樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

親子の情を育む実

2006年10月16日 | 木と歌
最近、歌の中の樹や鳥の記事が多いですが、またまたNHKの歌番組で見つけました。歌のタイトルは『里の秋』。知ってる方は、歌ってみてください。さん、ハイ! 
♪~静かな静かな 里の秋 お背戸(せど)に木の実の 落ちる夜は ああ母さんとただ二人 栗の実 煮てます いろり端(ばた)・・・。
「お背戸」は裏口のこと。そこに落ちる木の実は、きっと栗や栃の実でしょう。その音を聞きながら、いろりで栗を煮る。
私の感覚では「煮る」は「茹でる」と違って味をつけて料理することなので、栗の料理を作っているのかなと思ったのですが、関東出身の妻は「煮る」=「茹でる」=煮沸することだと言います。普通に栗を茹でている情景のようです。

      
(栃の森に落ちていた栗。小動物が食べるので実の入っているものは少ない。)

先日訪れた栃の森でも栗や栃の実がたくさん落ちていました。天然のクリは柴栗とか山栗と呼ばれますが、スーパーで売っているクリと植物学的には同じ種類です。実が大きくなるように品種改良されていますが・・・。

この歌の2番には鳥が出てきます。「明るい明るい 星の空 鳴き鳴き夜鴨(よがも)の 渡る夜は ああ父さんのあの笑顔 栗の実食べては思い出す」。
そうなんです、カモは夜でも飛んで移動するのです。私も一度だけ、カルガモが夜に鳴きながら飛んで行くのを聞いたことがあります。カルガモマガモは「グェグェ」というカエルのような声で鳴くので、美しいとは言えませんが・・・。

      
      (近所の果樹園の栗。大きくておいしそう。)

そのカモの声を聞きながら栗の実を食べてお父さんを思い出す、というのが2番のシーン。これと逆の歌が万葉集にあります。
「瓜食(は)めば子ども思ほゆ 栗食めばまして偲ばゆ・・・」。瓜を食べても栗を食べても子どものことが思い出される・・・という山上憶良(やまのうえのおくら)の歌です。こちらは父親が栗を食べながら子どもを思い出しています。栗の実は親子の情を育むようですね。
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