今の時期、散歩コースの大吉山を歩くと、ムッとした臭いに包まれます。スダジイやツブラジイなどシイの花が満開だからです。樹上からは生の花が、地面からは落下した花が匂いを発して、息苦しいほど。
落下したシイの花
あまりいい臭いではないので嫌われているかと思いきや、昔の人たちはこの花の色を金色に見立てて、「金の華」と尊称していたようです。確かにシイ類の花を遠景で見ると黄金色に見えなくはないです。
岐阜県の稲葉山にはツブラジイが多く、初夏には山が黄金色に染まることから、「金華山」と呼ばれるようになったとか。この山に岐阜城を築いた織田信長が命名したという説もあります。
現在では金華山の名称の方が一般的になっています。岐阜県以外にもシイの花を金に見立てて「金華山」と呼ばれている山がいくつかあるようです。
金華山ではなく大吉山も金色
嵐山や清水寺など京都の観光地周辺の山にシイ類が繁茂して暗い森になっているので、これを伐採してサクラやモミジを植えようという動きがあります。春は桜、秋は紅葉の風景をつくって観光客にアピールしようという観光産業の思惑が見え見えで私は反対です。
そんなことせずに、「金の花が咲く山」としてアピールすればいいのに…。