樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

漁夫の利

2011年09月26日 | 野鳥

最近通っている干拓田にオグロシギが7羽やってきました。私がこの鳥を初めて見たのは、ちょうど20年前のこの場所、時期も全く同じ9月中旬。当時のフィールドノートには「クチバシがピンク、オグロシギ?」とメモしています。その時の感動は今も忘れていません。

2年後の93年にも同じ場所で、94年には東京の大井野鳥公園で、97年には北海道の濤沸湖で見たと記録していますが、記憶にありません。やっぱり初めて出会った時の印象がいつまでも残るんですね。

動画では7羽がそろって忙しく餌を食べています。これから東南アジアやオーストラリアへ渡るための栄養を蓄えているのです。この鳥はミミズなどの虫のほか、タニシや貝類をよく食べるようです。

 

 

 

二者が争っている隙に第三者が労せずに獲物を得ることを「漁夫の利」と言います。中国の故事に由来しますが、これには前段があります。

貝が殻を開けていると、シギがその肉をつついた。貝は殻を閉じてシギのクチバシを挟んだ。そのまま両者が譲らず膠着状態のところに漁夫がやってきて、貝とシギの両方を手に入れた、というのが本来のストーリー。正確には「鷸蚌(いつぼう)の争い、漁夫の利」と言うそうです。鷸は「しぎ」、蚌は「どぶがい」のこと。

 

 

 

実際に貝がシギのクチバシを挟んで離さない現象はあるようで、私が読んだ本にはハマグリがオオハシシギのクチバシをはさんだままぶら下がっている写真が載っていました。

中国の故事のモデルがオオハシシギかオグロシギかは不明ですが、20年ぶりに同じ場所で再会したオグロシギは日本画のように優雅な姿で、あらためて感動を与えてくれました。

コメント (2)
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