樹樹日記

じゅじゅにっき。樹木と野鳥に関する面白い話をご紹介します。

カツラの香り

2011年09月08日 | 街路樹・庭木

台風12号は広い範囲に甚大な被害をもたらしました。宇治は雨は大したことなかったですが、強い風が2日半吹き続けました。

こういう台風に備えて、ちょうど1週間前、わが家のシンボルツリーであるカツラを伐採しました。大好きなカツラを伐ることには抵抗があったのですが、屋根よりも高く伸びて、7月の台風ではかなり揺れていました。

倒れることはないでしょうが、すぐ前には電線が、横には光回線の引込み線が張られていて、もし線が切れたら近所に迷惑がかかるし、インターネットが使えなくなるので、泣く泣く伐ったのです。

 

 

伐採前

 

 

伐採後

 

10年ほど前に植えた時は小さな若木でしたが、伐った幹や枝がガレージいっぱいになるほどの量。「ホントに光と水と二酸化炭素だけでこんなに成長するのかな?」と改めて樹木の不思議を感じました。

 

 

カツラの残骸

 

これを細かく切って束ねて23日放っておくと、家の周りに甘い、綿飴のような匂いが立ち込めました。20mほど離れてもそれと分かるほどで、家の中まで漂ってきます。

カツラの葉が紅葉したり落葉すると甘い匂いがすることは知っていましたが、青葉でも乾燥すれば匂いを発するようです。

 

 

メジロの巣もありました

 

この甘い匂いの正体は、マルトールという物質だそうです。麦芽糖に熱を加えて焦がすと生成されるとか。だから綿飴の匂いと同じなんですね。

ケーキやお菓子、歯磨き剤の香料としても使われる天然化合物で、ネットで調べると、この甘い匂いを配合した「カツラ」という香水も販売されています。伐ったカツラからマルトールを取り出せば香料として売れたのに、もったいないことをしました。

カツラは小さくなりましたが、今年の秋には再び残った葉が甘い匂いを漂わせてくれるはずです。

コメント (2)
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