木で絵を描いて絵本を制作している作家がいます。名前は中村道雄。
これまでに6冊出版されていて、そのうちの何冊かが宇治市図書館にあったので借りてきました。下は宮沢賢治の「よだかの星」。
夜空を飛ぶヨタカの絵ですが、細かい部分まで一つひとつ木をくり抜いて嵌め込んであります。小さな丸い星やヨタカの風切羽も1枚ずつ違う色の木で表現されています。一見しただけでは木で描かれていることが分からないほど色も多彩です。
下は物語に出てくるカワセミ。木を使った細かさもスゴイですが、絵そのものも迫力があります。
以前、タラセアというスペインの組み木絵をご紹介しましたが、基本的には同じ手法のようです。タラセアは焼きゴテで細かい陰影をつけますが、中村さんの場合は木の色だけ。少し前に採り上げた箱根寄木細工とも似ています
中村さんのホームページには、「何十種類もの木を、その色・木目などを生かしながら、着色せずに木の色のみで絵として組み込んでいる」と書いてあります。箱根寄木細工を見学したときも木の色の多彩さに驚きましたが、この絵本にも同じ感想を持ちました。
もともとイラストレーターとしてレコードジャケットなどの作品をつくっておられたそうですが、木のレリーフを見て組み木絵を自分で考案されたそうです。材料は材木屋さんからもらった端材だそうです。
絵の具で描く絵本に比べると何十倍も時間と手間がかかるでしょう。中村さんも木の魅力に取りつかれたんですね。