樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

桜は偽物

2007年04月09日 | 木と言葉
桜シリーズのおまけで、いろんなエピソードをご紹介します。
まず、馬の肉を「サクラ」と呼びますが、その由来をご存知ですか? いろんな説があって、その一つは、馬肉を鍋で煮るとピンク色になるからというもの。もう一つは、桜の咲く頃が最もうまいからという説。
そして、「咲いた桜になぜ駒つなぐ 駒が勇めば花が散る」という江戸時代の歌に由来するという説もあります。猪の肉を「牡丹」、鹿の肉を「紅葉」と呼ぶ風流な流れから推測して、私はこの説を信じます。
また、「サクラ」は偽の客も意味します。こちらも諸説あって、歌舞伎で客のふりをして大きな声で役者を褒め、すぐに姿を消す人のことを、パッと咲いてすぐに散る桜に例えたというのが一つ。もう一つは、前述の馬肉に由来するもの。偽の客のことをその世界で「つけ馬」とか「あて馬」と呼んだので、馬→馬肉→桜で隠語になったという説。私はこちらを信じます。

      
         (昨日、宇治川で行われた恒例の桜祭)

私くらいの世代の人は、アメリカの初代大統領ジョージ・ワシントンは子どもの頃、あやまって桜の樹を切ったことを正直に父に告白して褒められた、という話を聞いたことがあると思います。
ところが、このワシントンの逸話は作り話のようです。ロック・ウィームズという牧師が「ワシントンの生涯と記憶すべき活動」というパンフレットに書いたのが最初ですが、どうやら本が売れるように勝手に付け加えた話らしいです。しかも、牧師というのも自称で怪しいとのこと。こちらのサクラも偽物のようです。
アメリカに自生する桜は日本の桜とは種類が違いますが、明治45年に当時の東京市長がアメリカにソメイヨシノなど3,000本の桜を贈り、今でも首都ワシントンでは桜祭が行われているそうです。その返礼として贈られたのが、最近日本でも人気の高いアメリカハナミズキです。
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