巨木があった」という話。
その巨木の花を人間が見ることはほとんどないので、思いがけない珍しい出来事を「椿事」と表現するようになった、というのが由来だそうです。『荘子』の数字から単純計算すると、二万四千年に一度しか花が咲かない巨木です。
さすが「白髪三千丈」の国、誇張表現のスケールが桁外れで面白いですね。
現在は「椿事」=「珍事」とされていて、新聞用字用語集は「珍事」と表記するように指定していますが、「思いがけない大変な出来事」「珍しい事」の例えになぜツバキが持ち出されるのか? 以前から疑問でした。
派手な栽培品種よりも野生のヤブツバキが私は好きです
前にも書きましたが、「椿」という字は中国では「ツバキ」とは全く別の「チャンチン」という木を意味します。
ちなみに、中国では「ツバキ」は「山茶」と書くようです。日本では「サザンカ」を意味しますが、中国にはサザンカがないので、漢字と樹種が入れ替ったわけです。
その中国の思想書『荘子』の中に、椿(チャンチン)の大木の伝説が出てくるそうです。「昔々、八千年を春とし、八千年を秋とし、三万二千年が人間の一年にあたるという巨木があった」という話。
その巨木の花を人間が見ることはほとんどないので、思いがけない珍しい出来事を「椿事」と表現するようになった、というのが由来だそうです。『荘子』の数字から単純計算すると、二万四千年に一度しか花が咲かない巨木です。
さすが「白髪三千丈」の国、誇張表現のスケールが桁外れで面白いですね。
黒澤明の『椿三十郎』も面白いですね。その前作の『用心棒』に登場する主人公の名前が、桑畑三十郎。どちらも木の名前です。
そういえば最近「椿事」って言葉をあまり見ないのはそういうことだったのですね。
言葉として受け継ぐものは受け継いでほしいです。
ところで私は椿というと反射的に黒澤明監督の「椿三十郎」を思い出します。