樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

マツVSヒノキ

2007年04月25日 | 木と楽器
これまでに太鼓や琴など和楽器に使われる木を紹介しましたが、洋楽器にもいろんな木が使われています。
下の写真は友人のクラシックギター。スペインの名門、ラミレス製です。もともとギターの表板はスプルース(マツ科)が常識だったらしいですが、この名門家のラミレス3世が1963年にレッドシダー(ヒノキ科)のギターを作って以来、著名なギタリストもレッドシダー製のギターを使うようになったそうです。あのナルシソ・イエペスもラミレスのレッドシダー製で日本公演したとのこと。

         
     (ヒノキ科のレッドシダーを使ったラミレスのギター)

スプルース製はクールで透明感があり、キラキラ光るような音、レッドシダー製は音量が豊かで、音色が柔らかくて甘いそうです。友人はスプルース製のギターも持っていて、「音質は全く違うけど、良し悪しではなく好み」だそうです。
楽器に使われるスプルース(材木名)は、植物名で言うとヨーロッパトウヒ(またはドイツトウヒ)で、バイオリンやチェロの表板にも使われます。一方、レッドシダーは北アメリカ産の木で、材木の世界ではスギでもないのに「米杉(ベイスギ)」と呼ばれています。建材としても有用です。

      
     (マツ科のスプルースを使ったギター。こちらは日本が誇る河野製)

現在のギターの世界はスプルース(マツ)派とレッドシダー(ヒノキ)派に分かれているようで、それほどラミレス3世はギター史に大きな足跡を残したと言うことです。
表板は両派に分かれていますが、裏板と側板はローズウッド(マメ科)と決まっているようです。中でもブラジル産のローズウッド(別名ハカランダ)が最高で、写真のギターもハカランダ仕様。現在はワシントン条約で輸出が規制されているので、ハカランダを使ったギターは150万円以上するそうです。

      
        (裏板はブラジリアンローズウッド=ハカランダが最高)

バイオリンの裏板もカエデなどの広葉樹。弦楽器の場合、表板は軽くて柔らかい針葉樹、裏板は重くて硬い広葉樹というのが共通のようです。
また、指板にエボニー(黒檀)が使われるのも、ギターとバイオリンの共通点です。
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2 コメント

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私向き(笑) (guitarbird)
2007-04-25 07:54:17
おはようございます、guitarbirdです
私向きの記事をありがとうございます(笑)・・・違うって・・・
私は昨年、カナダのSeagullのアコースティックギターを買った時、
普通に札幌の店で売られているのはほとんどがシダーだったのを、
ネットで中古でスプルースのを見つけて、そっちに飛びつきました。
スプルースはトウヒで、ヨーロッパトウヒでも同属のエゾマツでも、
身の周りにある木を持っていたい、という思いがあったからです。
それにしても、やっぱりギターはいいなぁ。
自分の持ちネタがなくなったので、弟のギターを記事にしようかな、と・・・(笑)
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guitarbirdさんも (fagus06)
2007-04-26 08:17:15
名前のとおり、ギターの記事をいくつかアップされていますもんね。
私も、安物のフォークギター2本、エレキギター1本持っていましたが、友達や甥に譲りました。
今でも時々弾きたくなります。
ギターと木の世界もなかなか奥が深くて、ネットにもいろんなサイトがあることを発見しました。
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