樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

一茶のまなざし

2014年04月17日 | 野鳥
小林一茶がこんな俳句を詠んでいます。
むずかしや どれが四十雀 五十雀
シジュウカラとゴジュウカラの識別が難しいと言うのです。しかし、バードウォッチングの初心者でも、この2種の識別は簡単なはず。体形も色も違うのですぐに分かります。



一茶は鳥の識別にはあまり関心がなかったのかも知れません。その一方で、鳥への愛情があふれる句を残しています。例えば、有名な次の2句。
雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る
われと来て 遊べや 親のない雀

いずれもスズメに対する優しいまなざしが感じられます。
また、ウグイスについて、こんな句を残しています。
鶯に あてがつておく 垣根かな
「ウグイスが居付いたので、わが家の垣根を勝手に使わせておこう」という句です。
ガンにも優しい言葉を投げかけます。
けふ(今日)からは 日本の雁(かり)ぞ 楽に寝よ
「はるばると渡ってきた雁よ、今日からは日本の雁だ。安心してゆっくり眠れ」と詠んでいます。
そして、俳句の題材によく採り上げられるホトトギスでは…。
そっと鳴け 隣は武士ぞ 時鳥(ほととぎす)
「大きな声で鳴くと切り殺されるから、小さい声で鳴け」と忠告しているのです。いずれも、鳥に対する温かい思いやりが伝わってきます。
ちなみに、芭蕉もシジュウカラを詠んでいます。
老いの名の ありとも知らで 四十雀
当時は40歳は初老。「老人という名が付いていることも知らないで、シジュウカラは呑気に動き回っている」という句です。理知的ですが、一茶のような鳥に対する愛情は感じられません。



ちなみに、シジュウカラはその渋いオリーブ色の体色から初老の40歳に、ゴジュウカラはさらに年寄り臭い灰色なので中老の50歳に例えられたという語源説があります。
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2 コメント

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Unknown (guitarbird)
2014-04-17 11:27:56
こんにちわ
確かに似ているとは言えないですよね。
むしろ、よく見る鳥の中でゴジュウカラだけ体型が大きく違うと思うのですが・・・
ところで私はゴジュウカラとコルリを見間違えたことがあります。
林床の笹がすいた木の根元付近に何か鳥がいて、笹の下の方にいるのでコルリだと思い込んだのですが、見るとゴジュウカラでした。
暗くて色合いがよく見えなかったのだと思います(笑)。
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そう言えば (fagus06)
2014-04-18 06:59:17
ゴジュウカラとコルリは体型や色が似ていますね。笹のある所ならコルリと思いますよね。
私は50歳を迎える年の年賀状に「人生、ゴジュウカラ」という文字と、ゴジュウカラの姿を木版画で作って出しました。
それを今でも覚えている鳥仲間がいて、この間も「あれは良かった」と言ってくれました。
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