樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

ケニアの鎮守の森

2014年03月17日 | 森林保護
前々回ご紹介した「地球環境の殿堂」記念シンポジウムには、第1回の殿堂入り者であるワンガリ・マータイさん(故人)の娘さん、ワンジラ・マータイさんも登壇されました。お母さんが設立された「グリーンベルト・ムーブメント」の代表者として、宮脇昭氏の指導を受けながらアフリカの植樹活動を実践されています。
そのワンジラさんによるケニアの樹木の話も興味深いものでした。その一つは、ユーカリ。
以前は、燃料用にユーカリをたくさん植えたものの、現在は逆に除去しているそうです。地下水をすべて吸い上げてしまうから、というのが理由。
成長が早いので薪としては重宝する一方、貴重な水を枯らすという弊害が出たため、特に水源地周辺のユーカリは抜去しているとのこと。
油分の多いユーカリは落ち葉が燃えやすいために山火事の原因にもなり、植樹した各国で問題になっています。


日本でも公園や植物園にユーカリが植えられています

もう一つ興味深かったのは、ケニアにも鎮守の森があるという話。それは「カヤの森」と呼ばれる神の森で、中に入る際には履物を脱がなければならないとか、タバコを吸ってはいけない、写真を撮ってはいけない、トイレは禁止などの10か条のおきてがあるそうです。もちろん、動植物の採取は禁止。
また、フィグ(イチジク)の大木は神の木とされていて、絶対に伐らないそうです。
日本の鎮守の森にはそんな厳しいルールはありません。ケニアの方が樹木や森に対するコンプライアンスというか森林保護意識が高いようです。
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6 コメント

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地下水を涸らすとは・・・ (yamabo)
2014-03-17 08:24:48
知りませんでした。どんな林にも水源涵養機能があるわけではないのですね。イチジクは熱帯の森ではキーストーン種で生態学的には重要とどこかで読みました。生態学といわずとも、神の木として守っているんですね。
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yamboさんへ (fagus06)
2014-03-18 08:03:10
ユーカリはオーストラリア原産ですが、砂漠の緑化や燃料・パルプの原料としてアフリカなどで植林されてきたようですが、最近はやっかいもの扱いになっているようです。
イチジクは、多分、食糧としても必要な樹なんでしょうね。
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こんにちは (多摩NTの住人)
2014-03-18 08:44:10
興味深く拝読しました。
ケニアの方々のほうが自然をよく知っているんでしょうね。
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多摩NTの住人さんへ (fagus06)
2014-03-18 09:05:37
再びのコメントありがとうございます。
宗教的な意味もあるようで、カヤの森に入るときは黒い衣服が望ましいというルールもあるようです。
ところで、多摩NTの住人さんは、札幌のguitarbirdさんのブログにもコメントされていましたね。偶然、同じブログの読者だったのでしょうか。
あちらのカケスの記事にもコメントしておきましたが、ブログつながりですね。
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Unknown (guitarbird)
2014-03-18 10:39:06
こんにちわ
私は「写真を撮ってはいけない」が危ないかな・・・(笑)・・・
いや、もちろんダメとなると撮らないですけどね、自然関係に限らず。
ところで、日本の人も、昔は、もっと「自然とともに」という思いが強かったのではないかと思います。
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写真禁止は (fagus06)
2014-03-19 07:29:06
この森のある方向にお墓があるからだそうです。霊が写るので、一定の方向だけNGとのことです。
ルールを破ると、その霊が森から出られなくしてしまうそうです。
私もケニアの森に入ったら、樹木を撮りまくるので、森から出られなくなると思います。
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