樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

聞きなしの国際比較

2016年02月25日 | 野鳥
予定がキャンセルになった先週のある日、天気がいいので宇治川に鳥見に出かけました。川面にはキンクロハジロやホシハジロが浮かんでいます。コガモは早くも繁殖期を迎えたようで、オスがピーピー鳴きながらソワソワしています。
その岸辺の灌木のてっぺんにホオジロが止まりました。この鳥は警戒心が強いので、普段は目立つ場所には現れませんが、繁殖期となれば話は別。私のすぐ前で堂々とさえずり始めました。コガモの声をバックコーラスにして、ラブソングを歌っているようです。



このホオジロのさえずりは、古くは「一筆啓上つかまつり候」とか「源平つつじ白つつじ」と聞きなしましたが、最近は「札幌ラーメン味噌ラーメン」と聞きなすようです。
聞きなしとしては、ホトトギスの「東京特許許可局」やイカルの「お菊二十四」など秀逸なものがいくつかあります。
先日ご紹介した本『鳥たちの博物誌』には、海外での聞きなしについて興味深い記事が掲載されていました。
イギリスではキアオジのさえずりを“little bit of bread and no cheese”(小さなパンひとかけチーズ抜き)と聞きなすそうです。そう言われても実感が湧かないので、Youtubeでキアオジのさえずりを探しました。



確かに後半のフレーズは「チーズ」と聞こえます。
そのほか、アカライチョウはハンターを追い返すように“go back, go back”(帰れ、帰れ)と鳴き、シジュウカラは“teacher, teacher”(先生、先生)と鳴くそうです。
面白いのは、同じ鳥の聞きなしが英語とフランス語で全く異なること。アフリカに生息するアカメジュズカケバトは、英語圏では強く主張するように“I AM a Red-Eyed Dove”( 私はアカメジュズカケバトだ)と聞きなす一方、フランス語圏では“Je PLEU-re-re-re-re”(私は泣いているんですぅ~)と聞きなすそうです。
聞きなしの国際比較は一つの研究テーマになりそうですね。鳥類学だけではなく言語学からもアプローチできそうです。誰か研究していないのかな?
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ホオジロたちの楽園 | トップ | 鳥の歯 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (guitarbird)
2016-02-29 09:23:50
おはようございます
この本は買って少しずつ読み進めていますが、まだここまでたどり着いていません・・・(笑)。

「聞きなし」は野鳥観察会で話すといつも盛り上がりますが、当地では特に「札幌ラーメン」はいつも爆笑になりますね。
こちらのアオジは、聞きなし、言葉で表すのが難しく、なんとか自分なりに開発したいと毎年思います。

面白いのはヒガラで、「うれしーうれしー」と聞こえる人と「きびしーきびしー」という人がいます。
で私はヒガラの囀りのリズムとテンポがビートルズのGet Backに聞こえます(笑)。

あとセンダイムシクイの「焼酎一杯グイー」は、「一杯が聞こえない」つまり「焼酎グイー」の方がいいのでは、という方もいました。
一杯ではなく飲み過ぎになってしまいそうですが・・・・(笑)。
返信する
ヒガラの (fagus06)
2016-03-01 09:12:55
「うれしー」「きびしー」は面白いですね。人によって音の解釈が違うということですね。
Get Back はギタバさんならではの感覚でしょう。
センダイムシクイも確かに「一杯」は聞こえないでしょうが、聞きなしとしては「一杯」がないと面白くないですね。
聞きなしのことを調べていたら、このほかにもいろいろ興味深いことが分かってきたので、野鳥の会の会報に記事を投稿しようと思っています。
返信する

コメントを投稿

野鳥」カテゴリの最新記事