樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

樺燭の典

2007年05月23日 | 木と言葉
土曜日に姪の結婚式に参列してきました。媒酌人なしのシンプルなセレモニーでした。
結婚式のことを「華燭の典」と言いますが、正しくは「樺燭の典」だという説があります。「樺」はカバノキ、「燭」はあかり。
シラカバなどカバノキの樹皮は、適度に油を含んでいるため非常に燃えやすく、昔から照明用のタイマツに使われてきました。それをたくさん燃やして、婚礼の式典を演出したので「樺燭の典」が正しいと言うのです。

      
   (シラカバの樹皮。画像は北海道のguitarbirdさんにいただきました)

こういう話には疑り深くなっているので、図書館に行って大きな漢和辞典で調べてきました。結果、「樺燭」も「華燭」も掲載してありました。
樺燭は「カバノキの皮で蝋を巻いて作ったともしび」と解説して、白楽天の詩の一節を紹介しています。華燭は「①明るいともしび②結婚」とあり、これも昔の事例が示してあります。
私の推測ですが、もともとは「樺燭」という言葉だったものが、結婚式の華やかなイメージに引っ張られて「華」という字が使われるようになったのではないでしょうか。
カバノキの中にはウダイカンバという樹もあります。漢字で書くと「鵜松明樺」。鵜飼いをする際の松明(たいまつ)に使われたのでこの名があります。
キャンドルサービスなどがある現代の結婚式は、「樺燭の典」というよりも「蝋燭の典」でしょうか。
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6 コメント

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カバノキは (scops)
2007-05-24 00:56:12
山でマタギが火種にするとテレビの番組で見たような気がします。
乾かさなくても火が着きやすいそうですね。
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Unknown (guitarbird)
2007-05-24 06:59:36
おはようございます、guitarbirdです

ご紹介いただきありがとうございます。
シラカンバの写真の記事は、これだったんですね。
やはりfagusさんの言葉へのこだわりを強く感じました。
知り合いの林業関係の方に聞いたのですが、シラカンバとウダイカンバ、
よく似ていても材としての価値がまるで違うので(ウダイは高級材)、
その見分け方を教えるのが結構重要だ、ということです。
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scopsさんへ (fagus06)
2007-05-24 08:15:22
そのテレビ番組は私は見ていません。なるほど、火種になるでしょうね。
関西でカバノキ属はミズメくらいしか見られませんが、以前富士山に鳥見に行ったとき、シラカバやダケカンバの林に行きました。
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guitarbirdさん (fagus06)
2007-05-24 08:20:15
シラカバの写真、ありがとうございました。
この記事はだいぶ前に書いていたのですが、シラカバの写真がなくて、関西の植物園にないかな、といろいろ探してもなかったのです。
guitarbirdさんのシラカバシリーズで、惜しげもなくシラカバの写真が登場するので、厚かましくもお願いした次第です。
いただいてから気づいたのですが、この写真の真ん中にコゲラがいたんですね。可愛いですね。
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美しいだけやない、 (bulbul)
2007-05-25 05:39:51
 シラカバってけっこう用途があるんですね、うろおぼえでもうしわけないですけど、フィンランドでの話しやったか腐って空洞になったのを水を引くパイプとして使うなんて聞いたことがあります。信州かでシラカバの水っていうの売ってたような、少し甘みがあった記憶、あれはなんだったんだろう樹液 ?
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シラカバは木材としては (fagus06)
2007-05-25 07:27:05
いまいちのようですが、樹皮は昔から用途があったそうです。ロシアでは樹皮に刻まれた中世の書類がたくさん発見されていますし、ボートも樹皮で造ったようです。
シラカバの樹液は北海道の業者も販売しています。確か「森の雫」という名前だったと思います。
しかし、bulbulさんもいろんなところに行ってますね。
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