樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

紅葉、黄葉、黒葉、白葉

2010年10月21日 | 樹木
先日、4ヶ月ぶりに栃の森に行ってきました。紅葉には少し早かったものの、林床にはそれぞれに色づいた葉が落ちていました。
本などで紅葉の仕組みを調べると、もともと葉の中に含まれているクロロフィル(緑の色素)とカロチノイド(黄色の色素)のうち、気温が低くなるとクロロフィルが分解されて黄色が目立ってくる。さらに、葉と枝の間に離層が形成され、葉で光合成された糖分の行き場がなくなってアントシアニン(赤の色素)が作られる。そして、陽が当る部分から先に紅葉すると書いてあります。


ハウチワカエデの紅葉

でも、実際の紅葉を観察すると、それだけでは納得できません。例えば、上の写真のようにハウチワカエデなどは緑からいきなり赤に変色します。黄色の色素は含まれていないのでしょうか


トチノキの変色

また、上の落葉はトチノキの小葉ですが、先端が緑、真ん中が黄色、元が褐色です。陽が当る方が先に紅葉するというなら、順序が逆になるはずです。
下の写真はミズメの落葉ですが、これも陽当たりとは関係ないようで、むしろ葉脈に沿って黄葉あるいは紅葉しています。


ミズメの変色

さらに不思議なのは下のミズキの落葉。黄色や赤に染まることなく、黒く変色します。メラニン色素が含まれているのでしょうか。同じ仲間のハナミズキは先端から赤くなって、最終的には黒ではなく褐色になります。


ミズキは黒葉

近所のハナミズキの紅葉

もっと不思議なのはコシアブラ。この葉は緑からベージュに変わり、最終的には白くなります。色素が消えて脱色するのでしょうか。


白葉するコシアブラ

紅葉のメカニズムも一筋縄ではいきません。自然は不思議です。
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4 コメント

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コシアブラ (押し花おばさん)
2010-10-22 20:07:11
初めてお邪魔しました。
空・海・森・樹・草など自然の不思議に感動の日々を送っているおばあさんです。

こしあぶらの木が大好きであちこちお邪魔しているうちにたどり着きました。

こしあぶらが白くなって落葉する様がとても好きです。つややかな葉に魅せられて探してうろうろしていますが私の周辺ではなかなか出会いが有りません。素敵なこしあぶら見せていただいてとても嬉しいです。ありがとうございました。
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Unknown (guitarbird)
2010-10-23 06:02:00
おはようございます
木々の葉の色づきはほんとに面白いですよね。
ミズナラは最終的にはみな茶色になりそれもきれいで好きですが、
途中の段階で赤から黄色まで変異があるのが面白いです。
あと私が面白いと思ったのは、タラノキで1本の木で、
緑と黄色と赤の段階の葉がみなあったことです。
ミズキは赤くなるのも時々ありますね。
コシアブラの白いのは山で目立ちますね。
ツリバナも白くなるので毎年A公園で楽しみにしています。
この問題は、樹木好きのfagusさんであれば、
記事1つや10個じゃ足りないくらいお話したいのではないでしょうか(笑)。
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押し花おばさんへ (fagus06)
2010-10-23 09:35:14
コメントありがとうございます。
「コシアブラが大好き」とおっしゃる方にお目にかかるのは初めてです(笑)。
こちらでもたくさんは見かけませんが、近くの散歩コースの小さな山にもポツリ、ポツリと生えていますし、記事に書いた原生林でもあっちに1本、こっちに1本という感じで生えています。
小樽には10年ほど前に鳥見ツアーで行きました。京都府の舞鶴~小樽のフェリーで往復した際に、郊外の山へ鳥を見にいきました。
そちらのブログ、写真がきれいですね。
また、コメントしてください。
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guitarbirdさんへ (fagus06)
2010-10-23 09:40:21
そちらの紅葉散撮もいつも見せていただいておりますよ。
栃の森ではハウチワカエデが最も早く紅葉するようですが、そちらではヤマモミジの方が早いようですね。
同じカエデの仲間でも樹種によって時期が早いのと遅いのがあるのは面白いです。
あと、イタヤカエデは赤くなりませんが、これも私には不思議です。
ツリバナの白葉は気がつきませんでした。今度注意して観察します。
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