樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

ワインのコルク

2010年01月14日 | 木と飲食
昨年のクリスマスイブ、久しぶりにワインをいただきました。最近は金属製のスクリューキャップが増えていますが、安物ながら一応コルク栓でした。
このコルク栓はコルクガシという木の皮から作ること、産地は地中海沿岸であることは知っていましたが、具体的にどうやって作るのかは不明でした。ある木のイベントでコルクの展示を見てようやく理解できました。


(実物のコルクガシ。関西森林総研植物園にて撮影)

まず、コルクガシの樹皮は上の写真のように、凹凸があってゴツゴツしています。この樹皮を下の写真のように丸々はがして、素っ裸にします。


(コルクメーカーのパンフレットより)

この樹皮の木口から、下の写真のようにワインの栓を丸くくり抜くわけです。直径2~3cmの栓をくり抜くわけですから、5cmくらいの厚い皮が必要でしょう。
木を植えてから樹皮が採取できるまで25年、一度はがして次に樹皮が採取できるまで9年~10年かかるそうです。



ワインのコルク栓には決まった長さがあって、普通は4~4.5cm。ブルゴーニュやボルドーの高級ワインには5cmのコルク栓が使われるほか、6cmのコルクを使うイタリアのワイナリーもあるとか。
コルク栓と金属のスクリューキャップではどう違うのか? ある有名なシャトーが1970年もののワイン100本をスクリューキャップにして実験したところ、最初の10年は問題ないものの、10年を過ぎるとキャップが砕けて空気が入ったそうです。


(ポルトガルワインのコルク栓)

逆に言えば、10年以内に飲むワインはコルク栓の必要はないわけで、カリフォルニアやオーストラリアなど後発地のワインはスクリューキャップが多いとのこと。
一方、ヨーロッパではコルク栓が多く、私が飲んだのもポルトガルワイン。安物なのにコルクを使っていたのは、ポルトガルが世界シェア50%以上を誇るコルク生産国だからかも知れません。
ちなみに、コルクガシのドングリを餌にして育てたのが以前ご紹介したイベリコ豚。コルクガシは人間の食文化に多大な貢献をしているわけです。
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2 コメント

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樹木の皮 (fagus06)
2010-01-15 08:14:19
木には外樹皮と内樹皮があって、内樹皮をはがすと木は枯れる、と本には書いてあります。
私もこの写真を見たとき、「木が枯れないのかな」と驚きました。
コルクガシの場合、外樹皮をはがしているということなんでしょうか。
ただし、やっぱり数回はがすともう使えないそうです。10年周期で3回はがしたとして30年後にはもうコルクが出てこないということですね。
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キハダ (guitarbird)
2010-01-14 11:48:59
こんにちわ
私もまったく知らなかったのですが、まずは素っ裸にする
その写真自体が衝撃的ですね(笑)。
でも、一度はがしてもまた再生するのは知らなくて、
そうであればもっともっとコルクガシを育てて、
金属のものは使わないほうがこれからの時代はいいのではないでしょうか。
いずれにせよ木はいいですね。
余談、キハダの樹皮がコルク質が発達しやすいですが、
A公園にある大きなキハダの前を通るたびに、
樹皮を指で押して感触を楽しんでいます(笑)。
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